Marketing Studioとは
Marketing Studioは、Higgsfield, Inc.が提供する広告制作専用の画面である。同社のWebサービスHiggsfield内に、Image、Video、Cinema Studio、Soul IDなどと並んで用意されている。他画面が汎用の画像・動画生成を目的とするのに対し、Marketing Studioは「商品を投稿できる状態の広告に変える」ことに絞った構造をとる。
公式ページは、Marketing Studioを「あらゆる商品を投稿できる状態のマーケティングコンテンツに変えるHiggsfieldのワークスペース」と説明している。入力は商品ページのURLまたは商品画像で、出力はプロダクトショット、UGC動画、広告動画、マーケットプレイス画像、ポスター、モーショングラフィックスの6形式にまたがる。Marketing Studioが一般公開された2026年4月時点で、Higgsfieldは動画生成モデルSeedance 2.0との統合を発表しており、公式SNSでは「商品から完成した広告までを一つのワークフローで、UGC・開封・レビューなど9つの広告スタイルを生成する」と案内している。
主要機能の三つの柱
Marketing Studioの機能は多いが、実務での起点となるのは次の三つである。
URL-to-Video
商品ページのURLを貼り付けると、Marketing Studioは商品名、説明、商品画像を自動で抽出し、動画生成の素材として登録する。ECサイトのプロダクトページ、SNSのポスト、LP、いずれのURLからでも情報を取得できる設計である。
URLを使わず、手元の商品画像を最大5枚まで手動で登録することもできる。登録後は、Marketing Studio内で商品カード(Product Card)として管理され、複数の動画形式で使い回せる。
9形式のクリエイティブモード
Marketing Studioは、生成する動画の目的別に9つのクリエイティブモードを持つ。公式ページに掲載されている構成は次のとおりである。
- TV Spot:16:9の横型テレビCM形式
- UGC:SNS向けのユーザー投稿風動画
- Tutorial:使い方や手順を紹介するチュートリアル形式
- Product Review:商品レビュー形式
- Unboxing:開封動画形式
- UGC Virtual Try-On:アバターが商品を試着するUGC形式
- Hyper Motion:CGI級の動きを持つ映像形式
- Pro Virtual Try-On:プロ品質の試着動画形式
- Wild Card:短いプロンプトから自由度の高い映像を作る形式
同じ商品カードから、異なる形式の動画を並列に生成できる。SNS施策、ECページ、テレビCM検討など、媒体別に必要な形態が異なる場合でも、素材を作り直さずに同じ入力から派生させる運用に向く。
100+アバターとカスタムアバター生成
Marketing Studioには、100種類を超えるアバター(バーチャルプレゼンター)が用意されている。年齢、雰囲気、話し方の異なるアバターから、商品と媒体に合う出演者を選ぶ形をとる。
用意されたアバターに加えて、Soul 2.0を経由したカスタムアバター生成にも対応している。自社モデル、社員、契約タレントの写真からアバターを作り、Marketing Studioに登場させることも可能である。ただし、実在の人物を素材として入力する場合は、本人の同意と、生成AIへの入力・広告利用・保存期間まで含めた許諾範囲を、事前に確認する必要がある。
Higgsfield公式チャンネルは、Marketing Studioを中核に据えた広告制作ワークフローを紹介する動画を公開している。実際の操作画面で商品カードの登録から広告動画の出力までの流れを確認できる。
出典: Higgsfield 公式YouTube「I Built an Entire Marketing Agency With 1 AI Tool!」(2026-05-25公開)
URL-to-Videoの使い方
URL-to-Videoは、Marketing Studioの入口に位置する機能である。手順は次の五段階で整理できる。
1. 商品ページのURLを貼り付ける:対応する入力は、ECサイトの商品ページ、ブランドのLP、SNSに投稿された商品紹介ポストのURLである。貼り付け後、Marketing Studioが商品名、説明文、商品画像を自動抽出し、商品カードを生成する。
2. 抽出結果を確認する:自動抽出は必ず正しいとは限らない。商品名、機能説明、価格、注意書きが元ページと一致しているかを確認する。ブランド名の表記、単位、通貨、キャッチコピーの差分は特に見落としやすい。
3. 商品画像を追加する(任意):URLから取得した画像で不十分な場合、手元の画像を最大5枚まで追加登録できる。パッケージ正面、使用シーン、成分表、比較画像などを補足すると、後段の動画生成で画角の選択肢が広がる。
