2023年、40年超のアーカイブからDesign CoPilotを作った

Maison Metaの公式案件ページによると、プロジェクトの開始は2023年10月です。Norma Kamaliのデザインと、著作権で保護された40年超のアーカイブをもとに、独自のAIモデルとDesign CoPilotを作りました。

一般の画像生成サービスへブランド名を入力したのではありません。Norma Kamali本人とクリエイティブチームがMaison Metaと共同で進め、Maison Metaが案件ページで説明するアーカイブを使っています。

Norma KamaliとMaison Metaの協業の流れ

画像:AIGC TIMES編集部(Norma KamaliとMaison Metaの公式情報をもとに作成)

案件ページから確認できるのは、アーカイブの年数、独自モデル、Design CoPilot、開始時期、継続中という状態です。学習に使った資料の点数、モデルの構成、生成した案の数、実際に商品化したデザインは公表されていません。

Norma Kamali本人は、AIへ何を残そうとしたのか

Norma Kamaliの公式YouTubeには、Maison Metaとの対談動画が公開されています。動画の中でKamaliは、各シーズンやその時々の出来事を自分がどう解釈するかまで、アーカイブへ反映させたいという考えを話しています。

動画:NORMA KAMALI 公式チャンネルより引用

つまり、保存してきた服の形だけを読み込ませたいのではありません。何を見て、どう考え、次のデザインへつなげてきたのかという判断も残そうとしていました。

公式案件ページは、40年超のデザインとアーカイブをもとに、独自モデルとDesign CoPilotを作ったと説明しています。本人の対談と合わせると、アーカイブを過去作の保管庫ではなく、次の案を検討するための材料として使おうとしたことが分かります。

2026年、協業はECの再設計へ広がった

Maison Metaは2026年2月19日、Norma KamaliのEC体験を全面的に再設計すると発表しました。商品を見つける仕組み、利用者に応じた案内、閲覧中の反応に合わせて変わる導線などを含む構想です。

案件ページに掲載されたコレクション画像は、今後公開するサイト向けにAIで作ったと明記されています。ただし、画像が公開されたことと、ECの各機能が稼働したことは同じではありません。

最初のプロジェクトは、デザイナー側の発想を支えるDesign CoPilotでした。次のプロジェクトは、買い手が商品を見つける体験を変えるECです。同じ協業でも、使う人と目的が違います。

作成済みのDesign CoPilotと、開発中のThe NK Houseを分ける

Maison Meta Appsでは、The NK HouseをNorma Kamali向けのAIコマース基盤と説明しています。個別の買い物案内、商品発見、生成AIを使った体験を掲げていますが、状態は「Coming Soon」「In development」です。

公開情報で確認できることと未公表のこと

画像:AIGC TIMES編集部(Maison Meta公式案件ページとMaison Meta Appsをもとに作成)

執筆時点で確認できるのは、ECを再設計する計画と、開発中という状態です。実際に利用できるEC画面、提供開始日、案内方法、購入までの動作は確認できません。

Design CoPilotとThe NK Houseを一つの完成済みシステムとして扱うと、現在地を誤ります。前者は2023年に始まったデザイン支援、後者は2026年に発表された開発中のECです。

公式情報から確認できること、まだ分からないこと

ブランド側の公式YouTubeとPodcastは、Norma KamaliがMaison Metaと取り組んでいることを確認できる情報です。Maison Metaの案件ページは、開始時期、アーカイブの年数、Design CoPilot、EC開発の内容を説明しています。

一方、売上、購入率、制作費、開発人数、公開後の利用率は公表されていません。The NK Houseの機能が実際に動いているかも、公開画面では確認できません。

Maison Metaのサイトには「All rights reserved」とあります。公式ページで案件画像を見られることは、別媒体への再掲載を認めたことにはなりません。本稿では案件画像を転載せず、公式動画の埋め込みと編集部が作成した図で説明しています。

ブランドアーカイブを使う案件で先に決めたいこと

この事例をそのまま他社へ当てはめることはできませんが、何を決める必要があるかは見えてきます。

まず、誰が権利を持つ資料を使うのかを明確にします。次に、過去作の外見だけを学ばせるのか、デザイナーの考え方や判断を記録して使うのかを分けます。さらに、専用AIをデザイン担当者だけが使うのか、顧客向けサービスまで広げるのかを決めます。

この事例では、Kamaliのデザインと、著作権で保護された40年超のアーカイブをもとにDesign CoPilotを作り、その後、顧客向けECの開発へ広げました。本人の考え方や判断を、モデルや運用へどこまで組み込んだかは公表されていません。

過去の資料をAIへ渡すこと自体が成果ではありません。誰が何を考えるために使うのか、どこまで公開するのかを決め、その範囲に合わせて資料と権利を整理することが、ブランドアーカイブを扱う案件の出発点になります。

Norma Kamali×Maison Metaの公式情報、ここにまとめました


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