公式発表の要点(編集部意訳)
テレビ朝日と AI model の 2 社が公式発表で伝えた内容を、日本語として自然な形で編集部が意訳します。
- 映像は全編、生成 AI で制作。ハート型のモチーフに水分が浸透する表現、親子での外出、運動、部活動の場面を 30 秒にまとめた
- テロップ、音声、ナレーションは AI 不使用。ナレーションはテレビ朝日アナウンサー渡辺瑠海氏
- 制作は、テレビ朝日コンテンツ編成局 AI クリエイティブスタジオが企画・制作、AI model 株式会社が AI 映像制作を担当
- テレビ朝日の社内 AI 利用ガイドラインに基づき、人間による監督と最終責任、AI 利用の透明性、クリエイター権利の尊重を運用面で守ったと説明
編集部注:何がなぜ注目されるのか
「全編生成 AI」でありながら「AI 不使用要素」を明示した点が、この事例の実務的な意味です。多くの AI 生成コンテンツで曖昧にされがちな「どこまで AI で、どこから人か」の線を、放送 CM で公表しました。地上波放送という消費者接点の重さを考えれば、責任範囲を明示する意味は小さくありません。
テレビ朝日は 2025 年 10 月 21 日に独自の AI ポリシーを公開しており、今回の CM 制作は、同ポリシー公開後に発表された同局初の映像フル AI テレビコマーシャルの実例に位置づけられます。
地上波で放送された正式な30秒CM
本作は、テレビ朝日系列の「バスケットボール男子日本代表 国際試合 日本×モンゴル」生中継内などで放送された正式なテレビ CM です。一部地域を除き、2026 年 8 月 9 日午後 1 時 55 分から放送されました。制作会社による自主企画の広告作品ではなく、広告主の正式発注による本番放送です。
題材は、サントリービバレッジ&フードの水分補給飲料「GREEN DA・KA・RA」。ブランドを象徴するハート型のモチーフへ水分が浸透する様子と、親子での外出、運動、部活動といった夏の場面を 30 秒にまとめています。この作品説明は両社の公式発表に記載されたもので、公開映像を見て制作工程を推測したものではありません。
生成AIを使ったのは映像全編
テレビ朝日と AI model は、映像全編を生成 AI で制作したと説明しています。ただし、AI の利用範囲は映像に限られ、テロップ、音声、ナレーションには使われていません。
| 要素 | 公表された AI 利用範囲 |
|---|---|
| 映像 | 全編に生成 AI を使用 |
| テロップ | AI 不使用 |
| 音声 | AI 不使用 |
| ナレーション | AI 不使用 |
使用した生成 AI ツールやモデル、プロンプト、生成後の編集・合成工程、人が修正した範囲は公表されていません。「全編生成 AI 映像」という表現から、個別の制作手順まで補うことはできません。
制作クレジット:広告主、企画・制作、AI映像、ナレーション
AI model が 2026 年 8 月 10 日に出した公式発表では、制作クレジットを次のように整理しています。
| 役割 | 会社・担当 |
|---|---|
| 広告主 | サントリービバレッジ&フード株式会社 |
| 企画・制作 | 株式会社テレビ朝日 コンテンツ編成局 AI クリエイティブスタジオ |
| AI 映像制作 | AI model 株式会社 |
| ナレーション | 渡辺瑠海(テレビ朝日アナウンサー) |
テレビ朝日の発表では AI model を「制作プロダクション」と表記し、AI model 側の発表では「AI 映像制作」としています。本稿では、後者の詳細な役割表記を採用しました。
テレビ朝日のAIポリシーとの整合
2025 年 10 月 21 日に公開されたテレビ朝日 AI ポリシーは、次の 6 つの基本原則を掲げています。
- 質の高いコンテンツへの貢献
- 透明性と説明責任
- 公平性と多様性の尊重
- 安全性とセキュリティの確保
- プライバシーとデータ保護
- 人材育成とリテラシー向上
今回の発表でも、社内の生成 AI 利用ガイドラインを制作現場で順守していると説明しています。
一方、公開情報だけでは、本作で使った学習データ、素材の権利確認、生成物の検査方法を個別に確認できません。AI ポリシーは会社の方針を示す資料であり、本作の制作記録や第三者監査の代わりにはなりません。ブランド企業が同種の AI CM を検討する際は、社内ポリシーの整備と、案件個別の判断基準・記録運用を分けて考える必要があります。
業界インプリケーション:ブランド企業が学べる4点
