Claude モデルの全体像(2026 年 8 月時点)

Anthropic が現行世代として公開しているのは、能力の高い順に Fable 5、Opus 5、Sonnet 5、Haiku 4.5 の四つです。加えて、Fable 5 と同じ設計を防衛的サイバーセキュリティに絞って提供する Mythos 5 が招待制で存在します。Fable 5 は 2026 年 6 月 9 日、Sonnet 5 は 6 月 30 日、Opus 5 は 7 月 24 日に公開されました。Haiku 4.5 は前世代からの継続で、モデル ID は claude-haiku-4-5-20251001 です。

四つのモデルには、はっきりとした階層があります。Fable 5 が最も高い能力で、動きの遅い長い思考を担う。Opus 5 は Fable 5 の半分の単価で、複雑なエージェント作業と企業の実務を担う。Sonnet 5 は速度と判断のバランスが良く、日々の制作を回す位置にある。Haiku 4.5 は最も速く安く、大量の処理を担います。上の階層ほど値段が高く、下ほど速く安いという素直な設計です。

制作の現場から見ると、この階層のどこに何を載せるかの判断が、月ごとのコストと出力の質を大きく動かします。全部を Fable 5 で回せば表現は揃いますが、単価が跳ねます。全部を Haiku 4.5 で回せばコストは下がりますが、判断が要る場面で崩れます。実務は、案件の工程ごとに階層を使い分ける形が現実的です。

用途別 選定チャート(制作現場の言葉で)

制作の現場でよく出てくる作業を、モデルの階層に対応させると次のようになります。

長時間の思考が要る作業、たとえばブランド戦略の全体設計、キャンペーン全体の構成組み立て、大規模なコンテンツ棚卸しの判断は、Fable 5 が第一候補です。数時間をかけて多段の判断を積み重ねる場面で、他のモデルより崩れが少ないと Anthropic 公式が案内しています。

複雑な創造判断や企業案件の意思決定、たとえばクリエイティブディレクションのレビュー、ブランドトーンの微妙なずれの拾い上げ、多段のエージェントで進める制作の指揮は、Opus 5 が第一候補です。Fable 5 に近い判断力を持ちながら、単価は半分。日常の判断を任せて成立する上限がここにあります。

日々の制作を回す作業、たとえば動画スクリプトの初稿、SNS 画像のブリーフ生成、記事の下書き、モデレートな量のブランドチェックは、Sonnet 5 が第一候補です。単価は Opus 5 の 5 分の 2、速度は速い。案件を進める土台として、量と質のバランスが取れます。

大量の分類・要約・書き換え、たとえば数百枚の画像キャプション生成、既存タグの整理、大量ブリーフの初期分類は、Haiku 4.5 が第一候補です。単価は Sonnet 5 の半分、速度は最速。判断の細かさより回数の多さが効く仕事に向いています。

ブランドの機微な判断や重要な CD 判断は、下の階層に落とさず Opus 5 以上に留めるのが順当です。速くて安いモデルに任せて外すコストは、多くの案件で削減できる単価差より重くつきます。

Opus 5|複雑な判断とエージェント案件の主力

Opus 5 は 2026 年 7 月 24 日に公開されました。Anthropic 公式の位置づけは「複雑なエージェント的コーディングと企業実務のためのモデル」で、Claude Max の初期値、Claude Pro で選べる最上位モデルという扱いです。単価は入力 100 万トークンあたり 5 ドル、出力 25 ドル。1M トークンの文脈窓と、128k トークンの最大出力を持ちます。

制作の現場での使いどころは、判断が入る創造的な指揮の中核です。たとえば、キャンペーン全体のクリエイティブディレクション、ブランドガイドラインと生成物の細かい照合、多段のエージェントを組んで進める案件の指揮役、複数の下書きから最終判断を出す工程。判断力を Fable 5 に近づけながら、単価を半分に抑えた設計なので、日常の判断業務でここを基準に据えるのが実務的です。

Claude Code の管理タブで、案件ごとの初期モデルを Opus 5 に指定しておくと、以降のセッションが同じ判断力で回ります。Sonnet 5 に落とすべき軽い作業だけを、明示的に落として使う形が現場で扱いやすい構成です。

Sonnet 5|日常の制作を回す標準

Sonnet 5 は 2026 年 6 月 30 日に公開された、Sonnet 世代の最新版です。Anthropic は「最も自律的な Sonnet」と位置づけており、Opus 4.8 に近い性能を Sonnet の単価帯で提供する設計になっています。単価は入力 2 ドル、出力 10 ドル(2026 年 8 月 10 日以降の恒常価格)。1M トークンの文脈窓と、128k トークンの最大出力を持ちます。

制作現場での位置づけは、日常の制作を回す標準です。動画の絵コンテとスクリプトの初稿、SNS 画像の展開ブリーフ、記事の下書き、案件フォルダの整理、ブランドチェックの一次判断。案件を回すために毎日何度も呼ばれる作業を、この階層に集約するのが順当です。

