Recraftの商用利用は有料プランで初めて全面的に認められる
Recraftのライセンス条件は、Free Tierと有料サブスクリプションで大きく異なります。Free Tierの利用者に付与されるのは、個人利用に限定された非独占ライセンスだけです。ここに商用利用は含まれません。
有料サブスクリプションに切り替えると、生成した画像の著作権が利用者に譲渡されます。マーケティング資料、ブランディング、商品パッケージ、印刷物など、業務用途に幅広く使えます。範囲はTerms of Serviceの第7条に整理されています。
利用形態が個人か法人かを問わず、判定は「目的」で行われます。副業や取引先向けの制作は、規約上は商用利用にあたります。無料枠のまま業務に流用するとライセンス違反となり、アカウント停止の対象になります。
Free Tierでは商用利用が禁止されている
Free Tierで生成した画像は「Free Tier Assets」と呼ばれます。所有権はRecraft社に帰属し、公開ギャラリーで他の利用者から閲覧できる状態に置かれます。
Free Tier Assetsに付与されるライセンスは、個人利用に限定された非独占ライセンスです。譲渡や再ライセンスはできません。ストックサービスに販売として登録することも認められていません。
Free Tier Assetsを商用に流用した場合、Recraft社は即時契約解除の権利を持ちます。AIモデルの学習に使った場合も同じ扱いです。それ以降の利用権が全て消滅し、生成した画像の破棄も求められます。
Free Tierには生成量にも上限があります。生成の上限は1日3回までです。画像アップロードは1日3枚まで、1回の生成で最大2枚までとされています。並列生成は使えず、選べるのはRecraft社の自社モデルだけです。外部モデルはBasic以上に切り替えないと選択できません。試用としては十分でも、業務ラインには乗せられない設計です。
Basic・Pro・Teamsで認められる商用利用の範囲
Recraftの有料プランは、月額10ドルのBasicから始まります。BasicではCommercial rightsが明記され、生成した画像を業務に使えます。年払いにすると月額換算で20%下がる価格設計です。
Proは月額16ドルで、動画生成が解放されます。Kling、Veo、Sora、Seedanceなどの外部動画モデルもクレジット消費で呼び出せます。生成物のライセンスはBasicと同じ設計です。
Teamsは1シート月額18ドルで、最低3シートから契約します。共有ワークスペース、共有スタイル、集中請求、シングルサインオンが加わります。商用利用の許諾はBasic・Proと同水準に揃えられています。
Basicには月1000クレジット、Proには2000クレジットが付与されます。月内に使い切れなかった分は繰り越されません。追加のtop-upクレジットは購入後に有効期限が付かない設計です。月次クレジットを使い切った後に自動的に消費されます。生成量の変動が大きい業務では、有料プランとtop-upの組み合わせで運用します。
プランごとの詳細はRecraftの料金プラン整理にまとめています。
生成物の所有権と著作権はどう扱われるか
有料プランで生成した画像は、利用者が所有します。Recraft社はTerms of Service第7.2条で、著作権を利用者に譲渡すると明記しています。二次利用や商業配布の判断は利用者に委ねられます。
契約を解約しても、有料期間中に生成した画像の権利は残ります。公開ギャラリーへの再掲載も行われません。契約中に作った資産を、退会後に自社のサイトや広告に使い続ける運用は認められています。
一方、Recraft社と利用者のあいだで所有権が争われた場合、裁判管轄はニューヨーク州法が基準になります。EU/EEA/UKの消費者向け強行法規は例外として保持される設計です。
Community Assetsという枠組みもあります。公開ギャラリー掲載の素材のうち、Recraft社が権利を持つ画像には利用ライセンスが付与されます。個人利用にも商用利用にも使える非独占ライセンスです。第三者の生成物ではなく、Recraft社からの明示的な許諾に基づいた素材です。改変後の派生物は、Recraft社側の学習に使われる可能性があります。
AIモデル学習への使用制限とオプトアウト
生成した画像は、AIモデルや類似技術の学習には使えません。有料プランの許諾でも、この用途だけは明示的に除外されています。違反すると契約解除となり、生成物の破棄が求められます。
一方、Recraft社側の学習には既定で入力とアセットが使用されます。利用者はアカウントのプロフィール設定からオプトアウトできます。設定後にアップロードした画像は、Recraft社のモデル学習には使われません。
API経由のアセットは扱いが異なります。Developer Termsの第6.3条で、Recraft社はAPI経由の生成物を自社モデルの学習に使わないと明記しています。この点はRecraft Studioの一般利用と対照的です。
API/MCPは開発者規約が優先される
APIとMCPサーバー経由の利用は、Recraft Developer Termsに従います。一般規約と矛盾がある場合、開発者規約が優先される構造です。ライセンス、料金、支払、データ保持、知的財産の帰属まで別枠で決められています。
API経由で生成したアセットは、利用者が所有します。個人利用にも商用利用にも使えます。ただし他社のAIモデル学習に使うことは同じく禁止されます。
API経由のアセットは、開発者アプリケーションの性能向上のために30日までローカルにキャッシュできます。ただし、API呼び出しを回避するためのコンテンツリポジトリを構築することは認められません。MCPサーバー経由の利用も同じ枠組みで扱われます。API側の実務手順はRecraft APIの使い方ガイドにまとめています。
