Recraft V3とは|画像内の長文と文字配置に対応した生成モデル
Recraft V3 は、Recraft, Inc. が2024年10月30日に公開した画像生成モデルです。公式ブログでは V3 を「デザイン言語で考える革命的な AI モデル」と紹介しています。画像内に長い文章を描けること、テキストの正確な位置とサイズを指定できることが当時の他モデルにはない特徴として挙げられました。
Recraft は 2026年5月14日に後継の V4.1 を公開しましたが、V3 は現在も Recraft Studio と API から選択できます。公式ドキュメントには、V2、V3、V4、V4.1 の16モデルすべてが Recraft API と Web/モバイルアプリで利用できると記載されています。
V3 の公開当時、Hugging Face の Text-to-Image リーダーボードで ELO 1172 の1位を獲得しました。その後も Artificial Analysis のベンチマークで五か月連続の1位を維持しています。2026年時点では V4.1 が最新モデルとして推奨されていますが、V3 に固有の特徴が必要な用途では、いまも V3 を指定して生成する選択肢が残っています。
Recraft V3の主な特徴
Recraft 公式ブログと公式ドキュメントで確認できる V3 の主な特徴は、次の四つです。
画像内に長い文章を正確に描ける
Recraft は V3 公開時のブログで、V3 を「長いテキストを含む画像を生成できる、世界で唯一のモデル」と紹介しています。他社のモデルが数文字から一語程度の描画に留まっていた時期に、V3 はキャッチコピー、見出し、複数行の説明文まで画像内へ含められるモデルとして登場しました。
ポスター、Instagram の広告バナー、店頭 POP、パッケージのラベルなど、文字が主役となるビジュアルではこの特徴が制作時間の短縮につながります。文字を後から画像編集ソフトで載せる工程を省略できるため、初稿の共有までを一つの画面で進められます。
文字の位置とサイズを指定できる
Recraft 公式ドキュメントには、V3 について「デザイン内のテキストの正確な位置とサイズを指定できる、Recraft 初のモデル」と記載されています。指示文で「上部中央にタイトル、下部左寄せに補足」のように配置を伝えると、生成時にその配置を反映します。
一般的な画像生成モデルでは、テキストが画像のどこに現れるかは制御しにくく、複数回生成し直して配置を選ぶ工程が発生します。V3 は位置指定の指示に反応するため、配置の意図を持って作るビジュアルに向いています。
スタイルを画像から学ばせて統一できる
V3 は、参考画像を入力してスタイルを学ばせる方法に対応します。モデル自体を再学習させる必要はなく、既存のブランド素材や社内で管理しているアートワークから、色味、質感、構図の方向性を継承させられます。
Recraft Studio 側にも、キュレーションされた既存スタイルと、アルゴリズムで生成された無数のスタイルを組み合わせて利用できる仕組みが用意されています。ブランドコミュニケーションで統一感を保ちながら複数枚を生成する用途に、この機能は使いやすい設計です。
手や身体の破綻が起きにくい
V3 公開時のブログでは、指の本数、手と脚の比率、空間の整合性が改善されたと明記されています。人物や手元を含むビジュアルで、指の数が合わない、腕の位置が不自然になるといった初期モデル特有の問題が起きにくくなりました。そのまま検討用のカンプ画像として使える確率が上がります。
Recraft V3の使い方(Recraft Studio)
Recraft Studio の画面構成は更新されるため、ここではモデル単位の操作手順を示します。
1. Recraft Studioへログインする
Recraft 公式サイトから Recraft Studio に入り、アカウントでログインします。無料プランでも V3 の生成を試せますが、生成物は Recraft が所有し、商用利用は認められていません。仕事で使う画像は、生成前に有料プランへ切り替えます。
2. モデル選択で recraftv3 を選ぶ
Recraft Studio では、生成画面のモデル選択から V4.1、V4、V3、V2 の各世代を切り替えられます。API から使う場合は、モデル識別子として「recraftv3」または、SVG 形式で生成する場合は「recraftv3-vector」を指定します。
V4.1 が推奨モデルです。画像内に長い文章を入れる、テキストの位置を明示して配置するといった V3 の特徴を活かしたいときは、V3 を指定します。
3. 文章、縦横比、スタイルを指定して生成する
指示文には、被写体、背景、光、構図、文字の内容と配置を分けて書きます。最初は次の順で整理すると内容を確認しやすくなります。
被写体+背景+光+構図+写真かイラストかの指定+文字の内容と配置
入力例:
白い陶器に入ったスキンケアクリーム、大理石のテーブル、朝の柔らかい自然光、
