Ouchhh|科学データを、空間全体で見る作品に変える

Ouchhhは、データ、AI、アート、建築を組み合わせるイスタンブール発のスタジオです。公式サイトでは、データペインティング、データ彫刻、大型プロジェクション、公共空間のインスタレーションを数多く掲載しています。

代表例として確認できる「Human Cell Atlas」は、ヒトの細胞を網羅的に記述する研究データを使った作品です。公式説明によると、単一細胞RNA解析のデータを整理したうえで、Auto Encoder、PCA、t-SNEなどを使い、数値の集まりから特徴や分布を取り出して映像にしています。

ここでAIは、指示文から画像を作るためではなく、膨大な科学データから特徴や分布を見つけ、それを映像や空間作品として見せるために使われています。この作品は、一枚の広告画像ではなく、大型スクリーンや展示空間で見せる映像作品です。

  • 向いている相談:科学・環境・都市データを大型展示へ変えたい
  • 先に用意するもの:使用できるデータ、会場、表示設備、作品が伝える意味
  • 確認が必要な点:データ提供者、分析方法、Ouchhh以外の共同者、会場での実装範囲

なお、作品ページの「世界初」などの表現はOuchhh自身の主張です。AIGC TIMESが独自に最上級を認定するものではありません。

「Human Cell Atlas」の映像をOuchhh公式ページで見る

Universal Everything|来場者の動きから、毎回異なる姿を作る

Universal Everythingは、世界各地のメディアアーティストや空間演出のデザイナーが参加する制作集団です。公式サイトは「Living Motion Systems」を掲げ、デジタルの形が成長し、動き、変化する環境を制作すると説明しています。

同社の公式作品「Future You」は、来場者の動きを読み取り、その動きに合わせて画面内の姿を変化させます。公式説明では、4万7,000通りの変化が用意されたとされています。

この作品では、あらかじめ決めた一本の映像を流すのではなく、来場者の動きに合わせて画面内の姿を変えるためにAIが使われています。一方、Universal Everythingの全作品がAI制作ではありません。CG、モーションキャプチャ、リアルタイム処理、ARなど、作品ごとに技術が異なります。

  • 向いている相談:人の動きに反応する参加型の映像作品を作りたい
  • 先に用意するもの:来場者の動き、表示環境、鑑賞時間、変化させる範囲
  • 確認が必要な点:来場者の動きに合わせて画面を変える方法として、AI、あらかじめ決めたルール、CGのどれが使われているか

Universal Everything「AI: More Than Human / Future You」

onformative|完成品より先に、AIとの作り方を研究する

ベルリンのonformativeは、アート、デザイン、技術を横断するスタジオです。公式サイトでは、ブランド案件と自主研究を同じ作品一覧で公開しています。

onformative「AI Sculpting」公式ページ

画像:onformative引用。出典:onformative

onformative「AI Sculpting」公式ページ

「AI Sculpting」は、AIに3Dモデルを彫らせる自主研究です。立方体を出発点に、目標形状へ近づく削り方を強化学習で学ばせています。

余分な部分を削れば報酬を与え、必要な部分を削れば罰を与えます。実装にはUnityとUnity ML-Agentsが使われています。

人は完成形を直接モデリングするのではなく、道具、ルール、報酬を設計し、AIが試行錯誤する過程を観察します。その後、人が出力を選び、展示する彫刻として編集します。

これはブランドの量産事例ではありません。むしろ、AIに何を任せ、人がどこで選ぶかを研究した作品です。企業が同社へ相談するなら、既存広告を短期間で作る仕事より、新しい技術から表現方法を探る研究開発型の案件として考える方が、公開されている実績に近くなります。

  • 向いている相談:AIとの共同制作方法そのものを試したい
  • 先に用意するもの:研究課題、評価ルール、展示または応用の仮説
  • 確認が必要な点:自主研究をブランド案件へどう転用するか、納品範囲はどこか

「AI Sculpting」の工程映像をonformative公式ページで見る

FIELD.IO|生成物だけでなく、ブランドが使い続ける制作システムを作る

FIELD.IOは、ロンドンとベルリンを拠点に、映像、空間、リアルタイム表現、ブランド向けの制作システムを手がけるスタジオです。同社は、単発の映像だけでなく、ブランドが継続して素材を更新できる制作方法も公開しています。

FIELD.IO「Meta Brand Management Tools」公式ページ

画像:FIELD.IO引用。出典:FIELD.IO

FIELD.IO「Meta Brand Management Tools」公式ページ

FIELD.IOが公開するMeta事例では、4年間の協業でグローバルなブランドシステムを作り、その関連案件として、レイアウト、文章表現、翻訳を補助するAIインターフェースや試作ツールを研究したと説明されています。完成済みの汎用製品ではなく、制作負荷を減らすためのプロトタイプです。

Nikeの店舗向け事例では、更新可能な素材データベースとリアルタイム合成を使い、店舗の画面へ表示する映像をブランドガイドに沿って組み替えます。公式説明では、AIが画像や動画の内容を読み取り、商品や見せたい部分が画面の中心に来るよう配置を調整するとされています。

  • 向いている相談:ブランド資産を複数の国や店舗の画面で継続して使いたい
  • 先に用意するもの:ブランドガイド、既存素材、利用者、出力先
  • 確認が必要な点:AIが自動処理する範囲、人の承認、運用開始後の保守

FIELD.IOの事例が示すのは、AIを一つの作品の制作だけでなく、ブランド素材を継続的に更新する仕組みにも組み込めることです。

4社の選び方は、技術名ではなく納品物から逆算する

4社を比べるとき、「生成AIを使えますか」という質問だけでは足りません。先に、欲しいものを次のどれかへ分けます。

  • 科学・環境データを使った大型の空間作品
  • 来場者の動きに反応する映像・空間作品
  • 新しいAI表現を探る研究と試作
  • 複数の国や媒体で使い続けるブランド制作システム

公式作品で確認する点も、4社で変わります。Ouchhhでは入力データと展示空間への実装、Universal Everythingでは来場者の動きに応じて画面内の姿がどう変わるかを見ます。onformativeでは学習の過程と人が成果物を選ぶ工程、FIELD.IOでは完成画面だけでなく、誰がどのように素材を更新するかを確認します。公式動画や作品画像が印象的でも、そこから担当範囲、常設運用、権利、効果測定まで自動的に読み取ることはできません。

  • Ouchhh:使用できるデータとその権利、会場設備、保守の担当範囲を確認します。
  • Universal Everything:来場者の動きに応じて画面内の姿をどう変えるかに加え、再生環境、生成条件、作品ごとのAI使用範囲を確認します。
  • onformative:研究課題と評価ルール、研究成果を商用案件へ転用できる範囲を確認します。
  • FIELD.IO:ブランド資産とガイド、運用者、承認手順、更新方法を整理し、試作と本番運用の範囲を分けます。

そのうえで、入力データ、設置場所、公開期間、運用者、AIが判断する範囲、どの段階で人が承認するかを確認します。

Ouchhh、Universal Everything、onformative、FIELD.IOは、いずれも技術と表現を横断します。しかし、同じ「AI」「生成表現」「データアート」という言葉でも、制作工程と成果物はまったく違います。公式事例で何のデータや素材を使い、何を作り、完成後にどこまで運用しているのかを確認し、自社が依頼したい内容と一致する会社を選ぶ必要があります。

公式動画でOuchhhの作品を見る

Ouchhh Studio公式YouTubeでは、「Human Cell Atlas」が大型空間でどのように表示されるかを確認できます。

動画:Ouchhh Studio 公式チャンネルより引用

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