『Candela』とは
『Candela』は、Magnificの社内制作チームであるMagnific Studiosが手がけた恋愛ドラマです。海辺の焚き火で出会った二人の記憶を、1978年と現在の二つの時間から描いています。
Magnificの公式作品ページでは、2026年の短編映画として公開されています。公式メイキングは、すべてのフレームをMagnific上で生成し、最後に編集して一本の物語へ仕上げたと説明しています。
ここでいう「すべてのフレームを生成した」は、一つの指示だけで映画全体が完成したという意味ではありません。制作側が公開した工程は、準備を含めて細かく分かれています。
最初のフレームを作る約1年前に、物語が完成していた
制作チームによると、物語は、最初のフレームを生成する約1年前に完成していました。生成へ入る前に、登場人物、場所、映像の見せ方、作品の雰囲気、脚本まで用意しています。
これは、1年間ずっと生成作業を続けていたという意味ではありません。物語が完成したのが最初のフレームの約1年前です。その後の制作期間は、公式メイキング動画の説明欄では1か月、Cannes Lionsの記事では約10日とされ、両者の集計範囲は明らかにされていません。
制作側は、準備が明確なほど後から迷う時間が減り、使用するクレジットも抑えられると説明しています。生成前の準備として挙げたのは、物語、登場人物、場所、映像の見せ方、作品の雰囲気、脚本です。
制作は「人物・場所・静止画・動画・音・編集」の6段階
Magnificの公式メイキングでは、制作工程を六つに分けています。最初に登場人物を設計し、次に物語の舞台を作ります。その後、各場面の基準になる静止画を用意し、ショット単位で動画にします。最後に音を加え、映像と音を編集して完成です。

画像:AIGC TIMES編集部(Magnific公式メイキングをもとに作成)
工程を分けておくと、うまくいかなかったときに、どこへ戻ればよいかが分かります。動画の人物が別人に見えた場合、動画の指示だけを直すのではなく、人物設計や基準画像まで戻って確認できます。
同じ人物を二つの時代へ登場させる
『Candela』には、若い頃と現在の同じ人物が登場します。制作チームは、同一人物だと分かるように、顔の傷やそばかすまで決めた人物表を先に作りました。
人物表にはNano Banana Proを使い、ClaudeからMagnific MCPを通じて生成したと説明されています。若い姿と年齢を重ねた姿を別々に作るのではなく、共通する特徴を残したまま年代を変えています。
動画の約90〜95%にはSeedance 2.0のマルチショット機能を使いました。焚き火を囲む複数の人物が、場面をまたいでも同じ位置関係に見えるように、全員が写った基準画像を置き、ショットごとの指示を詳しく書いています。
「約90〜95%」は制作チームが公表した値であり、第三者が全フレームを検査した数字ではありません。
主要人物を途中で一から作り直した
制作の後半では、主要人物の一人を変更しています。完成済みの動画を別の人物へ変換する方法も試しましたが、必要な品質には届きませんでした。
そこで制作チームは、新しい配役を決め、人物のデザインからやり直しました。元のプロンプトを手がかりに、その人物が登場する場面の大半を作り直しています。

画像:AIGC TIMES編集部(Magnific公式メイキングをもとに作成)
2,591回は、完成版に使った素材の数ではなく、制作全体で行った生成の回数です。工程別の内訳は公表されていませんが、主要人物を作り直した経緯からも、完成までに多くの試行があったことが分かります。
Claudeは映像を作らず、Magnificへ指示を渡した
制作チームはClaudeからMagnific MCPを呼び出し、プロジェクトの作成、フォルダ分け、画像や動画の生成を会話で指示しました。Claude自体が映像を生成したのではなく、指示をまとめてMagnificの各機能へ渡す窓口として使われています。
生成した素材と設定は、Magnificの「Spaces」に整理しました。登場人物、場所、静止画、動画を同じプロジェクト内に残し、前の工程へ戻れるようにしています。
音楽について、Magnific公式記事は「Magnific-licensed library」と記載した音源ライブラリの楽曲から始め、Sunoで歌詞とボーカルを加えたと説明しています。公開情報だけでは、楽曲の権利者、許諾の主体、具体的な使用範囲までは確認できません。どの映像を残し、どこで切り、音をどの場面へ置くかは、最後の編集で決めています。
公式動画で本編と制作工程を見る
次の動画は、Magnific公式YouTubeが公開したメイキング映像です。説明欄には3人、1か月、2,591回と記載されています。
動画:Magnific 公式チャンネルより引用
『Candela』本編もMagnific公式YouTubeで公開されています。
動画:Magnific 公式チャンネルより引用
公開情報から分かること、分からないこと
公式情報から確認できるのは、3人のクリエイターと2,591回の生成、物語が最初のフレームの約1年前に完成していたこと、制作が6段階に分かれていたことです。主要人物を途中で作り直した経緯も、制作側が公開しています。
一方、制作期間は公式内で1か月と約10日に分かれ、集計範囲や起算点は公表されていません。制作費、各工程に使った時間、2,591回の内訳、3人という人数に誰を含めたのかも不明です。音源や各ツールの具体的な使用許諾がどこまで及ぶのかも、参照した公開情報だけでは確定できません。
『Candela』から持ち帰れるのは、「短期間で映画を作れる」という結果だけではありません。公式メイキングの中心にあるのは、生成前に物語を完成させ、人物と場所の基準を作り、失敗したら前の工程へ戻るという制作順序です。
『Candela』を確認した公式情報
- Magnific公式メイキング — 6段階の工程、最初のフレームを作る約1年前に完成していた物語、主要人物の作り直し
- Magnific公式YouTube:How it was created — 説明欄に3人、1か月、2,591回生成と記載した公式動画
- Magnific公式記事:Magnific at Cannes Lions 2026 — 3人の女性AIクリエイターが約10日で制作し、2,591回生成したと説明
- Magnific公式YouTube:『Candela』本編 — 短編映画の本編
- Magnific Originals:Candela — 作品情報と制作主体
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