4. クリエイティブモードを選ぶ:SNS配信用ならUGCまたはUnboxing、テレビCM検討ならTV Spot、EC詳細ページの補完ならTutorialやProduct Review、キービジュアル刷新ならHyper Motionといった具合に、媒体と目的から逆算する。
5. 生成結果を確認する:商品名、機能表記、価格、ロゴ、注意書きが元の商品ページと一致するかを照合する。文字の誤変換、実物と異なる色味、パッケージの向き、アバターの発話内容も一つずつ確認する。採用案は、使用した商品カード、モード、アバター、指示文、生成日を記録に残す。
プリセットとテンプレートライブラリ
Marketing Studioは、プロダクトショット、UGC動画、広告動画、マーケットプレイス画像、ポスター、モーショングラフィックスの6形式にまたがる数百のプリセットを持つ。業種、商材、演出のパターンごとに分類されており、一から演出を組み立てずに広告素材を作れる設計である。
同じ商品カードから複数のプリセットに展開できるため、SNS用の縦動画、EC用の横画像、店頭POP用のポスターを並列に作る運用が可能である。ただし、プリセットの見本と自社ブランドのトーンが合うかは事前に確認する必要がある。
100+アバターの選び方
Marketing Studioに用意された100以上のアバターは、年齢、性別、雰囲気、話し方、服装の異なる人物像から構成されている。商品の対象層と、投稿する媒体のトーンから逆算して選ぶ。D2C商材のUGCではカジュアルなアバター、B2B SaaSのTutorialでは落ち着いたトーン、TV Spotでは広告に馴染むトーンといった対応関係が基本になる。
自社のブランドタレントや起用モデルを継続的に使う場合は、Soul 2.0で本人のアバターを作り、Marketing Studio内で使い回す運用ができる。契約タレントの肖像を用いる場合は、AI利用の許諾範囲、二次利用の条件、契約終了後の使用停止条項を事前に契約書で明確にする必要がある。
9形式のクリエイティブモードの使い分け
9形式のクリエイティブモードは、それぞれ想定媒体と表現の粒度が異なる。実務での使い分けを整理する。
SNSファーストの短尺配信にはUGCとUnboxingが向く。縦型、15〜30秒、生活感のある演出でTikTokやReels向けに数を作りやすい。UGC Virtual Try-Onはコスメやファッションの試着訴求で使う。
EC商品ページの補完にはTutorialとProduct Reviewが向く。Tutorialは手順の説明に、Product Reviewは第三者視点の推奨に、それぞれ適する。
ブランド訴求と広告出稿にはTV SpotとHyper Motionが向く。TV Spotは16:9の広告フォーマットでテレビCMやYouTube広告に流用しやすい。Hyper MotionはCGI級の動きを持つキービジュアル映像で、ブランドの世界観を提示する用途に向く。
プロ品質の試着動画にはPro Virtual Try-Onが向く。UGC Virtual Try-Onよりも演出の完成度が高く、公式カタログや広告に用いる想定の形態である。
探索的な演出候補作りにはWild Cardが向く。短いプロンプトから自由度の高い映像を出力し、企画初期の演出案出しに使える。
Higgsfield公式チャンネルは、Marketing Studioを含む広告制作の3ステップワークフローを紹介する動画を公開している。実際の操作画面で複数モードを組み合わせる流れが確認できる。
出典: Higgsfield 公式YouTube「3-Step Workflow To Make Ultra-Realistic AI Ads」(2026-06-23公開)
Seedance 2.0および2.5との連携
Marketing Studioは、動画生成モデルSeedance 2.0を中核に据えて設計されている。Seedance 2.0は、Higgsfield内で選べる複数の動画生成モデルの一つで、広告制作に必要な短尺・高解像度・被写体安定性を持つと同社は案内している。2026年8月には後継版のSeedance 2.5がHiggsfield内で提供され、Marketing Studioからも新版を選べる状態にある。
新版が公開されるたびに、選べるモデルの選択肢、必要クレジット、対応解像度は更新される。生成前に、選択中のモデル、動画の長さ、解像度、必要クレジットを画面上で確認する。モデルの切り替えを社内で共有する場合は、「Marketing Studioで作った」ではなく、使用したモデルとバージョンまで記録に残す。
ブランド企業の実務ユースケース
Marketing Studioの機能は多いが、ブランド企業でよく発生する場面に絞ると次の三つに整理できる。
D2C ECの動画バリエーション大量制作
