ALTAVAは、ブランドの3D表現を複数の接点へ運ぶ会社

ALTAVA(アルタバ)は、ファッションやビューティーブランド向けに、3D、AR、空間を使ったブランド表現を手がけます。公式サイトには、シンガポールを本社に、ソウル・東京・ロンドン・パリの拠点を持つ体制と、ゲーム・AR・ソーシャル・メタバースなど複数プラットフォームを横断するコンテンツを扱う旨が説明されています。3Dアセットのライブラリを軸に、ブランドのデジタル表現を複数の接点へ運ぶ座組みです。

つまり、3Dモデルを作って納品するだけの会社ではありません。どこで顧客が見るのか、どう参加するのか、デジタル上の体験を商品やイベントへどう戻すのかまで扱います。日本国内で似た機能を担うのは、生成AIクリエイティブ制作会社の選び方で扱う制作体制と重なる部分がありますが、ALTAVAはラグジュアリー特化と3Dアセット資産化の点で座組みが異なります。

ただし、公式サイトには「cross-platform virtual clothing powered by generative AI」を coming soon として案内する記載もあります。これは今後提供予定の説明であり、現在利用できる機能や既存事例の制作方法として扱いません。会社の現行実績と、開発中の技術は分けて読む必要があります。

Balmainでは、実物の複製ではなく「実物にできない服」を作った

Balmain 3D Collectionでは、BalmainのクリエイティブディレクターOlivier Rousteingと協業し、バーチャル限定の3Dルックを制作しました。公式事例によると、物理世界では制作できないデザインとして企画され、完成物はデジタルコレクティブルとしてオークション販売されました。

ここでの価値は、実在する服をスキャンしてオンラインに置いたことではありません。重力、素材、縫製といった物理的な制約から離れ、ブランドの造形言語をデジタル空間で拡張したことです。

案件を分解すると、次のようになります。

  • 発注主体:Balmain
  • ブランド側の共同者:Olivier Rousteing
  • 制作物:バーチャル限定の3Dルック
  • 販売形態:デジタルコレクティブルのオークション
  • 公式に確認できないこと:生成AIを使った制作工程

重要なのは最後です。公式ページには将来の生成AI機能に関する案内がありますが、この3Dルック自体を生成AIで制作したとは書かれていません。従来の3D制作と生成AIを混ぜないことで、案件の価値がむしろ明瞭になります。

Balmainの3D衣装をALTAVA公式事例で見る

Clarinsでは、製品を「見る」から「参加する」へ広げた

Clarins Precious Campaignでは、デジタルアーティストInes AlphaとAda Sokołが参加し、ARフィルターとデジタルコレクティブルを制作しました。Ines Alphaが手がけたARフィルターは、特定の時間帯に花が咲く演出として説明されています。

Balmainとの違いは、3D作品そのものを販売することが中心ではなく、化粧品のキャンペーンへ参加する入口を作ったことです。ARで顔や画面上にブランドの世界を重ね、デジタルコレクティブルを別の接点として組み合わせています。

  • 発注主体:Clarins
  • 参加アーティスト:Ines Alpha、Ada Sokoł
  • 制作物:ARフィルター、デジタルコレクティブル
  • 体験:時間に応じたAR演出を含むキャンペーン
  • 公式に確認できないこと:生成AIを使った制作工程

ALTAVAの担当範囲は、公式事例に書かれている協業と制作物の範囲で捉えます。アーティストの表現、ブランドの企画、ALTAVAの技術実装をすべて一社の成果としてまとめない方が正確です。この分離はブランド生成AIパートナーの選び方でも要点になります。

ClarinsのAR施策をALTAVA公式事例で見る

2案件を比べると、発注前に決めるべきことが見える

ALTAVAのような会社へ相談するとき、「メタバースをやりたい」「AIを使いたい」から始めると、成果物が曖昧になります。BalmainとClarinsを比べると、先に決めるべきなのは技術名ではなく、顧客に何をしてほしいかです。

商品そのものをデジタル化したい

Balmain型です。3D衣装やデジタル商品を作り、それ自体を展示・販売します。必要なのは造形、質感、ブランドらしさ、販売条件の設計です。IPとしての再利用範囲、二次流通条件、保管方式まで含めて決めます。

キャンペーンへの参加体験を作りたい

Clarins型です。ARやデジタルアイテムを使い、商品世界へ触れる入口を増やします。必要なのは使用端末、公開期間、体験導線、アーティストとの役割分担です。フィルターの配信元、対応OS、公開停止後のログ保全もあらかじめ整理します。

