「The Intelligence Age」は何を描いたCMか

CMには、火、車輪、馬、農業、航海、音楽、蒸気機関車、電球、X線、飛行機、DNA、テレビ、宇宙探査、インターネット、コンピューター、ChatGPTという16の題材が登場します。OpenAIは、人が生み出したり活用したりしてきた技術や発見を、時代に沿って並べています。

映像全体をつなぐのは、黒い点を組み合わせたアニメーションです。題材が次々に変わっても、点の大きさや動きによって一つの映像としてまとめています。個々の製品機能を紹介するのではなく、新しい技術や発見が人の可能性を広げてきたという物語を前面に出したCMです。

OpenAIは、家族や友人と一緒に観戦する人が多いスーパーボウルでこのCMを放映し、AIに関心を持ってもらうことを目指したと説明しています。

Soraは映像案を短時間で確かめるために使われた

OpenAIの公式記事によると、制作チームは考えたアイデアをSoraに入力し、そのアイデアを映像として早い段階で確認しました。Soraは完成映像を自動で作るためではなく、企画段階で映像案を検討するために使われています。

公表されている工程を整理すると、Soraと人の役割は次のように分かれます。

工程 OpenAIが説明している内容
映像案の検討 制作チームが考えた案をSoraに入力し、そのアイデアを映像として早い段階で確認した
制作の判断 制作チームが工程全体を主導した
修正 生成された映像を制作チームが調整した
仕上げ 人の手で細部を整えて完成させた

OpenAIが公表しているのは、Soraを映像案の検討に使い、その後の判断と修正を人が担ったことです。どのカットにSoraを使ったのか、最終映像に生成された素材がどの程度残っているのか、何案を試したのかは公表されていません。このため、「全編AI生成」や「Soraだけで制作した」とは判断できません。

Builders Club、Zukunft、Accenture Songは何を担当したのか

OpenAIの公式記事は、CMの狙いと同社の制作チームによるSoraの使い方を説明しています。一方、外部の制作体制は、Builders ClubとZukunftの公式発表から確認できます。

Builders Clubはロンドンを拠点とするクリエイティブスタジオです。同社の案件ページでは、「The Intelligence Age」における自社の役割を「Production」「Direction」「Art & Design」と記載しています。あわせて、Accenture Songを「Agency」、DOMA Worksを編集・ポストプロダクションとして掲載しています。

Zukunftは、公式サイトで自社を「powered by Builders Club」と表記しています。同じページには、Accenture Songと協力してOpenAI初のテレビCMを制作したと記載されています。

各社の公表範囲は、次のように整理できます。

  • OpenAI:広告主。CMの目的、作品内容、Soraと制作チームの役割を説明
  • Accenture Song:Builders Clubの案件ページでエージェンシーとして掲載
  • Builders Club:制作、演出、アート&デザインを担当したと掲載
  • Zukunft:Accenture SongとCMを制作した実績として掲載

ただし、Zukunftが担当した個別のカットや、Soraを操作した担当者、各社の作業時間までは公表されていません。したがって、この案件の分担やAIの使用範囲を、制作会社の実績ページだけから推測することはできません。

OpenAIのCMから分かる人とAIの分担

Soraは、完成映像をそのまま作るためではなく、企画段階で映像案を確かめるために使われました。制作チームが工程を主導し、生成された映像を修正して仕上げたことまで、OpenAIが明らかにしています。

完成映像ではなく、検討中の案を確かめる

OpenAIの制作チームは、考えた映像案を短時間で確認するためにSoraを使いました。企画段階で映像を試せれば、文章や静止画だけでは判断しにくい動きや場面転換を、完成前に検討できます。

表現の方向は制作チームが決める

CMでは、題材が変わっても黒い点による表現が最後まで続きます。OpenAIの説明では、制作チームが工程を主導し、Soraの出力を修正しました。生成された映像をそのまま採用するのではなく、作品全体の方針に沿って調整したことが分かります。