D2Cコスメ、ファッション、ライフスタイル用品では、商品ページのURLから複数の動画パターンを生成し、SNS・広告・ECページに展開する使い方が向く。1つの商品カードからUGC、Unboxing、Tutorial、Product Reviewを並列に作り、媒体別のA/Bテスト素材とする。生成物の商品名、価格、機能表記、注意書きの照合、および景表法・薬機法・特商法の観点は、AI生成物であっても従来の広告と同一の基準で審査する。
SNS広告の縦型動画量産
TikTok、Reels、Shorts向けの縦型動画を大量に必要とする案件では、UGCとUnboxingを主軸に据える。100以上のアバター、複数の話し方、複数のシチュエーションを組み合わせ、同一商品でも異なる訴求の動画を並列に作れる。UGC風の演出が消費者に「実際のユーザー投稿」と誤認される可能性があるため、AI生成物であることの表示、ステマ規制、景表法の観点を、配信前に必ず確認する。
ブランドキービジュアルの映像化
既存のブランドキービジュアルや広告写真を素材として登録し、Hyper MotionとTV Spotで動画版を試作する使い方も可能である。静止画のトーンを保ったまま動きと音を加え、ブランドサイト、デジタルサイネージ、SNSのブランディング投稿に展開する。契約タレントの肖像、既存キービジュアルの著作権、音楽の使用権など、通常の広告制作と同じ権利確認が発生する。
商用利用の範囲と料金
Marketing Studioで作った動画の商用利用は、Higgsfield全体の利用規約に従う。同社は入力素材と生成結果の所有権を主張せず、生成結果の商用利用も制限しないと定めている。公式ページでも「生成したコンテンツは、オーガニック投稿から有料キャンペーンまで、自社のチャネルで公開できる」と案内されている。
2026年7月更新の利用規約によれば、通常契約では入力と生成結果を同社のモデル改善に使う場合があると明記される一方、Enterprise Agreementでは顧客のコンテンツをモデル学習に使わず機密情報として扱うとされている。未発表商品や社員・タレントの写真を扱う場合は、入力素材の学習利用、非公開管理の可否、解約後のデータ削除、第三者IPの利用範囲を、契約前に確認する必要がある。
料金は、Marketing Studio単体ではなく、Higgsfield全体のクレジット制プランに含まれる。公式料金案内は、個人向けプランを次の三段階に整理している。
- StarterまたはBasic:月額9ドルから、月120〜270クレジット
- PlusまたはPro:月額29ドルから、月600〜1,200クレジット
- UltraまたはMax:月額79ドルから、月1,800〜9,000クレジット
料金は国と地域で変わり、Unlimited案内や割引の適用条件も一定ではない。Marketing Studio公開時には、新規ユーザー向けに最大14日間のUnlimited生成と最大70%割引が案内されたが、時期によって条件は変わる。契約前に自分のアカウントに表示される月額、付与クレジット、更新日を確認する。
1回の動画生成に必要なクレジットは、選んだモデル、動画の長さ、解像度、クリエイティブモードで変わる。料金表だけで月間本数を見積もらず、実際に使う設定を1本試して、生成ボタン付近に表示される消費量から逆算するのが確実である。
Marketing Studioは商品情報から広告動画までを一つの画面で作る
Higgsfield Marketing Studioは、商品ページのURLまたは商品画像を起点に、UGC、テレビCM、開封、レビュー、プロダクトショット、モーショングラフィックスまでを一つの画面で作れる制作画面である。動画生成モデルSeedance 2.0/2.5を中核に、9つのクリエイティブモード、100以上のアバター、6形式にまたがる数百のプリセットを備える。
D2C EC、SNS広告、ブランドキービジュアルの映像化など、動画バリエーションを大量に必要とする用途で制作コストと時間を圧縮できる。一方で、商品名・価格・機能表記の照合、景表法・薬機法・特商法・ステマ規制の確認、契約タレントの肖像利用の許諾範囲は、AI生成物であっても従来の広告と同じ基準で審査する必要がある。
導入時は、Marketing Studio単体で完結する用途か、Cinema StudioやSoul IDと組み合わせる用途かを整理する。料金と商用利用の条件は公式ページで最新のものを確認したうえで、社内の法務と制作記録の運用に合わせて設定する。
公式情報
- Higgsfield
- Marketing Studio 紹介ページ
- Marketing Studio 制作画面
- Marketing Studio Community(ギャラリー)
- Marketing Studio ヘルプセンター
- Marketing Studio 活用例(アプリのマーケティングスタック構築)
- Higgsfield 料金
- Higgsfield 利用規約
- 利用規約・プライバシーポリシー更新のお知らせ(2026年7月)
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