Opus 5 との使い分けは、判断の可逆性で切るのが実務的です。あとで直せる工程は Sonnet 5、直せない最終判断は Opus 5 以上。この線引きを案件の頭で決めておくと、迷いが減ります。

Haiku 4.5|大量処理の下支え

Haiku 4.5 は、Anthropic 公式で「近フロンティア級の知能を持つ最速のモデル」と位置づけられています。単価は入力 1 ドル、出力 5 ドル。文脈窓は 200k トークン、最大出力は 64k トークンで、上位モデルより短い設計です。他のモデルにはない thinking.type: "enabled" の明示的な拡張思考を選べる仕様が残っています。

制作現場での使いどころは、量が主戦場になる工程です。数百枚の画像キャプションを一気に生成する、既存の記事タグを整理し直す、案件フォルダに溜まったブリーフを一次分類する、素材の説明文を大量に書き換える。一件あたりの単価が小さく、失敗しても捨てて再生成できる作業に向いています。

Haiku 4.5 は、Claude Code のサブエージェントに割り当てて並列で走らせる構成が扱いやすいです。リード役の Opus 5 が段取りを組み、Haiku 4.5 のサブエージェントが並列で大量処理し、結果を Opus 5 が受け取って判断する。この階層の組み合わせが、コストと速度の両立で効きます。

Fable 5|長い思考が要る案件の最上位

Fable 5 は 2026 年 6 月 9 日に公開された、Anthropic の最上位モデルです。公式の位置づけは「長時間走るエージェントのための次世代の知能」。単価は入力 10 ドル、出力 50 ドルと、Opus 5 の 2 倍。1M トークンの文脈窓と、128k トークンの最大出力を持ちます。適応的思考(adaptive thinking)が常時オンで、必要に応じて深く考える設計です。

制作現場での使いどころは、判断の重い案件と長い思考が要る工程に絞るのが順当です。ブランド戦略の全体設計、大規模なリブランディングの構成検討、100 件超の案件を横断で診断する棚卸し、一次資料が多い調査型の企画。数時間から一日単位で走る思考の作業で、途中で崩れないことに価値が出ます。

日々の制作すべてを Fable 5 で回す構成は、コストが跳ねるので現実的ではありません。案件の頭で全体設計を Fable 5 で組み、その後の実行を Opus 5 と Sonnet 5 に落とす、という階層で使うのが実務的です。

Mythos 5|招待制、防衛的サイバーセキュリティ用途

Mythos 5 は Fable 5 と同じスペック・同じ単価ですが、招待制で提供されているモデルです。Anthropic の Project Glasswing の一部として、防衛的なサイバーセキュリティのワークフローに絞って提供されています。自己申請での利用開始はできず、Anthropic、AWS、Google Cloud の担当と直接やり取りする必要があります。

制作の現場での直接の関連は限定的です。ブランド運用や生成コンテンツの制作でこのモデルを選ぶ場面は、今のところありません。名前だけは公式資料に並ぶので存在は押さえておき、選定の候補には入れないという整理で問題ないモデルです。

単価とコストの実務感

四つのモデルの単価差を、案件のトークン量に落とすと次のように出ます。仮に入力 10 万トークン、出力 2 万トークンの案件を月に 30 件回すと、Haiku 4.5 で約 60 ドル、Sonnet 5 で約 120 ドル、Opus 5 で約 300 ドル、Fable 5 で約 600 ドル。同じ案件を同じ回数動かすだけで、最上位と最下位で 10 倍の差が出ます。

制作の実務では、この差を工程で吸収する設計が要ります。案件の頭で使う戦略検討は Fable 5 か Opus 5、日常の実行は Sonnet 5、大量処理は Haiku 4.5、というピラミッド構成が標準の姿です。ピラミッドの上に厚みを持たせず、下に厚みを持たせる。この形が単価とアウトプットの両方で効きます。

案件別のコスト管理は、Claude Enterprise の管理機能でグループ別・利用者別に可視化できます。案件ごとの合算コストとモデル別の内訳を月次で見て、階層が上に膨らんでいる場合は工程の切り分けを見直す運用が現実的です。単価差は案件が長引くほど積み上がるので、月次の確認で早めに整えるほうが後工程での修正より軽く済みます。

もう一つ実務で効くのは、Batch API の割引を組み合わせる設計です。締切に余裕のある大量処理を Haiku 4.5 の Batch API に流すと、単価がさらに下がります。速度が要る作業だけを同期の API に残し、非同期で回せるものは Batch 側に寄せる。この二段構えで、月次コストのぶれが小さくなります。

Claude Design / Skills / Code / MCP との相性

モデル選定は単独で決めるものではなく、どの拡張と組み合わせるかで最適解が変わります。

Claude Design(クロード デザイン)の統一の仕組みは、承認されたブランドの基準に照らして自動で修正が入る設計です。ここで動くモデルを Opus 5 以上に指定しておくと、細かなブランド判断の精度が落ちません。逆に Haiku 4.5 に落とすと、承認基準の解釈で外れが増えます。ブランド管理者側からモデルの初期値を指定する運用と組み合わせるのが順当です。