複数の場所で同じ3D資産を使いたい

ゲーム、AR、イベント、ソーシャルなどへ展開する場合は、各プラットフォームの仕様、データ形式、見え方の差を確認します。「一度作ればどこでも同じ品質で使える」とは限りません。事前に、モデルのポリゴン数上限、テクスチャ解像度、対応拡張子、ライセンス条件を並べて表にすると判断しやすくなります。ブランドコミュニケーションで生成AIが効く領域の考え方と組み合わせ、どこにAI、どこに従来3D、どこに実写を置くかを分けて設計します。

公式事例を見るときは、映像の派手さより担当範囲を見る

Balmainの事例ページでは、現実の衣装を再現したのではなく、バーチャル限定のルックとして設計した造形を確認できます。見るべきなのは、生地が本物らしいかだけではありません。シルエット、装飾、動いたときの形、販売されたデジタルコレクティブルまでが一つの成果物としてつながっているかです。

Clarinsでは、ARフィルターの見た目に加え、時間帯で花が咲く演出と、参加アーティストの役割を確認できます。ARを一枚の広告画像として見るのではなく、利用者がカメラを開き、体験し、別のデジタル接点へ進むキャンペーンとして見ます。

一方、2つの公式ページからは、納品データ形式、制作期間、費用、修正回数、利用プラットフォームの全条件、キャンペーン効果の比較値までは確認できません。発注時には、3D資産の所有と再利用範囲、ARの公開期間、対応端末、保守、アーティストとALTAVAの担当境界を別途確認する必要があります。契約前の確認項目はAIクリエイティブ・パートナー確認表を土台にすると漏れが減ります。

生成AI導入前から必要だった3D品質と実装

ALTAVAの2案件は、生成AIの成功事例として紹介するものではありません。むしろ、生成AI導入前からブランド企業が行ってきた3D・AR制作を理解するための事例です。

これから生成AIで衣装、商品画像、AR素材を作る場合も、最終的には3D品質、ブランド監修、実装環境、顧客体験が必要になります。生成技術だけを見ていると、その後工程が抜けます。

Balmain型で必要なのは、販売・展示できる3D衣装そのものです。Clarins型で必要なのは、ARを入口に顧客が参加できるキャンペーンです。発注前に納品物と体験導線を決めれば、3D、AR、生成AIのどれを使うべきかも判断しやすくなります。

また、ALTAVAのような座組みへ相談するときは、公式サイトの「about」に書かれた自社説明と、個別事例ページに書かれた協業条件を分けて読むことをおすすめします。会社紹介は将来含みの表現になりやすく、事例ページは実際の担当範囲に近い記述になります。両方を並べて、現行で提供できる制作物と、開発中の技術を切り分けたうえで、自社の企画に必要な担当範囲だけを依頼するのが実務的です。

よくある質問

Q1. ALTAVAの読み方は? 公式サイトでは表記は「ALTAVA」で統一されており、日本語ではアルタバと読みます。本記事では初出でアルタバのカタカナを併記しています。

Q2. ALTAVAは生成AI制作の会社ですか? 公式サイトには生成AIを使ったクロスプラットフォーム衣装機能を「coming soon」とする案内がありますが、BalmainとClarinsを含む既存の公開事例で生成AI使用は明記されていません。現行実績は3D・AR・デジタルコレクティブル中心と読むのが正確です。

Q3. ALTAVAはLVMH系の会社ですか? 公式サイトの「about」ページには、シンガポール本社と複数拠点の情報が掲載されており、ラグジュアリーブランドとの協業実績を持つと説明されています。LVMH各社との関係の正確な資本・契約条件は公式では公開されていないため、資本関係として断定はできません。発表資料や取材時に個別確認が必要です。

Q4. BalmainとClarinsの制作物の違いは? Balmain案件は「バーチャル限定の3Dルック」と「デジタルコレクティブルのオークション」が中心で、商品そのものの造形が納品物です。Clarins案件は「ARフィルター」と「デジタルコレクティブル」の組み合わせで、参加体験の入口が納品物です。前者は所有と販売、後者は参加と体験を設計します。

Q5. ALTAVAへ相談する前に何を決めておくべき? 「メタバースをやりたい」ではなく、顧客に何をしてほしいかを決めておきます。3D商品を販売するのか、AR参加体験を設計するのか、複数プラットフォームで同一資産を展開するのか。3つの型のどれに近いかを選び、対応端末・公開期間・所有権・保守・アーティストとの担当境界を最低限言語化してから相談すると、成果物が曖昧になりません。

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