登壇者ごとに、本人が主役になる短い映像を用意した

Google I/O 2026では、登壇者がステージへ現れる際の紹介映像を一人ずつ作りました。Googleが制作例として挙げたのは、Google LabsとGoogle Geminiを統括するJosh Woodward氏の映像です。デジタル上の本人が「Chrome Dino」に乗り、その後バスケットボールをダンクする場面へ移ります。

ここで作られたのは、製品機能を説明するデモ動画ではありません。登壇者の顔や本人らしさを保ちながら、現実には撮影しにくい場面を短い演出へまとめた、Googleの自社イベント用映像です。

Google I/O 2026登壇者映像の制作工程

Googleの公式制作記録をもとにAIGC TIMES編集部が作成。公式が公表していないソフト、回数、担当者は補っていません。

最初にNano Banana Proで、人物と場面の基準を作った

制作の起点になったのは、Googleの画像生成・編集モデル「Nano Banana Pro」です。Googleは、人物や小道具、場面の見た目をそろえるための資料を作り、そこから絵コンテを組み立てたと説明しています。

公式記事では、この資料をingredient reference sheetsと呼んでいます。日本語では、後の画像や映像で人物と場面をそろえるための「基準画像集」と捉えると分かりやすいでしょう。完成画像を一枚作って終えるのではなく、次の工程で参照する基準素材を先に用意したことが分かります。

公開された指示文には、男性が恐竜に自然に乗っていること、手綱を持つこと、サボテンを残すこと、人物にも夜明けの光を当てることなどが書かれています。何を描くかだけでなく、変えてよい箇所と残す箇所を具体的に指定しています。

絵コンテでは、複数案を試しながら本人らしい要素を加えた

基準画像を作った後、制作チームは場面の順序を考え、複数の案を試しました。Googleは、この段階で登壇者本人に合わせた細部も加えたとしています。

この説明から確認できるのは、Nano Banana Proの出力をそのまま動画生成へ渡したわけではないことです。誰をどう見せるか、どの動きを選ぶか、本人らしさをどこへ入れるかは、絵コンテを作る側が決めています。採用しなかった案の数や、本人確認をどの段階で行ったかは公表されていません。

Flow上でVeoとGemini Omniを使い、動きを作った

画像の準備後は、Googleの映像制作サービス「Flow」で動画を作りました。ここは名称を分けて理解する必要があります。

  • Google Flow:画像や動画の生成モデルを選び、素材を参照しながら映像を作るサービス
  • Veo:文章や画像をもとに動画を生成するモデル
  • Gemini Omni:複数の形式を参照し、動画の生成や会話による編集を行うモデル

Googleは、まずVeoで登場人物の動きを試し、ダンクなどのアニメーションを作ったと説明しています。その後、Flow上のGemini Omniでも映像を生成しました。複雑なスポーツ動作では、Gemini Omniが特に役立ったとしています。

Gemini Omniが動画を生成・編集するモデルであることは、Google DeepMindの公式紹介動画でも確認できます。この動画はモデルの機能を示すもので、Google I/O登壇者映像のメイキングではありません。

動画:Google 公式チャンネルより引用

公式記事に掲載されたFlow用の指示文では、基準画像に合わせて恐竜の見た目を保つこと、サボテンを飛び越えること、最後にダンクすることが指定されています。ここでも「動かす」だけでなく、前工程で決めた見た目を崩さないように条件を与えています。

最後に制作チームが合成し、動きの速度と間を整えた

生成された動画は、そのまま登壇者紹介映像として採用されたわけではありません。Googleの制作チームは、生成した映像素材を合成し、タイムリマップを行って、完成版のタイトル映像へ仕上げたと明記しています。

合成は、複数の映像素材やレイヤーを一つの画面へまとめる作業です。タイムリマップは、映像の一部を速くしたり遅くしたりして、動きの見せ場や尺を調整する編集を指します。Googleは、この仕上げに使ったソフトや、合成・時間調整の各操作でAIを併用したかどうかを公表していません。

Googleは、どのソフトで合成したか、どの場面を何倍速にしたか、生成映像を何本試したかまでは公開していません。したがって、「Nano Banana ProとGemini Omniだけで完成した」と説明するのも、「すべてを手作業で直した」と推測するのも不正確です。

AIと人の担当範囲を工程ごとに分ける

Googleが公開した範囲を並べると、制作は次のように分かれます。

工程 公式に確認できるモデル・サービスの使用 制作チームが行ったこと
基準画像 Nano Banana Proで基準となる素材を生成 必要な場面を指示し、次工程で参照する素材を用意する
絵コンテ 生成素材を場面検討に利用 複数案を試し、登壇者本人に合わせた細部を加える
動きの試作 Flow上のVeoで動きやダンクのアニメーションを生成 試作した動きを絵コンテと照らして検討する
複雑な動き Flow上のGemini Omniでスポーツ動作を含む映像を生成 基準画像との一貫性を保つ条件を指示文に入れる
仕上げ 生成映像を素材として使用 合成とタイムリマップで完成版へ整える。使用ソフトとAI併用の有無は非公表

この工程で重要なのは、モデルを一つに決めて最初から最後まで作ったのではなく、画像、動きの試作、複雑な動き、仕上げで役割を分けた点です。複数のAIを使ったこと自体より、次の工程が判断できるように基準画像を先に作ったことが、制作全体の軸になっています。

完成映像より先に、基準画像と採用条件を決める

Google I/Oの制作記録では、先に基準画像を作り、見た目を保つための条件を動画生成へ引き継いでいます。ブランド企業がこの事例を参考にするなら、完成動画を生成する前に、商品、人物、ロゴ、色、光のうち何を固定するかを確認項目にできます。

実務では、次の順序に置き換えられます。

  1. 公開可能な人物写真、商品画像、ブランド要素を確認する
  2. 人物や商品のどこを変えてはいけないか決める
  3. 基準画像を作り、関係者が見た目を確認する
  4. 一場面ずつ動きを試し、採用条件を残す
  5. 生成結果を合成・編集し、公開前に本人、商品、権利を確認する

ただし、Google I/Oの記録はGoogle自身のイベント制作事例です。外部クライアント案件の承認方法や、一般企業が同じモデルを使った場合の費用、制作日数を示すものではありません。

Google I/O 2026登壇者映像で確認できる範囲

Googleの公表事項と非公表事項をAIGC TIMES編集部が整理。合成・タイムリマップを誰がどのソフトで操作したかは公表されていません。

公表資料だけでは分からないこと

Googleが公表していないのは、制作期間、担当人数、生成回数、採用率、制作費、使用したVeoの詳しい版、合成ソフト、本人確認の手順です。Gemini Omniが作った箇所とVeoが作った箇所を、完成映像の秒数単位で区別する情報もありません。

また、Googleはこの制作例について、従来より何時間短縮できたか、視聴者の反応がどれだけ変わったかといった成果を示していません。本記事では、制作工程が公開された事例として扱い、効率や広告効果を推測しません。

Google I/O 2026の制作記録から分かること

この登壇者映像では、Nano Banana Proで見た目の基準を作り、VeoとGemini Omniで動きを作った後、制作チームが合成と時間調整を行いました。画像生成、動画生成、仕上げを分け、前工程の素材を次の工程で参照する構成です。

一日研修や社内検証でこの事例を扱うなら、「どの基準画像を先に確認するか」「生成後の仕上げを誰が担当するか」を演習項目にできます。Googleが公表していない承認方法や作業分担は、自社の条件に合わせて別途設計する必要があります。

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Google I/O 2026の制作工程を確認した公式情報


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