ブランド・トレードマークを扱うときの自己責任
Recraft社は、第三者のブランドや商標を扱う指示に対し、利用者が必要な権利と同意を有していると想定します。デザインシステム、著名人の肖像を扱う指示も同じ扱いです。Terms of Service第8.4条に、利用者側の表明保証として位置付けられています。
トレードマークの類似、パブリシティ権、モラルライトの侵害が疑われる場合、法的責任は利用者側で負う設計です。Recraft社は補償条項で自社の免責を確保しています。
商品パッケージのモックアップに他社ロゴを合成する運用では、権利処理を先に済ませる必要があります。実在人物の顔を素材として使う場合も同じ扱いです。Recraft社の生成結果に含まれた要素の権利を、Recraft社が保証してくれる仕組みではありません。自社ブランドの世界観を整えたい場合はRecraftのブランドスタイルガイドが参考になります。
AI生成物であることの表示とEU AI Actへの対応
Recraft社は、生成物にメタデータ、透かし、プロビナンス情報を埋め込むことがあります。利用者はこれらを除去、遮蔽、改変してはいけません。ここはAI生成物であることを識別するための共通仕組みで、機械可読の情報が中心です。
EU AI Act(Regulation (EU) 2024/1689)に基づき、Recraft社は生成物がAI生成であることを開示します。利用者側にも配布時の表示義務が及ぶ場合があります。ラベルや透かしを付ける法的義務があれば、その義務を果たす責任があります。
実務では、広告表示や記事内使用でのAI表示、地域法制上の要請への対応が問われます。生成物をどこに、どのように出すかで表示要件が変わる点に注意が必要です。
Recraft社は、AIシステムが法的または重大な影響を伴う自動判断を行う設計にはしていないと明記しています。生成物をそのまま自動判断の材料に使う運用は、利用者側で別途安全策を組み込む必要があります。透かしを外して再配布した場合の責任も、利用者側に集中します。国内で広告や記事に載せるときは、景品表示法や薬機法のような別の規制もあわせて確認する必要があります。
商用利用中でも禁止される用途
有料プランでも、次の用途は全面的に禁止です。児童の性的搾取に関わる素材、非同意の性的画像(NCII)、実在人物の政治的なディープフェイクの拡散は違反となります。
差別、名誉毀損、虚偽情報の拡散、他者へのなりすまし、プライバシー侵害も同じく禁止されます。テロ組織を支持する表現の生成、暴力を扇動する表現の生成も含まれます。
Recraft社は不正利用検知の自動処理を運用しており、違反が検出されるとアカウントが停止または削除されます。EU/EEA利用者には、GDPR第22条に沿った人的レビューの要求権が用意されています。
Recraft社はAPI経由の自動生成についても、一般利用と同じ利用制限を適用します。人間が同時間に生成できる量を大きく超える連続リクエストは、負荷制御の観点から拒否されます。スクレイピングやデータ抽出も同じく禁止です。リバースエンジニアリングやRecraftと競合するサービスの構築を目的とした利用も、契約上認められません。
Business UserとConsumer Userの分かれ目
Recraftの規約は、利用者を「Business User」と「Consumer User」に分けています。判定基準はプランではなく、利用目的です。有料プラン、API、MCP、ワークスペース契約の利用者は、Business Userとして推定されます。
Business Userとして扱われる場合、消費者向けの強行規定は限定的にしか適用されません。UK消費者保護法などの一部規定が原則として排除される仕組みです。契約上の紛争解決も、消費者向けとは別のルートで扱われます。個別交渉での対応となる場面もあります。
Consumer UserがRecraftを業務目的で使うと、その時点でBusiness User扱いに切り替わります。判定は目的単位で行われます。「無料枠だから消費者扱いを受けられる」という理解は、規約上は成立しません。契約時に想定していた利用範囲と実態がずれた場合、Business User扱いに引き上げられる可能性があります。全体像のハブとしてはRecraft AIとは|主要機能と商用条件の整理にまとまっています。V3固有の運用条件はRecraft V3の使い方ガイドを参照してください。
FAQ
Q1. Free Tierで生成した画像を副業のロゴに使えますか
A. できません。Free Tierの許諾は個人利用に限定され、商用利用は明示的に禁止されています。ロゴを商業活動に使う場合、Basic以上に切り替えたうえで生成し直す運用が必要です。
Q2. Basicプランで生成した画像は退会後も使えますか
A. 使えます。有料期間中に生成した画像の著作権は利用者に譲渡されており、解約後もそのまま維持されます。公開ギャラリーへの再掲載も行われません。
Q3. 生成した画像をストック素材サイトで販売できますか
A. 有料プランで生成した画像であれば、Recraft社側の許諾としては可能です。ただし各ストックサービスの受け入れ基準やAI生成物の扱いに関する規定を、事前に別途確認する必要があります。
Q4. Recraftで作った画像は自社のAI学習に使えますか
A. 使えません。Terms of Service第7.2条とDeveloper Terms第6.2条は、生成物をAIモデルの学習に使うことを禁止しています。違反した場合、契約が即時に終了し、生成物の破棄が求められます。
Q5. Recraftのモックアップに他社商品ロゴを合成しても大丈夫ですか
A. 権利処理は利用者側の責任です。他社ロゴが自社の商標権や表明保証の範囲内にあるか、あるいは同意を取得しているかを確認する必要があります。Recraft社側で自動的にクリアされる仕組みはありません。