ブランド企業がこの事例から学べる論点は次の 4 点です。
- AI 利用範囲の明示が信頼構築になる: 「全編 AI」ではなく「映像全編は AI、テロップ・音声・ナレーションは AI 不使用」と明示することで、消費者と業界の理解を助ける
- 社内 AI ポリシー整備が前提: テレビ朝日のように基本原則を先に社内で書面化しておくと、案件発生時の判断が早い
- 役割分担の書面化: 広告主/企画・制作/AI 映像制作/ナレーションの 4 役割を明示することで、責任範囲と権利帰属が明確になる
- AI 不使用要素の宣言: 「使う」だけでなく「使わない」を明示するブランド設計は、Dove(ダブ)の事例と重なる差別化軸
Dove(ダブ)が AI 生成女性像の広告使用を排除する宣言で先行した「AI 倫理ポジション」の考え方については、ブランドの AI 倫理ポジションが競合差別化になる時代で扱っています。
本メディア運営企業のポジション
本メディア運営企業(AIGC TIMES を運営する企業)は、ブランド企業のクリエイティブ支援において、AI による人物代替生成を基本的に行わない方針です。今回の GREEN DA・KA・RA CM のように、AI 利用範囲を明示し、社内ポリシーと整合させ、制作クレジットで役割を透明化する運用は、ブランド企業が AI 映像制作を検討する際の参考になります。
本メディア運営企業が推奨するのは、AI 生成の広告制作代行ではなく、ブランドが行うべき正しいブランドコミュニケーションの設計、判定基準の書面化、記録運用、契約設計の支援です。詳しくは有料調査「AI 技術活用 社内稟議決定版」(¥29,300 / 全 46 ページ)に、経営説明資料と稟議サンプルを収録しています。
公式動画とInstagram個別投稿は執筆時点で確認できず
執筆時点で、本作を一般の読者が視聴できる個別の公式 YouTube・Vimeo 動画や、作品に直接ひもづく公式 Instagram 投稿は確認できませんでした。テレビ朝日と AI model の発表ページには作品の静止画がありますが、一般転載の許諾は確認できないため、本稿では保存や再掲載を行わず、公式ページへのリンクだけを案内します。
よくある質問
GREEN DA・KA・RA のこの CM は日本初の AI 生成テレビ CM ですか
「日本初」ではなく「テレビ朝日にとって同局初の映像フル AI テレビコマーシャル」とテレビ朝日は公式発表しています。他局を含めた「日本初」の位置づけは公式資料では確認できません。
使われた生成 AI ツールやモデルは何ですか
公表されていません。テレビ朝日と AI model の公式発表には、使用ツール名、モデル名、プロンプト、生成後の編集・合成工程は記載されていません。「全編生成 AI 映像」という表現以上の詳細は、現時点で確認できる公開情報にありません。
ブランド企業が同様の AI 映像 CM を検討する際に何から始めればよいですか
まず社内 AI ポリシーの整備が出発点です。次に判定基準の書面化、記録運用の設計、契約時の役割明示を進めます。制作会社への発注前に、AI 利用範囲、AI 不使用要素、責任範囲を書面で合意することが、事故防止と消費者信頼の両立につながります。詳細は生成 AI の稟議書はどう書く?企業導入を進める 9 つの項目を参照してください。
GREEN DA・KA・RA AI 生成CMを確認した情報源
- テレビ朝日の公式発表 — 作品内容、放送日時、生成 AI の利用範囲、制作体制
- AI model の公式発表 — 共同制作の事実と、企画・制作、AI 映像制作、ナレーションの役割
- テレビ朝日 AI ポリシー — テレビ朝日が掲げる AI 活用の基本原則
- テレビ朝日ホールディングスの著作権表示 — 公式ページ内の文章、写真、映像などの扱い
- 経済産業省「AI 事業者ガイドライン(第 1.2 版)」 — AI を利用する組織が確認すべき事項
- 文化庁「AI と著作権について」 — AI 生成物の権利整理
- ブランドの AI 倫理ポジションが競合差別化になる時代 — AI 倫理ポジションの整理
- ダブ、AI 生成の女性像を広告に使わないと宣言 — 大手ブランドの AI 排除宣言の先行事例
- AI クリエイティブとは?意味や種類、企業での活用方法を分かりやすく解説 — AI クリエイティブの全体像
- 生成 AI の稟議書はどう書く?企業導入を進める 9 つの項目 — 稟議書設計の実務ガイド
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