なぜ Claude Code で SNS カルーセルを一括生成するのか
SNS のカルーセルは、Instagram なら最大 10 枚、LinkedIn の Document 投稿でも同程度の枚数を、一本の投稿として並べます。1 枚あたりの構図と文字はバラバラでよくても、色、書体、余白、ロゴの位置は、投稿全体で揃っている必要があります。ここが崩れると、フィードで並んだときに一投稿として読めません。
制作の現場で起きているのは、1 枚の生成は速くなったのに、5〜10 枚を揃えて出す段取りが手作業のまま残っていることです。原稿を書く担当、レイアウトを組む担当、写真を選ぶ担当が分かれているほど、色や書体の指定が投稿ごとにずれます。この段取りを一箇所に寄せる担当として、Claude Code が使えます。
Anthropic の公式ドキュメントは Claude Code を「コードベースを読み、ファイルを編集し、コマンドを実行し、開発ツールと連携するエージェント型ツール」と定義しています。制作の現場に置き換えると、案件フォルダに置いた原稿とブランドの型を読み、Recraft と Higgsfield の生成モデルを Model Context Protocol(MCP、AI エージェントが外部のツールと同じ作法でやり取りするための共通仕様)で呼び出し、命名規則に沿ってカルーセル 10 枚ぶんを並べる担当として機能します。
SNS カルーセルの workflow を Claude Code に載せる
カルーセル一本を組み立てる流れを Claude Code に載せると、次の順に走らせられます。
- 原稿の取り込み:ブリーフ、伝えたい要点、投稿の想定尺(何枚組か)を、案件フォルダのテキストに置く
- レイアウト表への展開:Skill「カルーセル展開」を呼び出し、要点を枚数ぶんに割り、各ページの見出し/本文/ビジュアルの役割を表に落とす
- テンプレ画像の生成:Recraft MCP でタイポと背景色を揃えた枠を各ページぶん書き出す
- 差し込みビジュアルの生成:Higgsfield MCP で写真調のカットや人物ショットを、必要なページだけ書き出す
- 合成と書き出し:Claude Code が Skill の命名規則に沿って
output/YYYYMMDD_<案件コード>_carousel_<n>.pngの形で並べる - 品質の自動チェック:Hooks が書き出し直後にサイズ、配色、書体を照合する
順番に処理する必要はありません。Claude Code のサブエージェント機能を使うと、Recraft のテンプレ生成と Higgsfield の写真生成を並列で走らせ、書き出し済みのページから順に品質チェックへ流す設計にできます。カルーセル一本ぶんの所要時間は、枚数の掛け算ではなく、一番遅い工程の時間で頭打ちになります。
実装1|原稿を Claude Code で書き、レイアウト表に落とす
原稿の下書きから始めます。案件フォルダに、ブリーフ、伝えたい要点、想定する投稿枚数、参考にする過去の当たり投稿を置きます。Claude Code に「新製品 A の Instagram カルーセルを 8 枚組で。表紙、課題提示、原因、解決策 3 枚、事例、まとめ、の順。1 ページあたり見出しは全角 15 文字以内、本文は全角 60 文字以内。」と指示します。
Claude は Skill を参照して過去の当たり投稿の型を読み、要点を 8 枚ぶんに割り、各ページの見出しと本文を CSV かマークダウンの表に書き出します。この表が、後段の画像生成の入力になります。原稿を先に確定させることで、画像の書き出しをやり直す前に、伝わり方の確認が言葉のレイヤーで済みます。
ここまでは Claude 自身の生成で完結するので、外部モデルの呼び出しは不要です。過去 1 年で保存率が高かった投稿の共通点を Skill に書き出しておくと、その特徴に寄せた見出しと本文が候補の上位に来ます。
実装2|Recraft の MCP でカラーとタイポを揃えたテンプレを作る
原稿が確定したら、テンプレ画像の生成に入ります。Recraft(リクラフト、Recraft AI)は、ラスターとベクターの画像を同じ API から出せる生成モデルで、公式ドキュメントによると MCP のリモートサーバー https://mcp.recraft.ai/mcp を提供しています。Claude や Cursor などの MCP に対応したクライアントから、OAuth で認証すると、そのまま呼び出せます。課金は Recraft Studio と同じサブスクリプションのクレジットが使えます。
Recraft を選ぶ理由は、SNS カルーセルで扱う「文字入りの枠」の再現度が高いことです。同じブランドカラーで背景を塗り、指定したフォントで見出しを載せ、ロゴを右上に置く、といった一枚ものの生成が、ページごとにずれずに出せます。Claude Code は Skill に書いたブランドの規約(カラーコード、書体、余白、ロゴの位置)を読み、レイアウト表の各行に沿って Recraft を呼び出し、8 ページぶんのテンプレを並列で書き出します。
