Recraftのモックアップとは|デザインを商品写真に載せる仕組み
Recraftのモックアップは、Recraft Studioのキャンバス上で、ロゴやアートワークを製品写真に直接載せる機能です。公式ドキュメントは、Tシャツやトートバッグやカップやパッケージなどのプロダクトフォトにartworkとlogoとdesignを配置できる機能だと説明しています。
Recraft モックアップの核は、写真とデザインを別レイヤーで扱う点にあります。プロンプトを書き直さずに、載せる側のデザインだけを差し替えられます。パッケージのロゴ差分検討、店頭陳列イメージのA/B比較、SNS投稿用のシリーズビジュアルなど、同じ製品写真を土台にして中身を入れ替える案件で効きます。
生成物は最終入稿データではなく、社内合意や初期案共有のためのイメージです。公式は、実際の商品への印刷前に正式な入稿データで最終確認する運用を推奨しています。モックアップは意思疎通のための素材で、最終品質は別工程に委ねる、という前提で組み込むのが安全です。
Recraft モックアップの4コレクション|Apparel・Packaging・Devices・Outdoor ads
Recraft Studioのツールバーで「Mockup」アイコンを開くと、モックアップパネルが表示されます。ここにはRecraftチームが用意した4つの既製コレクションがあります。
- Apparel:Tシャツやフーディーやトートバッグなど、布製品向け
- Packaging:紙箱や袋や瓶ラベルなど、パッケージ向け
- Devices:スマートフォンやタブレットやノートPCの画面向け
- Outdoor ads:屋外広告や看板や掲示ボードなど、大型媒体向け
これらのコレクションは、キャンバスの「Get started」ウィンドウからもアクセスできます。既製から選んだモックアップは、そのままキャンバスに配置されます。自分のPCにあるモックアップ画像を直接アップロードする、あるいはプロンプトから新規に生成する、という選択肢も同じパネルから開けます。
コレクション分類は、案件の入り口に近い形で整理されています。アパレルのSKU展開ならApparelから、コスメの試作パッケージならPackagingから、アプリのプロモ用スクリーンショットならDevicesから、というふうに、探し方は業種の言葉に沿います。
Recraft モックアップの作り方3経路|既製・プロンプト生成・既存画像変換
Recraft公式ドキュメントは、モックアップを作る方法を3経路にまとめています。案件の起点になる素材が既製のコレクションで足りるのか、プロンプトから新規に作りたいのか、手元の写真を再利用したいのかで経路が分かれます。
1. 既製モックアップから選ぶ
もっとも早い経路が、既製コレクションからの選択です。ツールバーの「Mockup」を押し、Apparel/Packaging/Devices/Outdoor adsのいずれかを開いて、目当てのモックアップをキャンバスに追加します。
追加後は「Applying your design to the mockup」の手順でデザインを重ねます。既製モックアップはRecraft側が撮影角度と光と質感を仕上げているため、載せるデザインの完成度がそのまま最終案に反映されます。品質の高いプレゼン用ビジュアルを短時間で組むなら、この経路が土台です。
2. プロンプトから新規生成する
汎用のコレクションに欲しい撮り方がないときは、プロンプトから作れます。プロンプトパネルで生成タイプを「Mockup」に切り替え、「white T-shirt facing forward」のように、被写体と向きを短く書きます。
生成した画像は、自動的にモックアップフレームとして扱えるようになります。ここが通常の画像生成との違いです。撮影構図に近い写真を作るだけでなく、フレーム化されたモックアップとして、後段のデザイン適用工程にそのまま渡せます。
3. 既存画像をモックアップフレームに変換する
手元にすでにフォトリアルな製品写真がある場合、その画像をキャンバスに置き、右パネルから「Convert to mockup」を選ぶとモックアップフレームに変換できます。ストック写真や自社の撮影素材を再利用したい案件で有効です。
公式ドキュメントは、Tシャツやカップやパッケージやノートなど、被写体が単一で面が読み取れる画像で最も効くと案内しています。生成したフォトリアルな商品写真をこの経路で変換して使う運用も紹介されています。写真の質感を維持したまま、載せるデザインだけを差し替えられます。
V4.1 UtilityとMockup生成モードの使い分け
プロンプトから新規生成する経路では、モデルの選び方も結果を左右します。Recraft V4.1のドキュメントは、Utilityバリアントを「flat lighting and front-facing composition, built for mockups and product shots」と説明しています。平面照明と正面構図で、モックアップと商品写真のために調整された亜種です。
