Higgsfield Audioとは

Higgsfield Audioは、Higgsfieldが2025年以降に段階的に投入した音声機能群である。公式ブログでは、Voiceover、Change Voice、Translateの三機能を「AIコンテンツ制作のフルサイクル化」を目的にまとめた統合ツールとして案内している。

TTS(テキスト読み上げ)はVoiceoverの中核である。文章を入力して音声ファイルを出力する使い方が基本で、生成した音声はそのままLipsync StudioやCinema Studioへ渡してアバターの唇と同期させたり、映像に重ねたりできる。

2026年8月10日のChangelogでは、Higgsfield Audioの再設計と新モデル追加が告知され、感情・出力形式・ピッチの詳細設定と、18言語対応の動画翻訳+リップシンクが追加された。

対応言語とAIモデル

対応言語

  • Voiceover(TTS):70言語以上
  • Voice Changer:74言語以上
  • Translate(動画翻訳+リップシンク):18言語(2026年8月時点)

TranslateはChangelog以前の公式ブログ時点では10言語(英語、標準中国語、フランス語、ヒンディー語、イタリア語、日本語、韓国語、ポルトガル語、ロシア語、トルコ語)で、スペイン語、アラビア語、ドイツ語が「近日対応」として案内されていた。2026年8月10日の更新でこの範囲が18言語まで拡張されている。

選べる音声モデル

Higgsfield AudioのTTSは、単一モデルではなく複数の外部モデルを内包している。公式ブログとVoice Changerページに記載されているモデルは次のとおりである。

  • Eleven v3(ElevenLabs系)
  • MiniMax Speech 2.8 HD
  • VibeVoice
  • Seed Speech(Voice Changerで案内)
  • Qwen(2026年8月10日追加、Higgsfield Audio再設計時)

生成のたびに使用モデルを選び直せる構造で、モデルごとに音質、表現の得意分野、消費クレジットが異なる。企業案件で仕上がりを比較する際は、同じ台本を複数モデルで生成し、抑揚と発音のクセを聞き比べる手順が確実である。

声質の選び方

プリセット音声

Higgsfield公式ブログは、40以上のプリセット音声、うち男性・女性別に21以上のプリセットが選べると案内している。プリセットはナレーション、キャラクター、落ち着いた語り、明るい語り口など、用途別に分類されている。

カスタム音声(Voice ID)

自分やタレントの声を登録するVoice IDは、次の条件で作成できる。

  • 対応形式:MP3またはWAV
  • 音声の長さ:最大2分
  • サンプル取得方法:アップロード、または画面上で直接録音
  • 保存できるカスタム音声の数:最大3

背景ノイズを抑えたクリアな録音が公式で推奨されている。企業で使う場合は、単一話者、単一マイク、40〜60秒の無音区間なし読み上げをテンプレート化しておくと、Voice IDの再現性が安定する。

他者の声を扱う際の同意

Higgsfieldの利用規約は、顔や声を含む素材をサービスへ入力する場合、本人からの同意や許諾を得ることを利用者の責任として求めている。社員、俳優、外部ナレーターの声をVoice IDに登録する際は、生成範囲、利用媒体、保存期間、退職・契約終了後の扱いを事前に文書化しておく必要がある。

プロンプト設計の考え方

Higgsfield AudioのTTSは、単なる読み上げではなくトーンや感情の指定を受け付ける。公式のLipSync解説では「感情ヒントを含む会話的な台本を書く」ことが推奨されている。

実務で効くのは次の書き方である。

  • 感情タグを角括弧で挟む(例:「[落ち着いた声で] 本日は…」)
  • 一文を短く区切り、句点で息継ぎを作る
  • 数字、単位、固有名詞はカタカナや読み仮名を添える
  • 強調したい単語の前に半角スペースを一つ入れ、間を取る

2026年8月10日以降の再設計版では、感情・出力形式・ピッチの詳細設定がUI上で個別に指定できる。プロンプト側で意図を明示しつつ、UI側で微調整する二段構えが実務では扱いやすい。

Cinema Studio・Lipsync Studioとの連携

Higgsfield AudioはCinema Studio 2の画面内に統合されている。動画を生成した後、そのままAudio側で音声を作り、Lipsync Studioへ渡す一連の流れを一つのアカウントで完結できる。

公式のLipsync Studio紹介動画では、Speak 2.0、InfiniteTalk、Sync.so、Kling Lipsync、Kling AI Avatar、Veo 3の複数モデルを組み合わせて口の動きを合わせる構成が示されている。

動画:Higgsfield AI 公式チャンネルより引用

推奨されるワークフローは次のとおりである。

  1. 台本を先に確定し、Audioで音声を生成する
  2. 生成音声を聞き、抑揚と間、単語の発音を確認する
  3. Cinema StudioまたはImage/Video画面で映像を作る
  4. Lipsync Studioに映像と音声を渡し、リップシンクを合わせる
  5. 表情、視線、頭の動きまで通しで再生し、齟齬があった要素だけ再生成する

音声を先に固めるのは、映像側のカット割りと尺を確定させるためである。TTS段階で秒数が読めれば、映像プロンプトのカメラ移動や場面転換に無理が生じにくい。

料金とクレジット

Higgsfieldはクレジット制で、Audioも共通のクレジットプールから消費する。個人向けプランは公式料金ページで、Starter、PlusまたはPro、UltraまたはMaxの三段階で案内されている。