Recraft の MCP は、ベクター生成、背景の除去、アップスケール、独自スタイルの作成といった編集も同じ枠から使えます。カルーセルの表紙だけベクターで書き出し、SVG のまま Figma に持ち込むといった分岐も、Skill の中に書いておけば Claude が自分で選びます。
実装3|Higgsfield の MCP で写真調のビジュアルを差し込む
テンプレの枠だけでは、事例や商品カットのページが埋まりません。ここに Higgsfield(ヒッグスフィールド、ヒグスフィールド、Higgsfield AI)の MCP を差し込みます。公式サイトによると、Higgsfield は https://mcp.higgsfield.ai/mcp のエンドポイントを公開しており、Claude Code / Claude / ChatGPT / Cursor / OpenClaw / Hermes の各クライアントから接続できます。既存の Higgsfield プランのクレジットが、MCP 経由の呼び出しにそのまま使えます。
Higgsfield が強いのは、写真調のカットです。Nano Banana Pro(テキストから写真調の画像を出す)、Seedream 5.0 Lite(同じ構図でバリエを大量に振る)、Soul 2.0(人物の肌質と表情の再現)などが同じ MCP から呼べます。Claude Code は Skill 側の記述に沿って、事例ページは Nano Banana Pro、商品カットは Seedream、モデルショットは Soul、と自動で振り分けます。
Recraft と Higgsfield を一つの案件で併用するときの分担は、Skill に一行で書いておくと事故が減ります。たとえば「文字が主役のページは Recraft、写真が主役のページは Higgsfield、両方が混じるページは Recraft で枠を作り Higgsfield の画像を後段で合成」といった書き方です。判断が言語化されていると、担当者が変わっても、同じ結果が出ます。
Skills でカルーセルの型を Claude Code に覚えさせる
Skills は、繰り返し使う制作の手順を、Claude Code が自分で呼び出せる形に束ねる仕組みです。フォルダ一つに SKILL.md を置き、手順と規約を書き、必要ならスクリプトや素材を並べます。.claude/skills/<名前>/ に置くと、Claude はそのフォルダを認識し、必要な場面で自分で読み込みます。
カルーセル制作で有効な Skill は、次の三つです。
- カルーセル展開の型:表紙/課題/原因/解決/事例/まとめ、の各役割と、1 ページあたりの文字数上限
- ブランドの規約:カラーコード、承認済み書体、ロゴの位置とサイズ、余白の下限
- 命名規則:
YYYYMMDD_<案件コード>_carousel_<ページ番号>.pngの形式と、Instagram/LinkedIn の比率別サブフォルダ
Skill は個人の作業補助というより、チームの共有資産として設計されています。Git で管理し、案件横断で使い回すことで、担当者が変わっても、同じカルーセルの型が出る状態を維持できます。書き出したものが仕組みとして残るのが、Skills の要点です。
Hooks で書き出し後の check を Claude Code に任せる
Hooks は、Claude Code が何かをする前後にシェルのコマンドを差し込む仕組みです。ファイル編集のたびにフォーマッタを走らせる、コミット前にリントを走らせる、といった使い方が公式ドキュメントで示されています。カルーセル制作に転用すると、書き出し直後の品質確認をここに寄せられます。
実務で効くのは、次の三つです。書き出した PNG のサイズが Instagram の 1080×1350 と LinkedIn の 1200×1500 に合っているかを、書き出し直後にスクリプトで検証する。ページ内で使われている色のヒストグラムを取り、ブランドカラーから外れた色が入っていないかを照合する。カルーセル 8 枚が揃った時点で、Slack の指定チャンネルに枚数と結果を通知する。人の確認は、Hooks が拾えなかった外れに限定できるので、10 枚を 10 枚ぶん目視する必要が消えます。
Hooks は Skills と並んで、制作の型を仕組みに落とすための道具です。毎回忘れがちなチェックを、人の記憶ではなく、コマンドとして固定できます。
Instagram と LinkedIn で分岐する設定
Instagram のカルーセルは 1080×1350 の縦長(4:5)が標準で、LinkedIn の Document 投稿は 1200×1500 が推奨とされています。同じ内容を両媒体に出すときに、比率と余白を作り直すのは手戻りが大きい工程です。
Skill の中で「媒体:Instagram / LinkedIn」の分岐を書き、Claude Code に「新製品 A のカルーセルを Instagram と LinkedIn の両方で。中身は同じ、比率と余白だけ媒体に合わせて。」と指示すると、Claude は Recraft の呼び出しを媒体ぶん分けて走らせ、それぞれの比率のテンプレを書き出します。書き出し先も output/20260826_A_ig/ と output/20260826_A_linkedin/ に分けて並べます。
