公開された3本のうち、生成AIを使ったのは2本

2025年のキャンペーンを構成する映像は、次の3本です。

  • 「A Holiday Memory」
  • 60秒の「Holidays Are Coming, Classical」
  • 90秒の「Holidays Are Coming, Fantastical」

Coca-Colaが生成AIの活用を明記しているのは、「Classical」と「Fantastical」の2本です。「A Holiday Memory」は北米、ラテンアメリカ、同社が「Asia South-Pacific」と表記する地域で放映され、「Fantastical」は米国限定と発表されています。

3本はいずれも、Coca-Colaが2025年の公式キャンペーンとして公開した作品です。生成AIを使った2本は、Coca-ColaがSecret LevelとSilverside AIと組んで制作した広告であり、自主制作や技術検証だけを目的とした映像ではありません。

誰が制作したのか

Coca-Colaは、「Holidays Are Coming」をもとにした2本について、サンフランシスコを拠点とするSecret LevelとSilverside AIが制作に参加したと公表しています。ただし、ブランド側の発表では、2社がどの作品や工程を担当したのかまでは示していません。

Silversideは自社の事例ページで、5人の中核チームが20人を超える各分野の担当者と協力し、完成までに複数のバージョンを制作したと説明しています。この人数はSilverside側の体制であり、Secret Levelを含む制作全体の人数ではありません。

Coca-Cola公式発表の生成AIに関する説明

画像:Coca-Cola公式発表の「Bringing AI Innovation to Holiday Storytelling」節。生成AIと人の創造性を組み合わせる方針と、Secret Level、Silverside AIが制作に参加したことを確認できます。出典:The Coca-Cola Company

1995年から続く広告を、2025年にどう更新したのか

Coca-Colaの狙いは、生成AIの新しさだけを見せることではありませんでした。同社は、毎年表現が変わってもホリデー広告の基本は変えず、2025年は商品を物語の中心に置いたと説明しています。

その方針に沿って、「Classical」と「Fantastical」では、長く親しまれてきた赤いトラックの広告を新しい映像として制作しました。従来の印象を受け継ぎながら、60秒と90秒の2作品へ展開しています。

「Classical」が完成するまで

Coca-Colaの公式メイキング動画では、「Classical」の制作が次の順で紹介されています。

  1. 複数の案を試し、写実的で映画のような画面表現を選ぶ
  2. 画像生成モデルで各場面の基礎となる静止画を作る
  3. 動画生成モデルで静止画に動きを付ける
  4. 生成した映像を選び直し、動物の姿、毛並み、目の表情を細かく調整する
  5. 最後に映像の修正、色の調整、不要な部分の除去を行う

同じ動画では、5人の専門家からなるチームが、30日間で7万本を超える短い映像素材を生成し、調整したと説明しています。7万本という数字は完成作品の本数ではなく、1本の広告へ仕上げるまでに作成・検討した映像素材の数です。

Silverside AIのCoca-Cola Holidays 2025事例

画像:Silverside AIの公式事例ページ。同社の中核チーム5人が20人を超える各分野の担当者と協力し、完成までに複数のバージョンを制作したことを確認できます。出典:Silverside AI

生成AIを使った箇所

公式メイキング動画では、静止画の作成に画像生成モデル、動きを付ける工程に動画生成モデルを使ったと説明しています。ただし、個々のモデル名やサービス名は公表していません。

Coca-Colaの公式発表では、カメラの向きや動きの調整、物理法則に沿って見えるようにする調整、場面が変わっても話の流れをつなぐ作業、動物の姿をカット間でそろえる作業にも生成AIを使ったと説明しています。修正を指示する際には、監督の指示出しに似た方法で画面上へ注釈を加えました。

また、視聴者や地域に合わせて異なる版を制作しやすくなる点にも触れています。ただし、2025年のキャンペーンで実際に何種類の地域別映像を制作したのかは明らかにされていません。

人が決め、仕上げたこと

Coca-Colaは、映像全体の狙いや演出の方向は人が主導したと説明しています。同社のPratik Thakar氏は、何を表現し、どの方向へ仕上げるかは人が決め、生成AIは制作に使うという方針を示しました。

公式メイキング動画からも、候補となる映像を大量に作るだけでは完成しないことが分かります。制作チームは、複数の案から採用する映像を選び、動物の姿や毛並み、目の表情を調整し、最後に映像と色を整えました。音楽は、アーティストが演奏と歌唱を担当したとCoca-Colaが説明しています。