Claude Skills は、案件ごとの型を Skill として仕込む仕組みです。Skill の中身が明確に書かれていれば、Sonnet 5 でも十分に動きます。Skill が曖昧で判断の余地が大きいと、Opus 5 以上を選ばないと安定しません。Skill の書き方が甘い状態で下の階層に落とすと、判断の粗さが出力に出るので、この二つは片方だけを整えても機能しません。

Claude Code のサブエージェントは、モデル階層をそのまま反映できる仕組みです。リード役に Opus 5、並列のサブエージェントに Sonnet 5 か Haiku 4.5、という構成が扱いやすい配置です。案件全体の判断はリードに集約し、実行は並列で速く回す。この階層設計を Claude Code の初期設定に落としておくと、日々のセッションで使い分けが自動化されます。

MCP(Model Context Protocol)で外部ツールを繋ぐ場面では、モデル選定と接続先の設計を同時に見る必要があります。生成モデルを MCP 経由で呼び出す構成では、Claude 側の判断はコスト効率で Sonnet 5 に落として、生成モデル側のコストとバランスを取るのが実務的です。

よくある質問

Q1. どのモデルから始めるのがよいですか。
A. Anthropic 公式は Opus 5 を第一候補として案内しています。制作の現場でも、日常の判断業務を Opus 5 に据え、上を Fable 5、下を Sonnet 5・Haiku 4.5 に振り分ける階層が、最も扱いやすい構成です。

Q2. Sonnet 5 と Opus 5 の違いは、実務でどこに出ますか。
A. 単純な下書きや初稿の生成では、差はほとんど感じません。差が出るのは、多段の判断が積み重なる工程、ブランドの機微な解釈、複数案の中から最終案を選ぶ判断、といった場面です。あとで直せない工程は Opus 5、直せる工程は Sonnet 5、という切り分けが実務的です。

Q3. Haiku 4.5 だけで案件を回すことはできますか。
A. 大量処理が主体で、細かな判断が入らない工程だけならば可能です。ただし、ブランド判断や創造的な指揮の工程が案件に含まれる場合、Haiku 4.5 単独では判断精度が足りません。上位のモデルとの階層構成が現実的です。

Q4. Fable 5 と Mythos 5 は何が違うのですか。
A. スペックと単価は同じです。違うのは提供の形で、Fable 5 は一般公開、Mythos 5 は Anthropic の Project Glasswing の招待制で、防衛的サイバーセキュリティのワークフローに絞って提供されています。制作の現場で選ぶモデルは Fable 5 側です。

Q5. 案件ごとにモデルを切り替える運用は現実的ですか。
A. Claude Code の設定と Claude Enterprise の管理タブで、案件ごとの初期モデルを指定できます。担当者が案件フォルダを切り替えるたびに、その案件に指定したモデルが自動で選ばれる構成にできるので、切り替えの手間はほぼ発生しません。

まとめ|階層で使い分ける発想を最初に決める

Claude のモデル選定で一番の要は、単独で最強を選ぶのではなく、階層で使い分ける発想を最初に決めることです。案件の頭にある戦略検討は Fable 5 か Opus 5、日常の判断業務は Opus 5、日々の実行は Sonnet 5、大量処理は Haiku 4.5。この四段のピラミッドを案件の設計に埋め込んでおくと、コストと出力の両方が安定します。

一気に階層を組む必要はありません。まず Opus 5 と Sonnet 5 の二段から始めて、案件が動き出したら Haiku 4.5 で大量処理を吸収し、戦略検討の場面が増えたら Fable 5 を頭に足す、という順で広げていくのが現実的です。制作の型が揃うほど、下の階層に安心して任せられる作業が増え、単価が下がります。

関連の解説
Claude Opus 5 をブランド戦略に使う実装ガイド
Claude Code をクリエイティブに使う実装ガイド
Claude Design 企業導入ガイド|チームでブランド管理を統一する方法
Claude Skills でブランドガイドラインを Skill 化する方法
Higgsfield MCP 導入ガイド

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Sources(一次情報中心)

  1. Anthropic — Models overview(Claude Platform Docs、現行 2026 年 8 月反映)
    https://platform.claude.com/docs/en/about-claude/models/overview
  2. Anthropic — Introducing Claude Opus 5(2026 年 7 月 24 日)
    https://www.anthropic.com/news/claude-opus-5
  3. Anthropic — Introducing Claude Sonnet 5(2026 年 6 月 30 日)
    https://www.anthropic.com/news/claude-sonnet-5
  4. Anthropic — Claude Platform Docs — Migrating to Claude Opus 5
    https://platform.claude.com/docs/en/about-claude/models/migration-guide
  5. Anthropic — Project Glasswing(Claude Mythos 5 の提供枠組み)
    https://anthropic.com/glasswing
  6. Anthropic — Code with Claude 2026: Opening Keynote(公式 YouTube)
    https://www.youtube.com/watch?v=GMIWm5y90xA