Recraft AIとは何か
Recraft AIは、Recraft Studioという制作環境と、その中で動くRecraft V4.1などの画像生成モデルの総称です。汎用チャットの画像生成機能と違い、Recraft AIはロゴ制作、アイコンセット、パッケージのモックアップ、Webサイトのビジュアル、印刷物の図版など「デザインの現場で使う素材」に照準を絞って設計されています。
公式サイトでは「tastefully crafted AI image models」という表現が使われており、写真的リアリズムだけを追わず、意図に沿った構図と美術的な仕上がりを狙う立場が示されています。
Recraft AIが「デザイン向けAI」と呼ばれる理由
同じAI画像生成でも、Midjourney、Nano Banana、GPT Imageのような汎用モデルはラスター画像(PNGやJPG)を1枚単位で生成することが中心です。Recraft AIは、ここに次の要素を重ねてきました。
- 編集可能なSVGを直接生成する
- 同じスタイルの図を複数枚まとめて作れる
- 参照画像を学習させて、独自のスタイルを固定できる
- 生成した図形をブラウザ上で点や曲線ごとに修正できる
- ロゴやラベルを商品写真に合成するモックアップを作れる
つまり、Recraft AIは「一枚絵を作るためのAI」ではなく、「デザインシステムやブランドの中で繰り返し使える素材を作るためのAI」として位置づけられます。単発の画像より、シリーズで揃った素材や、あとから編集できる形式に価値を感じる制作現場と相性のよい設計です。
Recraft AIを構成するモデル系譜
Recraft AIは、モデルの世代を重ねながら拡張されてきました。2024年秋のRecraft V3で「テキストが正確に描ける画像モデル」として注目され、その後、写真表現の精度と色再現を強化したV4、そして現在のV4.1へと更新されています。
Recraft Studio上で選べる主なモデルは次のとおりです。
- Recraft V4.1:現行の主力モデル。ラスター画像を生成する。
- Recraft V4.1 PRO:より高精細な画像を作る上位モデル。
- Recraft V4.1 Vector:編集可能なSVG(ベクター画像)を生成する。
- Recraft V4.1 Vector PRO:複雑な図案向けの上位ベクターモデル。
同じRecraft Studioの画面から、GPT ImageやNano Bananaといった他社の画像・動画モデルも呼び出せます。1つの制作案件のなかで、ラスター、ベクター、他社モデルを並べて比較しながら進められるのが、Recraft AIならではの使い方です。
制作記録には「Recraftで作った」だけでなく、実際に選んだモデル名も残しておくと、同じ品質を再現しやすくなります。
Recraft AIの4つの主要機能
1. ベクター画像(SVG)の生成
Recraft V4.1 VectorやRecraft V4.1 Vector PROを選ぶと、SVG形式で編集できるベクター画像が得られます。Webサイトのアイコン、印刷物のあしらい、パッケージの装飾など、サイズを変えて使う素材に向いています。
2026年7月に公開されたVector Editorを使えば、生成後のSVGをRecraft Studio内で直接修正できます。輪郭を構成する点や曲線を動かしたり、図形ごとに色を変えたりといった、これまで別のデザインソフトへ持ち出していた作業を、そのままブラウザで進められます。
2. アイコンセットの生成
Recraft AIは、同じスタイルで揃ったアイコンを一度に複数枚生成できます。1つのプロンプトでシリーズ全体のトーンを指示し、必要に応じて追加分を同じスタイルで足していく作り方が現実的です。
Webサービスのアイコンセット、機能一覧の説明図、資料テンプレートのアイコンなど、「揃っていること」が品質を左右する用途で威力を発揮します。個別に生成して並べるより、シリーズ設計の段階で統一感を持たせられます。
3. モックアップの生成
自社で権利を管理するロゴ、ラベル、パッケージデザインを、商品写真や陳列イメージに重ねた完成イメージを作れます。パッケージ案の社内合意形成、店頭陳列の初期検討、SNS向けのビジュアル提案など、正式な撮影の前段階での意思疎通に使えます。
ただし、モックアップは初期案の共有までにとどめ、実際の商品へ印刷する前には正式な入稿データで最終確認する運用が現実的です。
4. ブランドスタイルの学習
Recraft AIには、参照画像を数点アップロードして独自スタイルを作成する機能があります。ブランドの世界観に沿ったイラスト、色使い、質感を学習させ、その後の生成に一貫して適用できます。
追加学習(ファインチューニング)と違い、参照画像から特徴を抽出する仕組みで、比較的少ない素材からブランドスタイルを立ち上げられます。1つのブランドで複数のスタイル(広告用/説明図用など)を用意しておくと、シーンに応じて呼び分けられます。
Recraft AIの基本的な使い方
Recraft AIを使う流れは、案件の目的に合わせて次の順で進めるのが基本です。
- Recraft Studioで新しいプロジェクトを開く
- 使うモデルを選ぶ(ラスターかベクターか、通常版かPROか)
- 目的と用途を具体的に書いた指示文を入力する
- 生成結果から用途に近いものを選ぶ
- Vector EditorやPhoto Editorで細部を調整する
- SVGまたはPDF、PNGなど、入稿先に合う形式で書き出す
- 別のデザインソフトでも開き、線の欠けや色の変化がないか確認する
指示文は日本語でも入力できますが、意図と結果がずれる場合は、指示を短く分けたり、簡潔な英語でも試したりすると比較しやすくなります。
生成結果に他社のロゴ、キャラクター、商品、人物に似た要素が含まれていないかは、公開前に必ず人が確認します。Recraft AIが商標や著作権の照合まで行うわけではありません。
公式動画でRecraft Studioの最新機能を見る
Recraft公式チャンネルは、月次のアップデート動画を公開しています。2026年7月の更新をまとめた公式動画では、Design Agent、Vector Editorの改良、新しい外部モデルの統合、キャンバス操作の改善などを、実際の画面操作とあわせて確認できます。
