AI Craftは独立した賞ではなく、5つの既存部門に追加された審査カテゴリー

AI Craftは独立した部門ではありません。Design Lions、Digital Craft Lions、Film Craft Lions、Industry Craft Lions、Creative Data Lionsの5部門それぞれに設けられた審査カテゴリーです。応募者は既存の部門へ通常どおり応募し、その中でAI Craftに該当するかどうかが審査されます。

Cannes Lionsの公式説明では、従来の方法では実現できなかった成果や体験を、AIで実現した応募作が対象です。AIを使ったというだけでは、この条件に当てはまりません。企画、実行、成果の少なくとも一つについて、従来の方法だけでは実現できなかったことを説明する必要があります。

この設計は、AIを使った作品の中でも、AIが作品の成立に不可欠だったものを分けて評価する仕組みです。装飾としてAIを使った作品と、AIがなければ企画自体が成立しなかった作品を、審査の入口で切り分けています。

応募時はAIの使い方と、生成に使ったデータや指示の出所を主催者へ開示する

Digital Craft Lionsの応募フォームでは、AIを使った場合に次の説明が求められます。

  • 使用したAIツール
  • 完成作品のどこまでAIを使ったか
  • AI生成に使ったデータや入力の出所

Digital Craftへの応募では、作品の成果や影響を裏づける検証可能な証拠の提出が必要です。さらに、応募内容を正式に承認できるブランド側と応募会社側の上級責任者の情報も求められます。2026年からは、事実の正確性に関する申告、応募時の出典提示、AIを用いた応募内容の検証など、Cannes Lionsが定めるIntegrity Standards(応募の信頼性に関する基準)も強化されました。

これらはDigital Craftへの応募時に主催者へ提出する情報です。回答が一般公開されるとは公式ページに書かれていないため、受賞ページだけでデータや指示の出所、AIの使用範囲まで確認できるとは限りません。制作会社や監督のクレジット、ケーススタディ動画、応募者自身が公開したメイキングなどを合わせて確認する必要があります。

AI Craftの評価条件と、Digital Craftの応募時開示は分けて整理する

AI Craftの評価条件と、Digital Craftへの応募時に必要な情報は別のものです。混同すると、応募要件を評価基準と読み違えたり、逆に評価基準を応募要件と受け取ったりします。

確認すること 対象 公式情報で分かる内容
AI Craftの評価条件 AI Craftカテゴリーへの応募作 従来の方法では実現できなかった作品や体験を、AIで実現していること
AI使用の開示 Digital Craftの作品または応募資料でAIを使った応募者 使用したAIツール、完成作品での使用範囲、AI生成要素に使ったデータや指示の出所を説明
効果の確認 Digital Craftの応募 作品の成果や影響を裏づける検証可能な証拠を提出
応募の承認 Digital Craftの応募 ブランド側と応募会社側の上級責任者を記載

AIを使った作品がすべてAI Craftへ応募するわけではありません。また、応募時に提出した詳しい情報が、そのまま一般公開されるとも限りません。受賞作の制作工程を調べる際は、公開されたクレジットやケーススタディまで確認する必要があります。この記事の最後のAIクリエイティブパートナー選定ガイドでは、制作会社側に開示を求める項目を整理しています。

Project GenieはC05 AI CraftでGrand Prixを受賞

2026年6月23日に発表されたDigital Craft Lionsでは、Googleの「Project Genie」がGrand Prixを受賞しました。Cannes Lions公式の作品データベース「The Work」では、C05 AI Craftの受賞作として掲載されています。Project GenieはA06 UX & Journey DesignでもBronzeを獲得しました。

公式ニュースだけでは、Digital Craft内のどのカテゴリーで受賞したかまでは分かりません。受賞カテゴリーを特定する場合は、The Workの結果表を合わせて見る必要があります。The Workでは、部門コード(C05など)ごとに応募区分が整理されています。