  • Starter / Basic:月額9ドルから、月120〜270クレジット
  • Plus / Pro:月額29ドルから、月600〜1,200クレジット
  • Ultra / Max:月額79ドルから、月1,800〜9,000クレジット

Audio単独の従量料金は公式ページに個別項目としては掲載されておらず、プラン内のクレジット消費として扱われる。地域、キャンペーン、契約時点によってプラン名と価格が変わるため、実際の月額と付与クレジット、更新日はアカウント画面での確認が必要である。

生成に必要なクレジットは、選ぶモデル、音声の長さ、Translate利用時の言語ペアで変わる。ボタン近くに表示される消費見込みを確認してから生成するのが確実である。

他社TTSとの比較

Higgsfield AudioのTTSは、ElevenLabsやMiniMax、VibeVoiceなど複数の外部モデルを一つの画面から扱える点が特徴である。ElevenLabsをはじめとする単独TTSサービスと比較した場合、次のような棲み分けになる。

  • 単独TTSサービス(ElevenLabs等):音声品質・Voice Libraryの厚み・API連携で優位
  • Higgsfield Audio:TTSからLipsync、映像生成、翻訳までを同じ画面で往復できる点で優位

すでにElevenLabsのVoice Libraryや業務APIを組み込んでいる企業は、Higgsfield AudioをCinema Studioや動画翻訳のワンストップ側として使う二本立てが現実的である。一方で新規に音声ワークフローを立ち上げる場合、Higgsfieldに寄せると社内の運用対象が一本にまとまりやすい。

商用範囲と権利

Higgsfieldの利用規約は、利用者が入力した素材と生成結果について同社が所有権を主張せず、生成結果の商用利用も制限しないと定めている。この方針はAudioで生成した音声にも適用される。ただし、次の責任は利用者側に残る。

  • 入力した文章、音声、動画、画像の権利処理
  • Voice IDに登録した本人からの同意取得
  • 楽曲、効果音、既存キャラクター音声など第三者素材の権利確認
  • 生成結果を配信する国・媒体ごとの表示義務や規制対応

2026年7月26日更新の利用規約では、通常契約で入力と生成結果をHiggsfieldのモデル改善に使う場合があると明記されている。Enterprise Agreementでは、顧客コンテンツを学習に使わず機密情報として扱うとされている。未発表商品のCM音声や、顧客企業のブランドボイスをVoice IDで扱う場合は、契約形態と学習利用の可否を事前に確認する必要がある。

ブランド企業での実務ユースケース

Higgsfield Audioを企業案件で使う場面は、大きく三つに整理できる。

多言語CM・製品紹介動画

日本語で作った製品紹介動画を、Translateで他言語版に展開する用途である。18言語対応で、リップシンクまで同時に合わせられるため、海外展開時の吹き替え制作を短縮できる。テロップと音声で商品名・価格・注意書きが一致しているかは、公開前に人による確認が必要である。

社内動画・研修コンテンツ

社内周知や研修動画のナレーションをTTSで作り、更新のたびに録り直す手間を減らす用途である。台本を差し替えるだけで音声も更新できるため、制度改定や商品情報の入れ替えに追随しやすい。

社員・タレントの声のブランド資産化

コーポレートの代表音声や、ブランドキャラクターの声質をVoice IDで登録し、案件横断で使う用途である。トーンとテンポを固定できるため、シリーズ動画やSNS投稿で音の印象を揃えやすい。この用途では、本人合意と契約範囲、退任時の停止手順を先に整えることが前提となる。

いずれの用途でも、Higgsfield AudioのTTSはあくまで下ごしらえであり、最終尺の抑揚、間、固有名詞の読みは制作担当が聞き取りチェックする工程を組み込む必要がある。

画像生成・動画生成モデルの全体像を見る

Higgsfield Audio TTS のよくある質問

Higgsfield Audio単体で契約できるのか

Higgsfield AudioはHiggsfieldのプランに含まれる機能である。単独のAudio専用プランは公式料金ページに掲載されていない。Higgsfieldのアカウントを持てば、プラン内のクレジット範囲でVoiceover、Change Voice、Translateを使える。

生成した音声はそのまま公開できるのか

商用利用は規約上制限されないが、入力した文章の権利、Voice IDに使った声の同意、翻訳先言語での表現の適切さは利用者側で確認する必要がある。特にタレントや社員の声を使う場合は、公開媒体・期間・地域の合意を先に取ることが前提である。

対応言語数はどこで更新されるのか

対応言語や新モデルの追加は、Higgsfieldの公式Changelog(creator-hub/changelog)で告知される。2026年8月10日にはAudio再設計とQwenモデル追加、18言語対応が案内されている。実運用前にChangelogの最新エントリで、現在の対応範囲を確認しておくとよい。

Higgsfield Audio TTS は台本を先に固めて使うのが基本

Higgsfield AudioのTTSは、複数の音声モデル、70言語以上のVoiceover、最大2分のVoice ID、Cinema Studio・Lipsync Studioとの連携を一つの画面にまとめた機能である。単独のTTSサービスとしてよりも、Higgsfieldの映像制作フローと組み合わせて使う設計になっている。

初めて業務に組み込む場合は、台本、Voice IDに使う声、対応言語、公開媒体の権利範囲の四つを先に固めてから、モデルとプリセットの比較検証に入るのが確実である。

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