動画:Recraft 公式チャンネルより引用
Recraft AIはもともと静止画のツールでしたが、Recraft Studio上から動画生成も呼び出せるようになりました。公式動画では、静止画から動画を作る3通りの方法と、なめらかな遷移をつけるための工夫が紹介されています。
動画:Recraft 公式チャンネルより引用
料金体系の全体像
現在のRecraft Studioには、Free、Basic、Pro、Teamsの4プランがあります。月払いでは、Basicが月額12ドルで1,000クレジット、Proが月額20ドルからで2,000クレジット、Teamsが1席あたり月額22ドルからで2,000クレジットです。Teamsは2席以上の契約が必要です。
年払いにすると最大20%の割引があり、Basicは月額10ドル相当、Proは月額16ドル相当、Teamsは1席あたり月額18ドル相当から利用できます。日本での支払額は税や為替の影響を受けるため、決済画面で確認します。
毎月のクレジットは翌月へ繰り越せません。追加購入したクレジットには有効期限がありません。消費クレジットはモデルや操作によって異なるため、選ぶモデルの消費量を生成前に確認しておくと、費用計画を立てやすくなります。
無料プランでも基本機能を試せますが、日次クレジット、アップロード枚数、生成枚数に制限があります。無料プランで生成した画像は公開され、Recraftが所有し、商用利用は認められていません。
商用利用と権利の考え方
Recraftの公式ドキュメントでは、有料プランの契約中に生成した画像は利用者が所有し、商用利用できると説明されています。解約後も、その画像の所有権と非公開の状態は維持されます。
一方、無料プランで生成した画像はRecraftが所有し、公開ギャラリーに表示される場合があります。商用利用できるかどうかは、いま契約しているプランではなく、その画像を「生成した時点のプラン」で判断します。
有料プランであっても、第三者の著作権、商標権、肖像権などを侵害してよいわけではありません。自社で権利を管理する素材から生成し、生成物に他社のロゴ、キャラクター、著名人などに似た要素が含まれていないかを、公開前に確認する運用が前提になります。
Recraftで生成した画像は、プランを問わず他のAIモデルの学習には利用できないと明記されています。
入力データと学習利用の設定
Recraft AIのWeb版では、入力した文章や画像、生成結果がRecraftのモデル改善に使われる設定が初期状態で有効です。公式FAQによると、Proはアカウント設定から停止でき、Teamsは初期状態で学習対象外、無料プランは停止できないと案内されています。Basicについては同じFAQに停止可否の記載がないため、未公開素材を扱う前に設定画面で確認するのが安全です。
APIから入力した内容と出力結果は、学習に利用されないと公式ドキュメントに記載されています。取引先から預かった未公開素材や、発売前の商品画像を扱う場合は、契約プランに加えて学習利用の設定を必ず確認します。
企業でRecraft AIを導入する前に確認したいこと
- 仕事で使う画像は有料プランで生成しているか
- どのモデルで生成したかを制作記録に残しているか
- 入力する素材について、生成や編集に使う権利があるか
- 学習利用の設定を、プランごとに確認したか
- 生成したSVGを別のデザインソフトでも開き、線や色に変化がないか確認したか
- 小さく表示したときにも、図案として読み取れるか
- 生成された文字は、正式なロゴデータや指定書体へ置き換えたか
- 既存の商標、キャラクター、人物に似た要素が含まれていないか
- 公開や入稿の前に、人が最終確認しているか
Recraft AIの詳細を掘り下げる関連ガイド
- Recraft V3の位置づけと現行モデルとの違いを理解する
- Recraftのブランドスタイル機能を実務で使いこなす
- Recraftでアイコンセットを揃えて作るためのガイド
- Recraftの商用利用と権利まわりを整理する
Recraft AIのよくある質問
Recraft AIはどのような場面で使うのが向いていますか?
ロゴ、アイコンセット、パッケージ装飾、Webサイトの図版、資料のあしらいなど、あとから編集したり、シリーズで揃えたりすることに意味がある素材づくりに向いています。一枚絵の写真表現だけを求める場合は、汎用の画像生成モデルと比較したうえで選ぶと、判断しやすくなります。
Recraft AIとRecraft Studioは何が違いますか?
Recraft Studioは、ブラウザで使う制作環境の名前です。Recraft AIは、その中で動くRecraftのモデル群と、Recraft, Inc.が提供するサービス全体を指すときの呼び方だと考えると整理しやすくなります。
Recraft AIは日本語で使えますか?
日本語の指示文を入力できます。意図した結果にならない場合は、指示を短く分けたり、同じ内容を簡潔な英語でも試したりして比較すると、方向性を掴みやすくなります。
Recraft AIは無料で試せますか?
無料プランがあります。ただし日次クレジット、アップロード枚数、生成枚数に制限があり、生成した画像は公開され、Recraftが所有します。商用利用が必要な素材は、有料プランへ切り替えてから生成する必要があります。
Recraft AIで作った素材はそのまま入稿できますか?
Recraft Studio上で問題なく見えていても、別のデザインソフトや印刷工程で表示が変わる場合があります。SVGは別のソフトで開いて線の欠けや色の変化を確認し、印刷用データが必要な場合は入稿先の指定形式で書き出して仕上げます。
Recraft AIの公式情報
- Recraft公式サイト
- Recraft V4.1の公式ドキュメント
- Vector Editorの公式発表
- Recraftのベクター画像生成
- Recraftの料金
- 商用利用と生成物の所有条件
- データ利用とモデル学習
- Recraft公式YouTubeチャンネル
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