公表されている工程と未公表の工程を分ける

OpenAIはSoraと人の役割を説明していますが、生成素材の使用割合や具体的な入力内容までは公開していません。AIを使った広告事例を調べるときは、完成映像の見た目だけで判断せず、広告主と制作会社それぞれの発表内容を確認する必要があります。

自社のブランド制作で、AIを使う工程と人が判断する工程を整理したい方は、ブランドコミュニケーション3.0 パンフレットも参照できます。

AIを取り入れたCM事例をあわせて確認したい方は、コカ・コーラのAI CM「Holidays Are Coming」制作の全体像や、Carl's Jr.がAIで作ったParis Hiltonの店内広告Bakers Delightが公表したAI広告の制作工程も参考になります。制作会社側の体制については、AIクリエイティブ制作会社の選び方AIクリエイティブ制作体制の設計にまとめました。

OpenAI Forumで制作の背景を確認する

OpenAI Forumには、現地時間2025年2月12日(日本時間2月13日)に行われた制作解説のページがあります。OpenAI CMOのKate Rouchと、Droga5創業者のDavid Drogaが登壇し、初のテレビCMを制作した背景について話しました。

OpenAI Forumで制作解説のページを見る

OpenAI Forumに掲載された「The Intelligence Age」制作解説ページ

OpenAI Forumは、Kate RouchとDavid Drogaが登壇した制作解説の概要を公開しています。画像:OpenAI Forumの公開画面をAIGC TIMES編集部が取得(2026年8月5日、ログインなし)。出典:OpenAI’s Super Bowl Ad: Introducing the Intelligence Age

OpenAI公式YouTubeにあった完成CMは、2026年8月5日に確認したところ非公開になっていました。このため、執筆時点では記事内へ埋め込んでいません。

よくある質問

OpenAIのテレビCM「The Intelligence Age」はSoraだけで作られましたか

OpenAIの公式記事では、制作チームが工程を主導し、映像案の検討にSoraを使い、生成された映像を修正して、最後に人の手で仕上げたと説明されています。全編をSoraで自動生成したという記述はありません。

OpenAIのテレビCMを制作したのはどの会社ですか

Builders Clubが自社の案件ページで制作、演出、アート&デザインを担当したと記載しています。エージェンシーはAccenture Song、編集とポストプロダクションはDOMA Worksとクレジットされています。Zukunftは「powered by Builders Club」として公式サイトに掲載し、Accenture Songとこの案件を制作したと発表しています。

CMはいつ、どこで放映されましたか

2025年2月9日、米国のスーパーボウルで放映されました。OpenAIが同社初のテレビ広告として公式サイトで発表しています。

CMで使われたSoraの映像は完成映像にどれくらい残っていますか

OpenAIは、生成素材の使用割合や具体的な入力内容を公表していません。このため、公式情報だけでは判断できません。「全編AI生成」と表現するのは避けたほうが安全です。

完成CMを公式で視聴できる場所はありますか

OpenAI公式YouTubeにあった動画は、2026年8月5日時点で非公開になっていました。OpenAI Forumには、CMOのKate RouchとDroga5創業者David Drogaが登壇した制作解説ページが公開されています。

参照した公式情報


AIGC TIMESとは

AIGC TIMESは、AIクリエイティブ業界の専門メディアです。本メディア運営企業が10都市・20社以上のグローバルブランドへの実装を通じて蓄積したメソッド、独自調査に基づく業界動向、AIツールのアップデート情報を、公式noteと連動して継続的に発信しています。

無料メソッド

AIクリエイティブの社内導入、研修、パートナー選定、ブランドコミュニケーションに関するメソッドを公開しています。

AIGC TIMESのメソッドを見る

お問い合わせ

AIクリエイティブ制作、PoC、社内導入、研修についてのご相談は、公式フォームからお問い合わせください。

企業向けお問い合わせ

公式リンク