Toys“R”Usが公開したブランドフィルムとは
Toys“R”Usは2024年6月24日、ブランドの成り立ちを描いた映像を発表しました。作品は同年のCannes Lions開催期間中、フランスで開かれたLBB Beachのイベントで初公開され、その後、公式サイトで本編、公式YouTubeでティーザーが公開されています。
舞台は1930年代のアメリカです。少年時代のチャールズ・ラザラスが、父親の自転車店で働きながら、子どもたちのための特別な場所を思い描きます。夢の中に現れるのが、後にToys“R”Usの象徴となるキリンのジェフリーです。

作品の公開日、制作体制、物語の概要を伝える公式発表。出典:Toys“R”Us/PR Newswire(引用)
創業者とジェフリーを物語の中心に置いた理由
生成AIを使った映像では、新しい画面を作れたこと自体が話題になりがちです。しかし、この作品が伝えようとしたのは技術の新しさではなく、Toys“R”Usがどのような思いから始まったブランドなのかという点でした。
若い日の創業者と、長年親しまれてきたジェフリーを同じ物語に登場させることで、企業の歴史とブランドイメージを一本につないでいます。生成AIは、少年時代の創業者がジェフリーと出会う夢の場面を映像にするために使われました。
数百の候補から、必要な二十数カットを選んだ
Toys“R”Usの公式発表によると、企画から完成までは数週間でした。その間に作った数百の候補カットから、最終的に使う二十数カットへ絞り込んでいます。
公式発表では、候補カットを選んだ詳しい基準までは明かされていません。ブランドの映像を制作する際には、同じ登場人物が別人に見えないか、ジェフリーがこれまでの印象から外れていないか、前後の場面が物語としてつながるかを確認する必要があります。これは公式が公表した工程ではなく、AIGC TIMES編集部がブランド制作で必要だと考える確認項目です。
Toys“R”Usの公式発表では、エグゼクティブプロデューサーのKim Miller Olko氏、監督のNik Kleverov氏、作曲者のAaron Marsh氏の名前に加え、VFXによる補正を行ったことが明記されています。Native Foreignの公式事例ページでは、同社が手がけた作品の概要を確認できます。生成AIを使っていても、作品の方向を決め、映像を選び、公開できる品質まで整える人の仕事が残っています。

制作会社が公開している作品紹介。出典:Native Foreign(引用)
Soraの出力だけでは終わらなかった
公式発表では、映像の大部分にSoraを使いながら、部分的にVFXで修正したことが明記されています。音楽には、Aaron Marshによるオリジナル曲が使われました。
つまり、制作は「文章を入力して映像を出す」だけでは終わっていません。物語に必要なカットを考え、生成を繰り返し、採用する映像を選び、崩れている部分を直し、音楽を合わせて完成させています。Toys“R”Usの事例は、動画生成モデルを使う場合でも、映像制作の判断が不要になるわけではないことを具体的に示しています。
公式動画でティーザーを見る
公式YouTubeでは、少年時代のチャールズ・ラザラスとジェフリーが登場するティーザーを確認できます。
動画:Toys"R"Us 公式チャンネルより引用
ブランド企業がこの事例から確認できること
この事例の価値は、どの動画生成モデルを選んだかだけではありません。企業がすでに持っている歴史、創業者の物語、ブランドを象徴する存在を、新しい映像表現へつなげた点にあります。
同じ考え方を自社に置き換えるなら、まず決めるべきなのは生成する画面ではなく、何を語る作品なのかです。そのうえで、自社で権利を管理するブランド要素のうち何を登場させるか、どの場面を生成映像で表現するか、誰が最終判断をするかを定めます。
AIGC TIMESの「ブランドコミュニケーション3.0 活用大全」では、AIクリエイティブをブランドの発信に取り入れる場面を整理しています。
公式情報で分からないこと
公式発表から、制作費、生成に使ったすべての指示文、各カットの生成回数、従来の制作と比べた費用や期間の差は確認できません。また、数百の候補カットという数字はToys“R”Usの公式発表に記載されたもので、第三者が監査した制作統計ではありません。
確認できるのは、数週間で制作したこと、数百の候補から二十数カットを選んだこと、映像の大部分にSoraを使ったこと、VFXによる修正とAaron Marshによるオリジナル音楽を加えたことです。本記事では、この範囲を越えて工程や成果を補っていません。
Toys“R”Usの事例が示す、生成後に残る仕事
Toys“R”Usのブランドフィルムは、生成AIの実演映像ではなく、創業者とジェフリーの物語でブランドの始まりを描いた作品です。数百の候補から二十数カットを選び、VFXで修正し、オリジナル音楽を加えて完成させました。
生成AIをブランドの映像制作に使うときも、最初に必要なのは物語です。Toys“R”Usは、技術を前面に押し出すのではなく、長く残してきたブランドの記憶を伝えるために使いました。
Toys“R”Usのブランドフィルムを確認した公式情報
- Toys“R”Us公式発表
- Toys“R”Us Studios
- Native Foreign「Toys“R”Us AI Film」
- Toys“R”Us公式YouTube「The Origin of Toys“R”Us: Brand Film Teaser」
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