AIGCとは
米国国立標準技術研究所(NIST)は、生成 AI を、入力データの構造や特徴をもとに、画像、動画、音声、文章などの新しいコンテンツを生成する AI モデルの一群と説明しています。AIGC は、こうした生成 AI が出力したコンテンツを指す言葉です。
本記事では、生成 AI が新たに作った部分を含むデジタルコンテンツを AIGC として扱います。文章から画像全体を生成した場合だけでなく、商品写真の背景を生成した場合や、既存の映像へ AI で新しい部分を加えた場合も対象です。これは読者が AI の使用範囲を確認しやすくするための AIGC TIMES 編集部による整理であり、法令上の定義ではありません。
「AI で作った」と一言で言っても、次のような幅があります。
- 文章による指示だけで全体を生成した
- 手元の素材を入力して、その素材を元に生成した
- 既存の画像の一部だけを書き換えた
- 過去の作品を学習させた独自モデルで生成した
- 生成後、人が編集ソフトで修正・合成した
制作記録では、この幅のどこに該当するかを分けて残します。
AIGCに含まれる主なコンテンツ
| 種類 | 具体例 |
|---|---|
| 文章 | 商品説明の案、見出し、要約、構成案、SNS 投稿案 |
| 画像 | 文章から生成した画像、商品写真の背景、企画段階のビジュアル案 |
| 動画 | 文章や静止画から生成した映像、既存映像へ追加した生成部分 |
| 音声 | ナレーション、話し声、効果音、音楽 |
| 3D | 3D モデル、立体物の試作に使う 3D データ |
| インタラクティブ | 動的に生成される Web コンテンツ、対話型ビジュアル |
一つの制作物に、複数の AI 生成素材が使われることもあります。たとえば、生成した画像をもとに短い映像を作り、別に生成した音声を加えた場合です。画像、動画、音声のどこに AI を使い、その後に人が何を編集したのかを記録しておくと、AI を使用した工程を説明しやすくなります。
AIGCと生成AIの違い
生成 AI は、文章や画像などを生成する技術やモデルを指します。AIGC は、その技術を使って生まれたコンテンツです。
たとえば、画像を生成するモデルは生成 AI に当たり、そのモデルが出力した画像は AIGC に当たります。本記事では、画像生成モデルを利用できる Web サービスやアプリを「生成 AI サービス」と呼びます。技術、利用するサービス、生成されたコンテンツを分けて考えると、契約条件や制作記録を確認しやすくなります。
AIGCとAIクリエイティブの違い
AIGC と AI クリエイティブには、重なる部分があります。本記事では、二つの言葉を次のように使い分けます。
AIGC TIMES では、生成 AI が作った文章、画像、音声、動画などの総称を「AIGC」、AI 技術を使って制作した画像や映像などの創造物を「AI クリエイティブ」と表記しています。この区分は AIGC TIMES の編集上の定義であり、法令や業界標準ではありません。
| 用語 | この記事での意味 | 例 |
|---|---|---|
| 生成 AI | 新しい文章、画像、音声、動画などを生成する技術やモデル | 画像生成モデル、文章生成モデル |
| AIGC | 生成 AI が作った部分を含むコンテンツ | 生成画像、生成音声、AI で背景を作った商品画像 |
| AI クリエイティブ | AI 技術を使って制作された創造物 | ブランドビジュアル、商品画像、ブランドフィルム |
同じ画像が、AIGC と AI クリエイティブの両方に当てはまる場合もあります。その場合も、AI を使った箇所は具体的に示します。
AI クリエイティブの詳細は基幹記事「AI クリエイティブとは?意味や種類、企業での活用方法を分かりやすく解説」で扱っています。
AIGCが作られる流れ
1. 使う素材と目的を決める
まず、何を作るのか、どの素材を入力するのか、どこへ公開するのかを決めます。商品写真、人物写真、ロゴ、過去の広告などを入力する場合は、その素材を生成 AI へ入力できるか先に確認します。
2. 生成AIで文章や画像などを作る
文章による指示や手元の素材を入力し、目的に合う文章や画像などを生成します。同じ指示でも結果が変わる場合があるため、一度の出力で完成とせず、使えるものを選びます。
3. 人が内容を確認し、編集する
- 文章: 商品名、価格、仕様が元の資料と一致しているかを確認
- 商品画像: 容器の輪郭やラベルの位置、ロゴやパッケージの文字を承認済みの商品写真と照合
- 人物写真: 生成後も顔や手指が不自然になっていないかを元の写真と見比べる
- 動画: カットが変わったときに、商品の色・容器・ラベルや、人物の顔立ち・髪型・服装が意図せず変わっていないかを確認