通常のV4.1は、写真的な情景と余韻を積む方向に振れます。撮影の空気感を優先したいキャンペーン素材には向きますが、モックアップの土台としては、背景や光が主張しすぎる場合があります。同じV4.1でもUtilityを選ぶと、面が真正面を向いた素直な構図に落ち着きます。
Utilityは、V4.1系の8種のうち標準版と、Pro版と、Vector版と、Utility Vector版まで揃っています。標準版は1枚$0.035、Pro版は1枚$0.21です。パッケージのように印刷解像度が求められる案件ではUtility Pro、SNS用の一次案ならUtility標準版、という使い分けが素直です。
デザインをモックアップに載せる手順|配置と書き出し
モックアップフレームが用意できたら、そこにデザインを重ねる工程に入ります。公式の手順は次の通りです。
- デザイン(画像、ロゴ、テキストなど)をアップロード、または生成してキャンバスに置く
- モックアップフレームの上にデザインを配置する
- 位置、サイズ、回転を調整する
- AppearanceとTilingとMaskingの調整オプションで見せ方を整える
- 完成したモックアップ画像を選択し、PNG/JPG/PDF/TIFF(CMYK)から書き出す
書き出し形式にTIFF(CMYK)が含まれるのは、印刷入稿を想定した設計です。SNSで使うだけならPNG、社内共有ならJPG、印刷代理店に渡すならPDFかTIFF(CMYK)、というふうに、後工程で分岐します。
AppearanceとBlendモード|デザインを面になじませる調整項目
デザインをそのまま置くと、フラットな貼り絵に見える瞬間があります。Recraftはこれを避けるために、Appearanceパネルで表示の混ざり方を調整できます。公式ドキュメントは、これらの設定はデザインレイヤーだけに作用し、モックアップ本体には影響しないと明記しています。
標準Blendモード
Photoshopで見慣れた合成モードが並びます。DarkenとMultiplyは、生地の陰影にデザインを沈める場面で使えます。ScreenとLightenは、暗い面に明るいロゴを浮かせる方向で効きます。OverlayとSoft Lightは、質感を残したまま色を乗せる用途に向きます。
用途で言うと、白いTシャツに黒いロゴならNormalかMultiplyが素直です。黒い紙袋に金色の箔押し風表現ならScreenが機能します。合成モードは1つに固定せず、モックアップの色調に合わせて切り替えるほうが自然な絵になります。
AI Blendモードとテクスチャ表示
AI Blendモードは、モックアップ面の光としわと輪郭を読み取り、デザイン側に適応的な陰影をつける機能です。標準のBlendモードと重ねてオン/オフを切り替えられます。
Show textureは、モックアップ表面の質感をデザインに継承するかどうかの切り替えです。「Yes」にすると布目や紙の粒感がデザインに乗ります。「No」にすると滑らかで均質な面に見えます。ブランドのロゴがカリッと見えるほうがよい案件ではNo、生地の風合いを残したい案件ではYes、という判断です。
Tilingとマスク
Tilingは、デザインを面全体に繰り返す機能です。「None」「Repeat」「Mirror」の3種があります。パターン柄をアパレル全面に流すときはRepeat、シームレスにつなぎたいときはMirror、単発のロゴならNoneです。
Maskingは、デザインを載せる範囲を制限する機能です。BrushとLassoとAreaとWandの4種の選択モードがあり、右サイドバーの「Edit mask」から編集します。Shiftキーで直線ストロークに固定できる、Option(Alt)キーでマスクを消去できる、といった補助操作も用意されています。
Enhance realismとNano Banana 2|平面に合わせて溶け込ませる仕上げ
パッケージやデバイスなど、面が平らなモックアップでは、デザインが浮いて見える場合があります。Recraft公式は、こうした場面のためにEnhance realism機能を用意しています。
Enhance realismは、Nano Banana 2モデルを裏側で呼び出し、デザインを面の遠近と質感に合わせて描き直す機能です。コストは11クレジットです。用途は、デザインを画面や箱面に正確にはめ込みたい場面や、遠近が付いた面に自然になじませたい場面などの仕上げ工程です。
公式は、モックアップによっては必要ない場合もある任意のステップだと明記しています。Appearanceの調整だけで足りる場面もあれば、Enhance realismで一段深いなじませが必要な場面もあります。パッケージのように紙の折り目や光沢が絡む被写体では、この仕上げが効きます。