斜め上からの俯瞰、写真、上部中央に "Morning Ritual"、
下部左寄せに "Since 2018 / For Sensitive Skin"
「高級感のある画像」のような抽象的な指示だけでなく、被写体、背景、光、撮影方向、文字の内容と配置を書き分けると、修正したい箇所を判断しやすくなります。
4. 文字の位置とサイズを指示文へ含める
V3 は、テキストの配置指示に反応するモデルです。指示文で「上部中央」「下部左寄せ」「中央大きく」といった位置とサイズの表現を含めると、その配置に沿った生成結果が得られやすくなります。
同じ文字列を異なる位置で試したい場合は、指示文の配置部分だけを差し替えて再生成します。文字の書体自体は生成後に画像編集ソフトで置き換えるため、生成時は配置と可読性を優先します。
5. スタイルを揃えたいときは参考画像を渡す
同じブランドで複数枚を生成する場合は、参考画像を渡してスタイルを揃えます。Recraft Studio には既存のスタイルライブラリも用意されていますが、社内で管理するブランドの写真やアートワークを入力し、V3 に色味と構図を学ばせる方法が最も再現性が高くなります。
参考画像を使う場合は、その画像を利用する権利があるか、生成結果に第三者の権利を侵害する要素が含まれていないかを、公開前に人が確認します。
Recraft V3と V4.1 の違い
Recraft は 2026年5月14日、後継モデル V4.1 を「More Beautiful by Nature」というタイトルの公式ブログで発表しました。V3 と V4.1 は、同じ Recraft Studio から選択できる別世代のモデルです。開発元は共通ですが、位置付けが異なります。
| 確認項目 | Recraft V3 | Recraft V4.1 |
|---|---|---|
| 公開時期 | 2024年10月30日 | 2026年5月14日 |
| 主な特徴 | 長文テキスト、文字の位置指定、スタイル継承 | 美観の向上、V3・V4 系の改良、Pro/Utility の派生 |
| API 単価(1枚あたり) | 0.04 ドル(40 API 単位)、生成7秒 | 0.035 ドル(35 API 単位)、生成6.5秒 |
| ベクター単価(1枚あたり) | 0.08 ドル(80 API 単位)、生成16秒 | 0.08 ドル(80 API 単位)、生成12秒 |
| 派生モデル | V3、V3 Vector | V4.1、V4.1 Pro、V4.1 Vector、V4.1 Pro Vector、V4.1 Utility、V4.1 Utility Pro、V4.1 Utility Vector、V4.1 Utility Pro Vector |
| 推奨用途 | 長文テキストと配置指定を重視するビジュアル | 大半の用途で第一候補 |
Recraft 公式では、汎用の第一候補として V4.1 を推奨しています。V3 は、V4.1 で試して意図した位置や文字量が出なかった場合、または V3 で作った過去シリーズと質感を揃えたい場合に選ぶ位置付けとして残されています。
同じ指示文で V3 と V4.1 を並べて生成し、被写体、光、文字の配置、細部を比較すると、案件に合うモデルを判断しやすくなります。Recraft の全モデル系譜と機能の全体像は、Recraft AIとは|デザイン向けAIの位置づけで扱っています。
Recraft V3の料金
Recraft V3 の利用料金は、Recraft Studio のサブスクリプションから使う場合と、API から直接使う場合で確認する項目が異なります。
Recraft Studio から使う場合
Recraft Studio には Free、Basic、Pro、Teams のプランがあります。月払い表示では、Basic が月額12ドル、Pro が月額20ドル、Teams が1席あたり月額22ドルです。年払いでは20%の割引が適用されます。表示価格には VAT が含まれていません。
無料プランでも V3 を試せますが、生成物は Recraft が所有し、公開ギャラリーに表示され、商用利用は認められていません。仕事で使う画像は、有料プランへ切り替えた後に生成します。
月ごとに付与される Subscription credits は、次の請求期間へ繰り越せません。Basic と Pro で追加購入できる Top-up credits には有効期限がありません。V3 の1枚あたりのクレジット消費量は Recraft Studio 側で確認します。
API から使う場合
V3 の API 単価は、公式ドキュメントに次のとおり記載されています。
- recraftv3(ラスター):1枚 0.04 ドル、40 API 単位、生成時間の目安 7秒
- recraftv3-vector(SVG):1枚 0.08 ドル、80 API 単位、生成時間の目安 16秒
