Recraftのブランドスタイルとは|カスタムスタイルで世界観を固定する仕組み

RecraftのブランドスタイルはRecraft Studio上の独立した機能名ではなく、公式ドキュメント上は「カスタムスタイル」と「スタイル共有」の組み合わせで実現します。ブランドの世界観を数枚の参照画像から学習させ、Recraft V3などの対応モデルで呼び出せる形にして、社内のメンバーと共有します。

Recraftの公式ドキュメントは、スタイルを「生成画像の見た目や質感、色、構図、全体の雰囲気を定義する要素」と説明しています。つまりRecraftにおけるスタイルは、単なるフィルターやプリセットではなく、画像生成の指示そのものと並ぶ第二の入力です。プロンプトで「何を描くか」を、スタイルで「どう描くか」を分担します。

ブランド運用の視点で見ると、これは重要な分担です。プロンプトはキャンペーンやシーンごとに変わりますが、ブランドの世界観は変えたくありません。プロンプトから見た目の指示を切り離し、スタイル側にまとめると、キャンペーンをまたいでもトーンを維持できます。

Recraftのスタイル体系|Curated・カスタム・Feed・共有の4区分

Recraft Studioのスタイルパネルは、複数のタブで整理されています。公式ドキュメントの説明を基に整理すると、次の4系統に分かれます。

  • Curated styles:Recraftチームが用意した既製のスタイル。Photorealism、Illustration、Vector art、Vector icon、Graphic design、Vector logo、その他のカテゴリーに分かれる
  • Feed:AIが生成した無数のスタイルを、視覚的な類似検索で探せるライブラリ
  • My styles:自分で作って保存したカスタムスタイル
  • Saved/Shared:Recraft公式や他ユーザーのスタイルを保存したもの、他ユーザーから共有されたもの

ブランドスタイルとして使うのは、基本的に「My styles」に入るカスタムスタイルです。Curatedはあくまで汎用のスタイルなので、他社との差別化には使いにくいという性質があります。Feedは発想を広げる用途に向いています。ブランドの中核は自作のカスタムスタイルに置く、というのが素直な設計です。

Recraft ブランド スタイルを作る前の前提|対応モデルと画像形式

カスタムスタイルを作る前に、対応モデルを押さえておきます。Recraftのスタイル機能はモデルによって挙動が違い、公式APIリファレンスは「V4系モデルはまだスタイルパラメータに対応していない」と明記しています。API経由でカスタムスタイルを呼び出す場合は、V3またはV3 Vectorが対象になります。

Recraft StudioのWeb画面から作ったカスタムスタイルは、作成時に指定したモデルで動きます。カテゴリーとして「Photorealism」「Illustration」を選ぶとラスター画像用、「Vector art」「Vector icon」を選ぶとSVG出力のベクター画像用になります。ブランドスタイルを写真表現と図版表現の両方で使いたい場合は、同じ参照画像から系統違いのスタイルを2つ作る運用が現実的です。

参照画像の解像度は、公式ドキュメントで「256px以上を推奨」とされています。低解像度の画像は仕上がりの再現性が落ちる、と公式のヒントに書かれています。ブランドの中核素材として登録するなら、なるべく高解像度のオリジナル画像を使うほうが安全です。

カスタムスタイルの作成手順|参照画像5枚と重み調整

Recraft Studioでのカスタムスタイル作成手順は、公式ドキュメントに沿って整理すると次のようになります。

  1. Recraft Studioを開き、スタイルパネルから「Create custom style」を選ぶ
  2. 参照画像を最大5枚アップロードする(ドラッグ&ドロップ、ファイル選択、保存済みスタイル、キャンバス上の画像から選択可能)
  3. 各画像の重みをスライダーで調整する(どの画像を主軸にするかをパーセンテージで指定)
  4. スタイルプロンプトを入力する(例:「colored pencil strokes」「digital illustration with neon colors」)
  5. スタイルの学習方式を選ぶ(Style essentials または Style and composition)
  6. カテゴリーを選ぶ(Photorealism/Illustration/Vector art/Vector icon)
  7. Testパネルでサンプル生成し、仕上がりを確認する
  8. 問題なければライブラリに保存する

参照画像の枚数上限は5枚です。ブランドとして登録する場合、この5枚に何を選ぶかが最も影響します。ロゴのように単一の意匠を守りたい場合は同じ雰囲気の写真だけを、ムードボードのように広い世界観を持たせたい場合は異なる被写体で共通のトーンを持つ画像を選ぶ、という使い分けが素直です。

