AIクリエイティブパートナーとは

AIGC TIMESの選定ガイドでは、AIクリエイティブパートナーを「生成AIを使った制作物を納品できる会社」という意味だけでは捉えていません。

画像生成、動画生成、生成後の編集などを理解し、案件に合う方法を選ぶ。ブランドの確認手順を踏まえて制作を進め、公開後も使える素材や記録を残す。ここまで担える相手を、選定の対象としています。

そのため、確認するのは作品の見栄えや使用ツールの数だけではありません。技術、実案件での経験、ブランドへの理解、制作の進め方、継続運用の5分野を分けて見ます。関連する体制論はAIクリエイティブ制作会社の見極め方でも整理しています。

選定前に確認したい3つの前提

1. ツールを使えるだけでは足りない

同じツール、たとえばMidjourney(ミッドジャーニー)、Runway(ランウェイ)、Sora(ソラ)、Google Veo(ヴィオ)などでも、画像を新しく作る場合と手元の素材を編集する場合では、適した機能や確認項目が異なります。候補企業には、何を使うかだけでなく、その方法を選ぶ理由まで説明してもらいます。

2. 目的は制作の効率化だけではない

制作期間や費用は大切な判断材料です。ただし、ブランドが何を伝えるのか、どの表現を守るのかが曖昧なままでは、速く作れても公開できません。選定時には、今回の仕事で実現したいことと、変えてはいけない条件を先に共有します。

3. 制作の進め方そのものが変わる

生成AIを使う制作では、利用するサービスやモデルの選定、試作、候補の選別、人による修正などが加わります。どの工程をAIで行い、誰が選び、誰が直し、誰が承認するのかを説明できるかが重要です。承認プロセスの設計はブランドAIの承認記録を参照してください。

1. 技術理解

技術理解では、次の5項目を確認します。

  1. 画像生成、動画生成、生成後の編集など、制作に関わるAI技術の違いを説明できるか
  2. 目的に応じて、使用するサービス、モデル、制作方法を選べるか
  3. モデルの更新や新機能を継続して確認しているか
  4. 入力素材や指示、編集工程によって結果が変わることを理解しているか
  5. AIに向く作業と、手作業や外部制作が必要な作業を分けられるか

ここで見たいのは、知っている製品名の多さではありません。自社の案件について、どの方法を採用し、どの方法を採用しないのかを、理由とともに説明できるかです。モデルアップデートを追い続ける体制についてはブランドAIツールモニタリングにまとめています。

2. 実装経験

実装経験は、次の5項目です。

  1. 実案件でAIを使った制作や表現検証を行った経験があるか
  2. 外部公開を前提にしたブランド案件の経験があるか
  3. 企画、試作、生成、編集、納品までの流れを設計できるか
  4. 多数の候補から、案件に合う案を選べるか
  5. 短期間のPoCや単発案件を進める体制があるか

作品を見せてもらう際は、AIを使った箇所、人が仕上げた箇所、ブランド側が確認した段階も聞きます。完成画像だけでは、同じ進め方を自社案件でも再現できるか判断できません。小規模PoCから始める設計はブランドAIの小さなPoCに詳細をまとめています。

3. ブランド理解

ブランド理解では、次の5項目を確認します。

  1. ブランドの方針や商品の見せ方を踏まえて制作できるか
  2. ブランド企業の確認手順に合わせて進行できるか
  3. ブランドの評価を損なう表現を避ける判断基準があるか
  4. 公開できる案と、社内検討に留める案を分けられるか
  5. 単発の制作物ではなく、継続する発信として考えられるか

「ブランドらしく作れます」という説明だけでは判断できません。過去の公式素材から、今回も守る要素と、企画に合わせて変えられる要素をどのように読み取るのかを確認します。表現の許容範囲は、ブランドAIの品質ゲートで扱っている観点と重なります。

4. ワークフロー設計

ワークフロー設計は、次の5項目です。

  1. 参考素材の整理、指示設計、試作、候補選定、編集、納品まで説明できるか
  2. 掲載先ごとのサイズや形式を見込んで制作できるか
  3. 社内確認と外部パートナーの役割を分けられるか
  4. 生成した素材の保存、再編集、蓄積まで設計できるか
  5. 特定の担当者しか分からない進め方にせず、社内へ記録を残せるか