API 経由の課金は 1枚単位です。制作フロー全体で必要な枚数と再生成の回数を見積もり、月額の見込みを Recraft Studio プランの料金と比較して選びます。
Recraft V3の2026年時点の位置付け
Recraft は 2026年に入り、V4、V4.1、Nano Banana 系(2026年7月)、Seedance 2.5(2026年8月)など、Recraft Studio 内で選べるモデルの選択肢を広げてきました。同じ画面で複数世代のモデルを使い分けられる設計です。
V3 は、次のような場面で選ばれる位置付けとして残っています。
- V4.1 では意図した文字数や配置が出ず、V3 のほうが指示に忠実だった場合
- 過去に V3 で作ったシリーズと、質感や色味を揃えたい場合
- 長い文章を画像内へ含める用途で、V3 の描画特性が案件に合う場合
- API 単価の 0.04 ドルという水準で、量産系の下絵を素早く用意したい場合
一方、汎用ビジュアルの第一候補は V4.1 に移っています。V3 だけを使い続けるより、V4.1 を基準にして、V3 を配置と長文で優位が出た場合の指名として使い分ける運用が現実的です。
仕事でRecraft V3を使う前の確認事項
Recraft V3 で作った画像を仕事の制作物に使う場合は、次の情報を制作記録へ残します。
- 使用したサービス(Recraft Studio または Recraft API)
- 使用したモデル名(recraftv3 または recraftv3-vector)
- 契約プラン(Free ではなく有料プランで生成したか)
- 入力した指示文と参考画像
- 生成後に行った編集
- 出力を確認した担当者
- 確認した利用条件と確認日
同じ Recraft Studio の画面から生成しても、選択したモデルによって商用利用の条件、クレジット消費、出力形式が変わります。「Recraft を使用」とだけ記録せず、モデル名まで残すことで、公開後に制作過程を確認できます。
無料プランで生成した画像は Recraft が所有し、有料プランへ移行した後も商用素材には使えません。第三者の著作権、商標権、肖像権を侵害しないための最終確認は、モデルの世代にかかわらず必要です。プランとモデルの組み合わせによる商用利用条件は、Recraft の商用利用と生成物の権利で整理しています。
Recraft V3の活用が向いている場面
Recraft V3 の特徴を活かしやすい場面は、次のように整理できます。用途別の具体的な作り方は、それぞれの解説記事で扱っています。
- 見出しや複数行のキャッチコピーを画像内に含める広告バナーやポスター
- 特定のブランド質感を継承したスタイル指定でのシリーズ制作。詳細は Recraft のスタイル指定と使い分け
- Web アイコンや UI 要素の下絵生成。詳細は Recraft のアイコン生成
- パッケージや店頭 POP のモックアップ検討。詳細は Recraft のモックアップ活用
いずれの用途でも、生成された文字を正式なロゴや指定書体としてそのまま使わず、公開前に人が最終確認を行う点は共通します。
FAQ
Q1. Recraft V3はまだ使えますか?
使えます。Recraft 公式ドキュメントには、V2、V3、V4、V4.1 の16モデルすべてが Recraft API と Web/モバイルアプリで利用できると記載されています。V4.1 が推奨モデルですが、V3 も引き続き選択できます。
Q2. Recraft V3と V4.1 はどちらを選べばよいですか?
汎用の第一候補は V4.1 です。画像内に長い文章を含める、テキストの位置とサイズを指示文で細かく指定する、V3 で作った過去シリーズと質感を揃える、といった用途では V3 を選びます。同じ指示文で両方を生成し、案件に合うほうを判断する方法が確実です。
Q3. Recraft V3の API 単価はいくらですか?
公式ドキュメントの記載では、recraftv3(ラスター画像)が 1枚 0.04 ドルで 40 API 単位、生成時間の目安は7秒です。recraftv3-vector(SVG)は 1枚 0.08 ドルで 80 API 単位、生成時間の目安は16秒です。
Q4. Recraft V3で生成した画像は商用利用できますか?
有料プランの利用中に生成した画像は、利用者が所有し、商用利用が認められています。Free プランで作った画像は Recraft が所有し、公開ギャラリーへ表示され、商用利用できません。仕事で使う画像は、生成前に有料プランへ切り替えます。
Q5. Recraft V3で日本語の文字は入れられますか?
公式 FAQ では、Recraft は日本語を含む東アジアの言語にも対応すると案内していますが、英語の指示が最も安定するとも説明されています。日本語の見出しを画像内へ入れる場合は、生成された文字をそのまま公開せず、正式な日本語フォントに置き換える運用が現実的です。書体の最終指定は、生成後に画像編集ソフトで行います。