スタイルプロンプトの書き方|Style essentials と Style and composition

カスタムスタイルの作成画面には、学習方式を選ぶ設定があります。公式ドキュメントで挙げられている2つは次の通りです。

  • Style essentials(既定):色、質感、細部を重視する。単純な素材に向く
  • Style and composition:構図や被写体の配置まで学習する。複雑なシーンに向く

Style essentialsは、たとえばアイコンやプロダクトショットのように、要素が少なくて色や質感の一貫性が命になる素材に向いています。Style and compositionは、人物とプロダクトを組み合わせたキャンペーンビジュアルのように、レイアウトも含めた再現性が欲しい場合に向いています。

スタイルプロンプトは、参照画像から拾いきれないニュアンスを埋める役割です。「colored pencil strokes」「digital illustration with neon colors」といった一言を添えると、以降の生成では短いプロンプトでも狙いのスタイルが再現されやすくなります。ブランドの言い回しに置き換えるなら、「matte studio lighting」「pastel color palette」「thin outline」のように、質感の言葉と色の言葉を分けて置くと効きます。

カテゴリー選択|ラスター系とベクター系の分岐点

カスタムスタイルには4種類のカテゴリーがあります。公式ドキュメントの整理では、それぞれ次のように役割が分かれます。

  • Photorealism:写真表現を軸にしたラスター画像
  • Illustration:手描き寄りのラスター画像
  • Vector art:編集可能なSVGとして出力される、面と線で構成されたベクターアート
  • Vector icon:ミニマルなアイコン向けのベクター

Vector artとVector iconはSVGで出力されるため、Web用のUIパーツやロゴ周辺の素材に組み込むのに向きます。PhotorealismとIllustrationはPNG/WebP/JPGで出力され、広告のキービジュアルやSNS投稿の素材に向きます。ブランドスタイルを1つで済ませたい気持ちが働きがちですが、ラスター用とベクター用は分けて作ったほうが実務では扱いやすくなります。

公式ドキュメントは、システムが自動でラスター系のIllustrationを選んでしまうときに、Vector iconやVector artに切り替えるよう案内しています。ミニマルな図案なのに写真的な質感が混ざる、という場合はカテゴリーの再指定を試すのが近道です。

カスタムスタイルの編集と履歴管理

一度作ったカスタムスタイルは、後から編集できます。編集画面では、参照画像の重み調整、参照画像の追加、スタイルプロンプトの更新が可能です。テスト生成でプレビューしながら調整できます。

ブランド運用で重要なのは、Recraftの編集仕様が「元のスタイルを上書きせず、新しいバージョンとして保存する」点です。公式ドキュメントは、編集で作られたスタイルは元のスタイルとは別に独立して保存されると明記しています。運用の観点では、既存のブランドスタイルを壊さずに派生を試せる、という意味になります。

派生バージョンには名前を付け直す必要があるため、命名ルールを先に決めておくと後で困りません。たとえば「ブランド名 + シーズン + バージョン」のような形式でそろえておくと、複数のキャンペーンをまたいでも取り違えを避けられます。

チーム内でのスタイル共有|ブランド世界観を運用に落とす

Recraftのスタイル共有機能は、キャンバス内のスタイルパネル、または独立したページ(recraft.ai/styles)から使えます。公開スタイルは三点メニューから「Copy link to style」「Copy style ID」が選べます。自作のカスタムスタイルは「Share style」ダイアログから、メールアドレスでメンバーを招待して権限を設定します。共有されたスタイルは、受け取った側のスタイルパネルの「Shared」タブに表示されます。

ブランドスタイルの運用では、この共有機能が中核になります。デザイナーが1人でスタイルを整えるだけでは、他のメンバーが同じトーンで生成できません。1つのブランドスタイルを1人がオーナーとして管理し、キャンペーン担当者や外部パートナーへ都度共有する、という運用にすると、生成物のトーンが人ごとにばらつく問題を抑えられます。

権限管理の詳細は公式ドキュメントで完全には公開されていません。運用の観点では、ブランドスタイルのオーナーを1名に固定し、編集は限られたメンバーだけに許す、生成利用のみのメンバーには閲覧共有だけ渡す、という三層で切っておくと管理が単純になります。

APIでのブランドスタイル指定|style_id とモデル互換

APIから自作のブランドスタイルを呼び出すには、style_idパラメータを使います。公式APIリファレンスによると、style(プリセット名を渡す方式)とstyle_id(カスタムスタイルのIDを渡す方式)は同時に指定できません。どちらか一方を選びます。

