Mareyでできること

Moonvalleyの公式サイトでは、Mareyの主な機能として次の6つが案内されています。

  • 文章から動画を作る「Text-to-Video」
  • 画像を動かす「Image-to-Video」
  • 参照映像の人物や物体の動きを移す「Motion Transfer」
  • 人物の姿勢を移す「Pose Transfer」
  • 参照映像のカメラワークを移す「Camera Control」
  • 画面内の動線を指定する「Trajectory Control」

ここで大事なのは、1回の指示文だけで完成映像を引き当てる設計ではないことです。たとえばCamera Controlでは、画像や映像を3Dのシーンとして解析し、その中でカメラを動かす流れが案内されています。Motion TransferやPose Transferでは、参照映像を使って動きの方向を指定できます。

広告やブランド映像では、「雰囲気が近い」だけでは修正指示を出しにくいものです。Mareyは、映像制作者が普段使うカメラや演技の考え方に寄せて、生成結果を調整できるようにしている点が特徴です。

Marey公式サイトでCamera Controlなどのデモを見る

機能名だけでは違いが分かりにくいため、入力素材から選ぶと整理しやすくなります。

手元にある素材 最初に見る機能 公式説明から確認する点
指示文だけ Text-to-Video 構図、動き、照明を文章でどこまで固定できるか
1枚の画 Image-to-Video / Camera Control 元画像の構造を保ちながら、被写体とカメラのどちらを動かすか
演技や動きの映像 Motion Transfer / Pose Transfer 元映像のタイミングと動作を、別の被写体へどう移すか
物体を動かす経路 Trajectory Control 指示文の再生成ではなく、画面上の軌道で動きを指定できるか

MoonvalleyはCamera Controlについて、1枚の2D画像を3D環境として扱い、撮影現場のようにカメラを動かす考え方を示しています。Trajectory Controlは、対象物の進路を描いて動きを指定する機能です。どちらも「一度で完成する」ことの保証ではなく、修正したい要素を分けて指示するための制御です。

Webアプリは提供中。APIは入口が分かれている

MareyはMoonvalleyのWebアプリで利用できます。公式ヘルプに掲載されている月額プランは、Standardが14.99ドル・100 credits、Plusが34.99ドル・250 credits、Proが149.99ドル・1,000 creditsです。Moonvalleyは月間生成の目安を順に約10回、25回、100回と案内していますが、映像の長さや設定で消費量は変わります。creditsは月末に失効し、追加分は10 creditsあたり1.50ドルです。

APIは少し注意が必要です。Moonvalley公式サイトにはAPIの待機リストがありますが、外部の推論基盤falでは「Marey Realism v1.5」のAPI提供が発表されています。したがって、「MareyのAPIは未提供」でも「誰でもMoonvalleyへ直接API接続できる」でもありません。

企業が検討するときは、次の3つを分けて確認する必要があります。

  1. Webアプリで担当者が制作するのか
  2. fal経由のAPIで自社システムへ組み込むのか
  3. Moonvalleyとの直接契約やエンタープライズ対応が必要なのか

価格、クレジット、提供経路は変わりやすいため、導入時には公式ページで再確認してください。

「ライセンスを得た学習データ」は、Moonvalley自身の説明

Moonvalleyは、Mareyを「fully licensed data」で学習したモデルと説明しています。生成AIを企業制作へ使う際、モデル提供元が学習データをどう説明しているかは比較材料になります。

一方、これだけで個別案件の権利確認が不要になるわけではありません。公式利用規約では出力の商用利用が認められていますが、入力素材の権利、人物の肖像、第三者の商標、生成物の確認は利用者側にも残ります。企業として見るべきなのは、次の二層です。

  • モデル側:学習データと利用条件を提供元がどう説明しているか
  • 案件側:入力素材と最終出力を自社が利用できるか

「ライセンス済みモデルだから安全」と一文で終わらせず、この二層を切り分ける方が実務的です。

Asteriaは別モデルではなく、社内の映像制作スタジオ

AsteriaはMoonvalleyが保有する社内スタジオです。Moonvalleyの公式記事では、30人を超える映画制作者やアニメーターが参加し、スケッチ、絵コンテ、写真、短い映像などを使って生成映像を試す方針が説明されています。

ここから「AsteriaがMareyの全機能を開発した」「Asteria作品がそのままMareyの性能証明になる」とは言えません。Moonvalleyが公式に掲げているのは、制作者が日々フィードバックを返し、映像制作の要求を製品開発へ近づける体制です。どの意見がどの機能へ実装されたかまでは公開情報から確認できません。

それでもAsteriaの存在は、Mareyの見方を変えます。単に生成速度を競うのではなく、絵コンテ、カメラ、演技、編集といった制作工程をモデル側へ持ち込もうとしているからです。

作品を見る場合は、Mareyのモデル紹介と、Asteriaを含む制作者の完成作品を分けます。Moonvalley公式ShowcaseにはMarey v1.0 / v1.5の紹介やTED2025関連作品が掲載されていますが、各映像の制作クレジットと使用機能は同一ではありません。画質だけでなく、どの入力と制御を使った映像なのかを作品ごとに確認します。

Moonvalley公式ShowcaseでMareyの映像を見る

日本企業が比較するときの答え

Mareyを他の動画生成サービスと比べるなら、「映像がきれいか」だけでは足りません。確認したいのは、次の4点です。

  • 必要なカメラワークや動きを参照素材で指定できるか
  • Webアプリ、外部API、直接契約のどれが自社の運用に合うか
  • 学習データと商用利用について、提供元が何を説明しているか
  • 入力素材と生成物を、人がどこで確認するか

Mareyは、Moonvalleyが提供する制御重視の動画生成モデルです。Asteriaはその別名でも上位版でもなく、映像制作者を開発に近づける社内スタジオです。この関係を押さえると、製品機能、会社の方針、作品実績を混同せずに評価できます。

公式情報