見積もりや提案書では、工程ごとの担当者と納品物を確認します。完成データに加えて、使用素材の一覧や修正に必要なデータをどこまで受け取れるかも、契約前に決めておきます。役割分担の考え方はブランドAIの制作ハンドオフを参照してください。

5. 伴走・運用

最後の4項目は、制作後まで支援を続けられるかを見るものです。

  1. 単発制作に加えて、研修、PoC、社内導入、継続運用まで相談できるか
  2. ブランド企業の担当者へ、技術や判断材料を分かりやすく説明できるか
  3. 制作物だけでなく、判断基準や利用範囲、注意点を整理できるか
  4. AIを使ったブランドコミュニケーションを継続して設計できるか

単発の制作を依頼する場合でも、制作中に得た判断が次の案件へ残るかは確認できます。採用・不採用の理由、使用したサービス、修正した箇所などを記録できれば、担当者やパートナーが変わっても前回の判断を参照できます。

24項目の使い方

このチェックは、点数だけで候補企業を決めるためのものではありません。まず、自社の案件で欠かせない項目を選びます。そのうえで、各社の回答と根拠を同じ表へ記録します。

確認したい内容が提案書に書かれていなければ、打ち合わせで質問します。回答が「対応できます」だけの場合は、過去案件での進め方や、今回の案件で想定する工程まで聞くと比較しやすくなります。

AIGC TIMESの選定ガイドでは、20項目以上に当てはまる場合を「AI時代のブランドコミュニケーションを相談しやすい候補」として整理しています。15項目未満の場合は、制作物を納品できても、継続的な支援について追加確認が必要としています。これはAIGC TIMESが設けた選定の目安であり、公的な認証基準ではありません。

より詳細な運用フォーマットはAIクリエイティブパートナーチェックリストにまとめています。あわせてAIクリエイティブディレクターの役割も、社内側の受け入れ体制を考える際の参考になります。

よくある質問

Q1. AIクリエイティブパートナーは、既存の広告制作会社と何が違いますか。 A. 撮影やデザインの発注では、完成物と体制を主に確認します。AIクリエイティブでは、それに加えて「どの生成AIサービスを、どの工程で、どう選ぶか」「生成物の候補をどう選別し、どう修正するか」を確認します。使う技術と判断が制作の途中で変わるため、選定時にも工程設計まで踏み込みます。

Q2. 24項目のうち、最低限どれを確認すべきですか。 A. 案件の種類で優先度は変わりますが、外部公開を伴うブランド案件では、項目7(外部公開を前提にしたブランド案件の経験)、項目12(ブランド企業の確認手順に合わせて進行できるか)、項目18(社内確認と外部パートナーの役割を分けられるか)は先に確認します。この3つが弱いと、契約後の進行で追加コストが発生しやすくなります。

Q3. スタートアップや個人スタジオも候補にできますか。 A. できます。24項目は会社規模を評価するものではなく、案件に必要な役割を担えるかを見るための観点です。とくに項目8(企画から納品までの流れを設計できるか)と項目20(社内へ記録を残せるか)が満たされていれば、小さな体制でもブランド案件を任せられます。

Q4. 使っているAIツールの数が多い会社ほど有利ですか。 A. 数の多さは判断材料になりません。項目2(目的に応じて選べるか)と項目5(AIに向く作業と手作業を分けられるか)が満たされていれば、少数のツールで運用している会社でも問題ありません。むしろ「なぜこの選定にしたか」を説明できることが重要です。

Q5. パートナー選定にかかる期間の目安はありますか。 A. RFP作成から2〜3社の比較・面談まで、概ね4〜8週間を見ておくと安全です。単発案件では短縮できますが、継続案件を前提にする場合は、小規模なPoCを挟んで判断する企業が増えています。PoCの設計はブランドAIの小さなPoCを参照してください。

まとめ

AIクリエイティブの外部パートナーを選ぶ際は、作品の見栄えや使用ツールの数だけで判断しません。技術理解、実装経験、ブランド理解、ワークフロー設計、伴走・運用の5分野を確認します。

24項目を使えば、候補企業ごとに説明の粒度が異なっていても、同じ観点で回答を並べられます。自社の案件で欠かせない項目を先に決め、回答の根拠と制作後に残るものまで確認してください。

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