ここでも Hooks が効きます。書き出し後に、Instagram 側は 1080×1350、LinkedIn 側は 1200×1500 に一致しているかを検証し、外れがあれば Claude に差し戻させる Hooks を組んでおくと、媒体別の書き出し忘れが減ります。
コスト試算と ROI の目安
カルーセルを Claude Code に載せるコストは、大きく三つに分かれます。Claude 自身の利用料、Recraft と Higgsfield のクレジット、そして初期の Skill 整備の工数です。
Claude は Anthropic の Team プラン(1 名あたり月額換算で数千円台)か Enterprise プランで運用します。Recraft は Recraft Studio のサブスクリプションクレジットが MCP 経由でも使え、月額数十ドルのプランで数百枚単位の書き出しが回ります。Higgsfield も既存プランのクレジットが MCP 呼び出しに共通で使え、月額数十ドルのプランで数千枚単位の生成が回ります。
初期の Skill 整備は、カルーセル展開の型、ブランド規約、命名規則の三本と、Hooks 二本を組む段階で、1〜2 週間が目安です。ここを越えると、SNS カルーセル 1 本(8〜10 枚)を組む時間が、担当者作業の半日から、指示から初稿までの 30〜60 分に落ちます。月に 20 本以上のカルーセルを回している現場では、初月から作業時間が半減し、3 か月後には従来の 3 分の 1 程度に落ちる想定です。
よくある質問
Q1. Instagram のカルーセルは何枚まで載せられますか。
A. Instagram の公式ヘルプによると、フィードの投稿で 1 回に添付できる画像や動画は最大 10 個です。カルーセルの Skill を組むときは、上限を 10 枚として設計し、5〜10 枚の範囲で内容に合わせて割る形が扱いやすいです。
Q2. Recraft と Higgsfield のどちらか片方だけでは組めませんか。
A. 片方だけでも組めます。文字入りの枠が中心で、写真差し込みが少ないカルーセルなら Recraft だけで完結します。逆に、事例や商品カットの写真が主役のカルーセルなら Higgsfield だけでも回ります。両方を併用するのは、ブランドの規約が細かく、テンプレの再現度と写真の質感の両方を要求される場合です。
Q3. カルーセルの原稿を Claude が書くと、ブランドのトーンから外れませんか。
A. Skill にトーン規約と NG 表現を書き出し、過去の当たり投稿の共通点を並べておくと、Claude はそこに寄せた候補を優先します。それでも初稿の段階で担当者が読み、直す箇所を指示する運用が現実的です。Claude が書いた原稿をそのまま出すのではなく、担当者が最終判断をする前提で設計します。
Q4. Instagram と LinkedIn の推奨サイズは変わりませんか。
A. Instagram のフィードは 1080×1350 の 4:5 が縦長の推奨、LinkedIn の Document 投稿は 1200×1500 が案内されていますが、両社の推奨は定期的に更新されます。Skill の中でサイズを一箇所にまとめて書いておき、更新があったら Skill の 1 行を直すだけで全案件に反映される形にしておくと、追随の手間が最小になります。
Q5. ブランドの機密資料や未公開の商品情報を扱えますか。
A. Anthropic の Enterprise プランでは、入力・出力の学習利用を止める設定と、データ保持期間の指定ができます。未公開の商品情報や機密のブリーフを扱う場合は、Enterprise プラン、または API 経由の運用で学習停止を入れた上で使う判断が必要です。MCP で接続する Recraft と Higgsfield の側にも、同じ観点で規約を確認します。
情報源
- Claude Code overview(公式ドキュメント)
- Claude Code Skills(公式ドキュメント)
- Claude Code MCP(公式ドキュメント)
- Claude Code Hooks(公式ドキュメント)
- Claude Code sub-agents(公式ドキュメント)
- Recraft MCP getting started(公式ドキュメント)
- Recraft MCP remote server(公式ドキュメント)
- Higgsfield MCP & CLI(公式ページ)
関連の解説 ・Claude Code をクリエイティブに使う実装ガイド ・Claude Code で SNS 画像を一括で書き出す実装 ・Claude Code でブランドコンテンツを大量制作する ・Claude Code と Recraft の MCP を接続する構成 ・Claude Artifacts と Recraft でブランドブックを組む
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