公式動画で「Classical」の制作工程を見る

Coca-Colaの公式YouTubeでは、「Holidays Are Coming, Classical」のメイキングを公開しています。画面表現の検討から、画像生成、動画生成、映像の修正、色の調整までが順を追って紹介され、5人、30日、7万本超という数字の意味も確認できます。

動画:Coca-Cola 公式チャンネルより引用

公式情報で確認できないこと

Coca-ColaとSilversideの公式情報からは、次の内容を確認できません。

  • 生成AIを使った2本の総制作費
  • 使用したすべてのモデル名、サービス名、バージョン
  • Secret LevelとSilversideの詳しい役割分担
  • 20人を超える担当者の職種と、工程ごとの人数
  • 地域や媒体ごとに制作した版の総数
  • 入力素材、学習データ、契約上の権利処理の詳細
  • 従来の制作方法と比べた時間や費用の削減率

公式動画が示す30日と7万本超は、「Classical」のメイキングで紹介された数字です。生成AIを使った2本を合わせた制作期間や素材数として扱うことはできません。

ブランド担当者がこの事例から確認できること

この事例では、広告の狙いを決める仕事と、生成AIで映像を作る仕事が分けられています。また、5人の中核チームだけで完結せず、20人を超える各分野の担当者が加わり、音楽の演奏と歌唱にはアーティストが参加しました。

自社の広告制作へ置き換える場合は、次の3点を先に決めると、制作会社へ伝える条件が明確になります。

  1. 過去の広告や商品表現から、今回も受け継ぐ要素
  2. 生成AIで制作・修正する箇所と、人が決定・承認する箇所
  3. 掲載地域や媒体に応じて、何種類の版を用意するか

これはCoca-Colaが公開した制作手順ではなく、公式情報をもとにAIGC TIMESが整理した確認項目です。承認工程や制作会社への発注条件を詳しく整理したい場合は、次の関連記事も参照してください。

まとめ

Coca-Colaは2025年のホリデーキャンペーンで3本の新作を発表し、そのうち2本で生成AIを活用しました。制作にはSecret LevelとSilversideが参加しています。「Classical」の公式メイキングでは、5人の専門家からなるチームが、30日間で7万本を超える映像素材を生成・調整したことが紹介されました。Silversideはさらに、中核チームが20人を超える各分野の担当者と協力したと公表しています。

作品の狙いと演出は人が決め、生成AIで静止画と動画を作り、制作チームが候補を選び直しながら映像を整えました。音楽の演奏と歌唱にはアーティストが参加しています。少人数のチームが生成AIだけで完成させた広告ではなく、多数の候補を人が選び、修正し、一本の作品へ仕上げた事例です。

AIGC TIMESの「ブランドコミュニケーション3.0 活用大全」では、AIクリエイティブをブランドの発信へ取り入れる場面を整理しています。自社で試す範囲を検討する際にご活用ください。

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よくある質問

Coca-Colaの2025年AI広告は何本ですか

2025年のホリデーキャンペーンは3本構成で、そのうち生成AIを使ったのは「Holidays Are Coming, Classical(60秒)」と「Holidays Are Coming, Fantastical(90秒)」の2本です。もう1本「A Holiday Memory」は生成AIを使っていません。

5人・30日・7万本超という数字は何を指しますか

Coca-Colaの公式メイキング動画で紹介された「Classical」の制作数値です。Silverside AIの中核チーム5人が、30日間で7万本を超える短い映像素材を生成・検討したという意味で、完成した広告の本数や2本合算の期間ではありません。

何人で制作したのですか

Silverside AIの中核チームは5人ですが、同社の公式事例ページによると、20人を超える各分野の担当者と協力しています。ここにSecret Levelの担当者数やCoca-Cola側の関係者は含まれていません。制作全体の総人数は公式では公表されていません。

使用した生成AIモデルは公開されていますか

公式メイキング動画では「画像生成モデル」「動画生成モデル」と説明されているのみで、具体的なモデル名やサービス名、バージョンは公表されていません。個別モデルの推測は避けるのが安全です。

2024年のAI広告との違いは何ですか

2024年はSecret Level、The Wild Card、Silverside AIの3社体制で、地域別バリエーションが強調されていました。2025年はSecret LevelとSilverside AIの2社体制で、カメラワーク、物理表現、カット間のつながり、キャラクターの一貫性が改善点として挙げられています。

公式情報


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