問題があれば生成し直すか、編集ソフトで修正し、採用した出力と修正内容を制作記録へ残します。
4. 権利と公開条件を確認する
利用したサービスやモデルの規約、契約プラン、入力素材の権利、生成物が既存作品と似ていないか、掲載先の条件を確認します。生成できることと、広告や商品ページで公開できることは同じではありません。
AIGCを確認するときは、完成物だけで判断しない
本記事では、完成した画像や映像だけで AIGC かどうかを決めず、制作記録を確認します。写真の背景だけを生成した画像と、文章から全体を生成した画像は、完成物を見ただけでは、AI を使った箇所や、人が行った選定・修正・編集の内容を特定できない場合があるためです。どちらも本記事で扱う AIGC に含まれますが、制作方法は異なります。
制作会社や社内チームへ確認する場合は、次の情報をそろえます。
- 使用したサービスとモデル
- AI へ入力した素材
- AI が生成または変更した箇所
- 人が行った選定、修正、編集
- 公開前に確認した規約と権利
- 最終承認者と承認日
「AI を使用」とだけ記録するのではなく、上記の項目ごとに残しておけば、修正や再利用が必要になったときに制作方法を確認できます。
AIGCの限界
生成 AI で文章や画像を作れても、商品情報の正確さや、承認済みのブランド表現との一致まで自動で保証されるわけではありません。企業が公開する場合は、生成物を商品資料や承認済み素材と照合し、誤りや意図しない変更がないか確認します。
また、サービスの機能や利用条件は変更されます。過去に作れたものが同じ方法で作れるとは限らず、商用利用の条件もサービス、モデル、契約プランによって異なります。公開前には、制作時に使った条件を確認し直す必要があります。
AIGCと著作権・商用利用
AIGC だから著作権が必ず認められる、または認められないと一律には決められません。文化庁は、AI を道具として使った人に創作意図があり、生成物の表現へ創作的に寄与したといえるかを、生成までの一連の過程に沿って個別に判断する考え方を示しています。指示が単なるアイデアの提示にとどまる場合、生成物に著作物性は認められないと整理されていますが、指示の長さや回数だけで結論が決まるわけではありません。
生成物が著作物に当たるかという問題と、既存の著作物の権利を侵害していないかという問題は別です。入力素材の利用許諾、既存作品との類似、人物やロゴの権利、サービスの規約を分けて確認します。文化庁の資料は、個別案件の法的な結論を示すものではありません。個別の制作物について判断が必要な場合は、専門家へ相談してください。
商用利用についても、AIGC という分類だけでは判断できません。利用したサービス、モデル、契約プラン、入力素材、公開先の条件を確認し、確認日と参照した規約を記録します。
企業がAIGCを公開する前の確認順序
- 用途を決める: 社内資料、公式サイト、広告、商品ページのどこで使うかを確定する
- 入力素材を確認する: 商品写真、人物写真、ロゴ、第三者作品を入力できるか確認する
- 使用条件を確認する: サービス、モデル、契約プランの利用規約を確認する
- 生成物を確認する: 商品名、価格、仕様、ロゴ、パッケージ表記を元の資料と照合する。人物を含む場合は、顔や手指が不自然になっていないかを確かめる。映像では、途中で人物の顔立ち・髪型・服装や、商品の色・容器・ラベルが意図せず変わっていないかを見る。既存作品との類似が疑われる部分がないかも確認する
- 人の作業を記録する: 選定、修正、編集、承認の担当者と内容を残す
- 公開先に合わせて再確認する: 広告表示、媒体規定、社内の承認手順を確認する
サービスとモデルの選び方
AIGC を作るサービスとモデルは、次の観点で選びます。
- 対象領域: 画像・動画・音声・3D のどれを主に扱うか
- 商用利用条件: 商用可のプラン、生成物の権利帰属、学習データへの取り込み可否
- 日本語対応: 指示文の日本語対応、文字を含む画像の日本語生成品質
- 料金体系: 月額、生成回数制限、法人プランの条件
- API 提供: 社内システムとの連携可否
- セキュリティ: 入力データの扱い、企業向け認証(SOC 2、ISO 27001 等)
主要 17 サービスの横断比較は、有料調査「生成 AI クリエイティブ・プラットフォーム 17 社調査」(¥22,300 / 全 33 ページ)で扱っています。モデル単位で比較する場合は「2026 H2 画像生成 / 動画生成モデル カオスマップ」(¥19,800 / 全 50 ページ)に 26 モデルの位置づけをまとめています。
よくある質問
AIGCとAIクリエイティブは同じ意味ですか?