Googleの公式動画では、Project Genieで文章や画像から操作できる世界を作り、その中を探索する様子を確認できます。GoogleはProject Genieを、世界モデル(world model:文章や画像から一貫した3D空間を生成する研究領域)を一般の利用者が試せる実験的な研究プロトタイプと説明しています。従来の3D制作フローや動画編集ソフトでは、テキストや静止画から探索可能な空間を即興で生成する体験は成立しませんでした。AI Craftが求める「従来の方法だけでは実現できなかった体験」の一例として、Grand Prix受賞という結果に反映されています。

Google DeepMindが公開した動画では、Project Genieの操作画面と生成される世界の様子を確認できます。

Google公式YouTube「Project Genie from Google DeepMind | Google」

動画:Google 公式チャンネルより引用

受賞作は、AI広告の制作情報を調べる入口として使う

Cannes Lions 2026は6月22日から26日までフランス・カンヌで開催されました。AI Craftの受賞作を調べる際は、作品名だけでなく、次の順で情報を確認します。

  1. ブランドと応募会社
  2. 制作会社、監督、デザイナー、技術担当
  3. 使用したモデル、サービス、編集ソフト
  4. AIを使った工程と、人が判断・修正した工程
  5. 公開された成果と、その根拠

Cannes LionsのAI受賞作を確認する5つの手順

編集部作成。公式発表と制作側の説明を混同しないための確認順です。

AI Craftでは、AIを使った事実だけでなく、その作品がAIによって何を実現したのかまで説明する必要があります。受賞結果を見るときも順位だけで終わらせず、ブランド、制作会社、AIを使った工程、生成に使ったデータや指示、成果の根拠までたどることで、公開情報から確認できる制作過程が分かります。

同じ手順は、他のAIクリエイティブアワードや広告祭の受賞作を読むときにも使えます。ADCアワード AIビジュアルデザイン部門Runway AI Film Festival 2026Higgsfield主催のGlobal Film Festivalの100万ドル賞金など、AIを軸にした受賞制度は2026年に入って複数動いています。それぞれ評価軸と開示要件が異なるため、Cannes Lionsの読み方をそのまま当てはめず、公式ドキュメントの確認から始めます。

社内でAI Craftのような基準を運用したい場合は、AI導入時の品質ゲート設計生成コンテンツの制作記録を合わせて確認します。応募要件と近い項目が並びます。

公式情報は、発表・応募要件・結果表を分けて確認する

Cannes Lionsの一次情報は3種類に分かれます。混同しないためのポイントを整理します。

  • 変更点の発表ページは、AI Craftを含む新設カテゴリーと審査の変更を告知します。
  • 各部門の応募要件ページ("what you need to know")は、応募時の開示項目と証拠提出の条件を示します。
  • 受賞結果はプレスリリースで概要が発表され、部門ごとの詳細な区分は「The Work」の結果表で確認できます。

3つを分けて読むと、「新カテゴリーの評価条件」「応募者が主催者へ出す情報」「実際の受賞結果」を混同せずに追えます。

FAQ

Q1. AI Craftはどの部門で審査されますか。 A. Design Lions、Digital Craft Lions、Film Craft Lions、Industry Craft Lions、Creative Data Lionsの5部門で、それぞれ設けられた審査カテゴリーとして審査されます。単独の部門ではありません。

Q2. AIを使った作品はすべてAI Craftの対象になりますか。 A. AIを使ったこと自体は条件ではありません。従来の方法だけでは実現できなかった作品や体験をAIで実現したことが条件です。装飾的にAIを使った作品は該当しません。

Q3. 応募時に開示したAIの使用範囲は、受賞ページで公開されますか。 A. 公式ページには、応募時に提出した情報が一般公開されると書かれていません。詳しい制作情報を確認する場合は、制作会社や監督が公開したケーススタディなどを合わせて調べる必要があります。

Q4. 2026年のAI Craft Grand Prixはどの作品ですか。 A. Digital Craft LionsのC05 AI Craftでは、GoogleのProject GenieがGrand Prixを受賞しました。作品データベース「The Work」で受賞カテゴリーコードが確認できます。

Q5. 受賞カテゴリーはどこで確認できますか。 A. Cannes Lions公式のニュース発表と「The Work」の結果表の両方を合わせて見ます。プレスリリースだけでは、Digital Craft内のどのカテゴリーで受賞したかまで特定できない場合があります。

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