書き出しフォーマット|PNG・JPG・PDF・TIFF(CMYK)
Recraft モックアップの完成物は、PNG、JPG、PDF、TIFF(CMYK)から選んで書き出せます。この4種は、後工程の分岐にきれいに対応しています。
PNGは、Web、SNS、社内共有で使う一次案に向きます。JPGは、ファイルサイズを絞ってメール添付する場面に向きます。PDFは、社内プレゼンや取引先へのイメージ共有に向きます。TIFF(CMYK)は、印刷代理店への入稿を前提にした場面に向きます。
モックアップは最終入稿データではないため、TIFF(CMYK)で書き出したものをそのまま印刷に回すのは避けたほうが安全です。あくまで代理店との合意形成や、色調のすり合わせや、レイアウト検証に使い、最終は正式な入稿データで作り直す、という運用が現実解です。
モックアップ運用の商用利用条件|有料プランと入稿の分担
モックアップをブランド案件で使う前に、生成物の商用利用条件を確認しておきます。Recraft公式のCommercial rights and ownershipによると、無料プランで生成した画像はコミュニティギャラリーに公開され、所有権はRecraftに残ります。無料プランの生成物は、商用利用の対象外です。
有料プランで生成した画像は、所有権と商用利用権が生成者に帰属します。マーケティングやブランディングや製品パッケージなどの業務用途に使えます。有料プランで生成した画像は公開されず、契約を解約したあとも所有権は生成者側に残る、と明記されています。
なお、Recraftで生成した資産は、AIモデルの学習用途には使えません。プラン種別を問わず、共通の禁止事項として書かれています。ブランド案件でモックアップを回すなら、有料プラン契約中の生成に絞る、という前提でワークフローを組むのが素直です。
Recraft モックアップは、Recraft AIとは|デザイン向けAIの位置づけと主要機能・料金・商用利用を整理で扱う「デザインの現場で使う素材」の中の1軸に位置付けられます。ブランド世界観をそろえたうえでモックアップに載せる運用はRecraftのブランドスタイル|Recraft AIで世界観をそろえる仕組みと手順で、パッケージのラベルをベクター素材で組む工程はRecraftでベクターイラストを生成する方法|Recraft AIのSVG出力と編集手順で整理しています。API連携のカスタムスタイルはV3系が対象になるため、モデル選定はRecraft V3の使い方|特徴・料金・V4.1との違いまで整理を参照してください。商用利用の条件はRecraftは商用利用できる?プラン別の所有権・学習利用・第三者権利を整理(2026年最新)で詳しく扱っています。
FAQ
Q1. Recraftのモックアップはどの4コレクションから選べますか
A. 公式ドキュメントによると、ApparelとPackagingとDevicesとOutdoor adsの4つです。ツールバーのMockupアイコン、またはGet startedウィンドウから同じ4種にアクセスできます。既製のモックアップを選ぶと、そのままキャンバスに配置され、次のデザイン適用工程に進めます。
Q2. モックアップを生成する専用モデルはありますか
A. 専用モデルではなく、Recraft V4.1のUtilityバリアントがモックアップと商品写真向けに調整されています。公式は「flat lighting and front-facing composition」の亜種だと説明しています。平面照明と正面構図を優先したい案件で機能します。Utility標準版とPro版、ベクター版があります。
Q3. Enhance realismはどのモデルを使いますか
A. Nano Banana 2モデルを裏側で呼び出し、デザインを面の遠近と質感に合わせて描き直します。コストは11クレジットです。公式は任意のステップと案内していて、モックアップの種類によって必要かどうかが変わります。パッケージやデバイス画面など、平面と遠近が絡む被写体で効きます。
Q4. モックアップの書き出しフォーマットは何が選べますか
A. PNG、JPG、PDF、TIFF(CMYK)の4種です。Web共有や、社内プレゼンや、印刷代理店への提示など、後工程で分岐します。ただし、モックアップは最終入稿データではないため、印刷本番は正式な入稿データで作り直すのが安全です。
Q5. 無料プランで作ったモックアップは商用で使えますか
A. 使えません。公式のCommercial rights and ownershipは、無料プランで生成した画像はコミュニティギャラリーに公開され、所有権はRecraftに残ると明記しています。商用利用したい場合は有料プランで生成する必要があります。有料プランで生成した画像は非公開で、契約解約後も生成者の所有権が残ります。