対応モデルには制約があります。API経由で作ったカスタムスタイルはV3とV3 Vectorだけで動きます。Webから作ったカスタムスタイルは、作成時に指定したモデルでそのまま動きます。V4系モデルはまだスタイルパラメータに対応していない、と公式ドキュメントに明記されています。API連携でブランドスタイルを組み込む場合は、V3系を前提に設計しておくのが安全です。

出力形式は、ラスター系のPhotorealism/IllustrationがPNG/WebP/JPG、ベクター系のVector art/IconがSVGです。バッチで大量のキャンペーン素材を作るときは、ここでの選択が後工程のワークフロー全体に影響します。SVGで受けたいのか、PNGで受けたいのかを先に決めてから、対応するカテゴリーのブランドスタイルを作る順序が実務では素直です。

ブランドスタイル運用でつまずきやすい点と対処

Recraftでブランドスタイルを組む過程では、いくつか詰まりやすい箇所があります。公式ドキュメントの内容と、そこから読み取れる運用上の判断をまとめます。

1つ目は、参照画像の質と数です。5枚という上限は、写真集の1ページ分くらいの情報量です。低解像度の画像を混ぜると再現性が落ちる、と公式のヒントに書かれています。ブランドの中核として登録する画像は、撮り下ろしの高解像度素材から選ぶのが素直です。

2つ目は、モデル互換です。V4系がスタイルパラメータに未対応であることは、API連携を組む前に確認しておく必要があります。V4.1の写真表現をブランドスタイル込みで使いたい、というニーズは現状では成り立ちません。ブランドスタイルはV3系で組み、写真表現の解像感は生成後の編集で寄せる、という分担が現実解です。

3つ目は、共有と権限です。ブランドスタイルは複数人が触れる資産なので、上書きの事故が起きやすい対象です。編集で新バージョンが作られる仕様を活かし、オーナーが元のスタイルを保持したうえで、派生を別名で保存していく運用にしておくと安全です。

4つ目は、商用利用の条件です。Recraftで生成した画像の所有権は契約プランで決まります。ブランド用途で使うなら、無料プランではなく有料プランで運用するのが前提です。プラン別の所有権や第三者権利の扱いは、Recraftの商用利用条件を別途確認しておく必要があります。

Recraftのプロダクト全体像はRecraft AIとは|デザイン向けAIの位置づけと主要機能・料金・商用利用を整理にまとめています。V3系のモデルとしての位置付けや使い方はRecraft V3の使い方|特徴・料金・V4.1との違いまで整理を、アイコンのように同一スタイルで複数枚を作る手順はRecraftでアイコンを生成する方法:統一デザインで複数アイコンを量産する手順を参照してください。ブランド運用に必ず絡む商用利用の条件はRecraftは商用利用できる?プラン別の所有権・学習利用・第三者権利を整理(2026年最新)で整理しています。

FAQ

Q1. Recraftのブランドスタイルは無料プランでも作れますか

A. カスタムスタイルの作成はRecraft Studio上で可能ですが、生成した画像の所有権は有料プラン契約中の生成のみ利用者に帰属します。ブランド用途で商用利用する前提であれば、有料プランで運用するのが基本です。プラン別の所有権については公式のCommercial Rights and Ownershipに整理されています。

Q2. 参照画像は何枚まで登録できますか

A. 公式ドキュメントによると、1つのカスタムスタイルにつき参照画像は最大5枚です。解像度は256px以上が推奨されています。高解像度の素材を選ぶほど、生成の再現性が上がると案内されています。

Q3. V4.1でもブランドスタイルは使えますか

A. 公式APIリファレンスは「V4系モデルはまだスタイルパラメータに対応していない」と明記しています。カスタムスタイルの適用はV3とV3 Vectorが対象です。API連携でブランドスタイルを組む場合はV3系を前提に設計するのが安全です。

Q4. カスタムスタイルを編集すると元のスタイルは消えますか

A. 消えません。公式ドキュメントは、編集で作られたスタイルは元のスタイルとは別に新しいバージョンとして保存されると説明しています。派生には新しい名前を付ける必要があります。

Q5. チームでブランドスタイルを共有するにはどうしますか

A. Recraft Studioの「Share style」ダイアログから、メールアドレスでメンバーを招待します。共有されたスタイルは、受け取った側のスタイルパネルの「Shared」タブに表示されます。公開スタイルは三点メニューから「Copy link to style」「Copy style ID」を使ってリンクやIDを渡せます。

情報源