同じではありません。AIGC は生成 AI が作った部分を含むコンテンツを指し、AI クリエイティブは AI 技術を使って制作された創造物を指します。多くの場合両者は重なりますが、AI クリエイティブは AI 生成部分がなくても(既存素材の高画質化や生成編集のみでも)該当することがあります。
AIGCと生成AIは同じ意味ですか?
同じではありません。生成 AI は技術・モデルの名称、AIGC はその技術で作られたコンテンツを指します。
AIGCの著作権は誰のものになりますか?
サービスとモデルの契約条件、指示の内容、人がどこまで創作的に関与したかによって異なります。文化庁は、AI を道具として使った人に創作意図があり、生成物の表現へ創作的に寄与したといえる場合に著作物性が認められる可能性があると整理していますが、指示の長さや回数だけで結論は決まりません。個別の判断は専門家に相談してください。
過去のブランド素材を AI に学習させて AIGC を作れますか?
主要サービスの Enterprise プランや Business プランでは、ブランド固有のスタイルを追加学習させる機能を提供しています。ただし、学習させた素材の権利、学習後のモデルの利用範囲、契約終了時のデータ扱いなど、追加で確認する項目があります。
AIGCという表記は法律で決まっていますか?
法律で決まった用語ではありません。業界や媒体によって使い方の幅があります。企業が公開する場合は、AIGC という総称だけでなく、AI を使った具体的な箇所と方法を明示するのが実務的です。
AIGCを確認するための一次情報
- NIST「generative artificial intelligence」用語集 — 生成 AI の定義と、生成対象に含まれるデジタルコンテンツ
- NIST「What is Generative AI?」 — 生成 AI が文章、画像、3D モデルなどを作る技術であることの確認
- NIST「Frontier Research on Mitigating Risks from Synthetic Content」 — AI などによって大きく変更または生成されたコンテンツを含む「synthetic content」の説明
- J-STAGE「生成 AI の発展と新たなコンテンツ経済圏」 — AI-generated content(AIGC)という表記と、生成 AI によるコンテンツを扱う日本語論文
- 経済産業省「コンテンツ制作のための生成 AI 利活用ガイドブック」 — 生成 AI を使うコンテンツ制作の検討、サービス選定、法的留意点、社内ガイドライン
- 文化庁「AI と著作権について」 — AI 生成物の著作物性と、生成・利用段階での著作権の考え方
- AI クリエイティブとは?意味や種類、企業での活用方法を分かりやすく解説 — AI クリエイティブの基幹記事
- AI 技術とは?ブランドのクリエイティブで使う 6 つの技術と導入前の確認事項 — AI 技術の基幹記事
- 生成 AI クリエイティブ・プラットフォーム 17 社調査 — 17 社を 7 観点で横断整理した有料調査
- 2026 H2 画像生成 / 動画生成モデル カオスマップ — 26 モデルの位置づけと選定条件
- AI 技術活用 社内稟議決定版 — 稟議サンプルと 4 段階導入ロードマップ
- 生成 AI 技術活用 理解度チェック 15 リスト — 導入前に確認したい基礎項目
AIGC TIMESとは
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